4社で4カ月なら99社だと事業停止は8年間?

今年1月、違法な二重派遣などで2?4カ月の事業停止命令を受けたグッドウィルだが、同社の内部調査で、違法派遣は99社、103事業所にのぼっていたことが明らかに。

4社で2?4カ月なら、99社だと4?8年は事業停止になってもおかしくない計算。グッドウィルは、今月18日から業務を再開するが、厚労省もあらためて調査すべきだ。

派遣先99社で違法労働 グッドウィル昨夏点検 25都道府県で把握(東京新聞)
【関連】安全軽視まん延 グッドウィル派遣先 企業全体で防止努力を(東京新聞)

派遣先99社で違法労働 グッドウィル昨夏点検 25都道府県で把握
[東京新聞 2008年3月16日 朝刊]

違法派遣が行われていたグッドウィルの派遣先所在地(東京新聞)

 日雇い派遣最大手のグッドウィル(東京都港区)から労働者の派遣を受けた物流、建設など約100社が、違法な二重派遣をしたり、危険業務に労働者を従事させたりしていたことが、東京新聞が入手したグッドウィルの内部資料で明らかになった。派遣先の事業所は25都道府県に及んでおり、違法な派遣労働が全国規模で行われていたことが裏付けられた。同社は昨年夏の全国一斉点検でこうした実態を把握、派遣契約を打ち切ったとしている。
 現行制度では派遣会社が派遣先企業の違法行為を把握しても報告義務はない。グッドウィルは今年1月、港湾運送業務への派遣や二重派遣を繰り返したとして、厚生労働省から4?2カ月の事業停止命令を受けたが、関連した派遣先は物流など4社にとどまっていた。
 内部資料は、同社が昨年7月中旬から翌8月末にかけて行った一斉点検結果をまとめたもの。資料によると、違法派遣と認められた派遣先は、物流、倉庫、建設など99社(百蔵事業所)に上り、派遣現場は北海道から九州まで25都道府県に及んだ。
 最も多かったのは、派遣労働者を再派遣する二重派遣(職業安定法違反)で51件。次いで危険業種として派遣が禁じられている港湾運送業務への派遣(労働者派遣法違反)が30件、建設業務への派遣が17件、警備業務への派遣が1件。ほかに資料には「禁止業務」とだけ記された違法派遣が6件あった。
 99社に労働者を派遣していたグッドウィルの支店は全国80支店。99社の中には、グッドウィルが二重派遣と知りながら派遣していたとして、厚労省が事業停止の理由に挙げた佐川急便グループの物流子会社など2社が含まれている。
 一斉点検は、日雇い派遣大手のフルキャスト(渋谷区)が違法派遣で2?1カ月の事業停止命令を受けることになったのをきっかけに、長期間契約していた企業を対象に行った。

遺憾、深く反省

 グッドウィル広報室の話 違法派遣がこれだけ判明したことは誠に遺憾であり、深く反省している。総点検は昨年12月まで継続して行い、違法派遣でないことが確認できない派遣先との取引は停止した。

【関連】安全軽視まん延 グッドウィル派遣先 企業全体で防止努力を
[東京新聞 2008年3月16日 朝刊]

 やはり氷山の一角だった――。日雇い派遣最大手のグッドウィル(東京)の内部資料で、初めて明らかになった違法派遣の実態。派遣先の99社(103事業所)で、違法な二重派遣や危険労働が行われていた。グッドウィルの80支店が派遣先の違法行為を知っていたかどうかは不明だが、国への報告義務はなく、昨年の厚生労働省の調査で判明したのはわずか4社だった。労働者の安全を軽視した違法行為が企業社会にまん延していることを、内部資料は物語っている。
 厚労省はグッドウィルに事業停止命令を出した際、二重派遣や危険労働を行っていた派遣先3社に業務改善命令を出し、1社を刑事告発したが、当初から「業務停止の理由になった違法行為は氷山の一角」(グッドウィル元社員)とささやかれていた。
 グッドウィルが長期派遣先を対象に行った一斉点検は、全国の各支店が派遣先に調査票を配布。その後、回答を基に必要に応じて担当者が現地調査して資料にまとめた。
 同社などの派遣労働者でつくる派遣ユニオンの関根秀一郎書記長は、違法行為の半数を占めた二重派遣について「調査票だけでは二重派遣の有無は完全に把握できず、実際はもっとあるはず。派遣会社が見えないところで、労働者を商品のように別の会社に送り込む事例は多い」と指摘する。
 刑事告発された港湾関連会社「東和リース」(東京都港区)の二重派遣は、昨年2月に20代の男性が2次派遣先で足を骨折した労災事故をきっかけに発覚したが、両社が互いに責任を押し付け合って補償交渉は難航した。横行する二重派遣で、労働者は危険で不安定な立場に追い込まれている。
 事業停止中のグッドウィルの大半の支店は十八日から業務を再開する。厚労省は四月から、日雇い派遣規制の指針で、派遣会社に派遣先の定期巡回を義務付けるが、罰則規定はない。違法派遣をなくすためには、企業社会全体で、この問題にもっと厳しい姿勢で取り組む必要がある。(菊谷隆文)

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