新銀行東京:減資で都の持ち出しはさらに637億円

新銀行東京の「再建」計画は1000億円規模の減資を前提にしているというが、そのうち700億円は都の出資分。しかも、その資金は都債によって調達されているので、減資したとしても、都として700億円の借金があることは変わらない。しかし資産の方は価値がなくなるので、こういう場合、都は基金を積み立てなければならない。

その金額は、約637億円。つまり、400億円の追加資金とは別に、637億円の支出が必要ということだ。

しかし、都の予算には、この基金積み立てのための支出は盛り込まれていない。

ということは、「400億円だけだ」と言って追加出資を認めさせておいて、いよいよ減資が本決まりになったところで、「実は、あと637億円必要でして…」といってさらなる持ち出しを認めさせるつもりだったのではないのか? どこまで都民を愚弄するもりか!!

新銀行東京の再建計画、1000億円減資前提(日経新聞)
新銀行東京、再建なお難問・資産圧縮、効果は不透明(NIKKEI NET)
新銀行東京 追加出資「反対」73% 本社世論調査(読売新聞)
新銀行東京 追加出資に73%反対 本社世論調査(朝日新聞)

新銀行東京の再建計画、1000億円減資前提
[日経新聞 2008年3月25日付夕刊]

 多額の累積損失を抱えて東京都に400億円の追加出資を求めている新銀行東京(東京・千代田、津島隆一代表執行役)の再建計画が1000億円規模の減資を前提にしていることが25日、明らかになった。
 新銀行東京の現在の資本は都が出資した1000億円を含む約1189億円。一方、累積損失は3月末で1016億円にのぼる見通し。今回の追加出資を機に、この累積損失を解消し再建を円滑に進めるには、1000億円規模の減資が必要となる。
 ただ開業時に出資した1000億円のうち700億円分は東京都債で投資家から資金を募っている。地方財政の仕組み上、減資には都がこの都債を償還するため同額の基金を積み立てる必要がある。基金には開業以来、63億円の積み立てを実施ずみで、都は減資すると、残りの637億円を一括して積み立てなければならない。しかし、とはこの資金を2008年度予算案には計上していない。都は減資の方針を明確にしていなかった。

↓新銀行東京の「再建」なるものは、預金残高を今より20分の1に、貸出残高は5分の1に減らすというもの。それで、なんで黒字になるのかよくわからないが、そうならざるをえない理由は、新銀行東京が預金の大部分が高金利で集めた定期預金だから。高金利を続けられない以上、それらの預金は流出すると考えざるを得ないのだが、400億円の追加資金は、そのための資金として使われて消えてしまう可能性がある。

新銀行東京、再建なお難問・資産圧縮、効果は不透明
[NIKKEI NET 2008/03/25 07:01]

 経営難に陥っている新銀行東京(東京・千代田)への追加出資について東京都議会は25日、採決前の総括的な質疑に入る。自民、公明が賛成の方向で可決される見通しだが、増資後の計画には疑問点が残り、見込み通りに進むかは不透明だ。「単独再建は難しい」(石原慎太郎知事)として、他の金融機関との提携を目指すものの、交渉は難航も予想される。再建への明確なシナリオは見えてこない。
 同行の増資後の計画では、4年後の預金残高は現在の20分の1、貸出残高は5分の1と信用組合並みの規模にする縮小均衡路線を打ち出している。縮小せざるを得ないのは理由がある。同行の預金のうち9割以上は他行よりも高い金利で集めた定期預金で、ここ数年で満期を迎える。同行は再び高金利を提示する予定はなく、大半は他の金融機関に向かう可能性が高いとみている

「読売」「朝日」がこの問題で都民世論調査を実施。追加出資については、どちらも「反対」が73%(同じ数字になったのは偶然だろうが)。また、新銀行東京を存続させるべきかどうかでも、「やめる方がよい」65%(読売)、「清算すべき」61%(朝日)ときわめて高率。

新銀行東京 追加出資「反対」73%
本社世論調査「知事不支持」急増
[2008年3月25日 読売新聞]

 読売新聞社は21?23日、経営難に陥っている新銀行東京(東京都千代田区)に関して、都民を対象に世論調査を実施した。それによると、新銀行の経営支援策として、都が都議会に提案した400億円の追加出資案に反対する人は73%に上り、賛成は17%だった。都議会(議員125人)の過半数を占める与党の自民、公明両党は追加出資案に賛成の方針を固めており、今月28日の本会議で可決の公算が大きいが、都民は厳しい評価を示している。
 新銀行の事業継続については「やめる方がよい」が65%で、「存続」は21%にとどまった。中小企業支援という設立目的を果たしているか否かについては、「大いに」「ある程度」と肯定する人が21%で、「あまり」「全く」と否定する人は64%に達した。都側による追加出資理由の説明も、76%が「納得できない」とし、「納得できる」は13%だった。
 来年夏に予定される都議選の投票で、追加出資案に対する政党や議員の対応を判断材料にするかどうかを尋ねたところ、「する」と答えた人は58%で、「しない」の33%を上回った。
 石原慎太郎・都知事の支持率は51.1%となり、昨年7月の参院選時の調査より6ポイント下落して、1999年の調査以降、最低を記録。支持しないとした人は14.3ポイント増えて40.1%となり、不支持が急増している。
 調査は、都内の有権者を対象に、無作為に作成した番号に電話をかける方法で行った。有権者在住が判明した1612世帯のうち1060人から回答を得た(回答率66%)。

新銀行東京 追加出資に73%反対 本社世論調査
[asahi.com 2008年03月24日22時00分]

 朝日新聞社が22、23日、東京都民を対象に実施した世論調査(電話)で、経営難に陥っている新銀行東京に石原慎太郎知事が400億円を追加出資する考えについて、「反対」が73%にのぼり、「賛成」は17%にとどまった。新銀行東京は「清算するべきだ」が61%に達した。経営悪化について石原知事の責任は「大いにある」が44%、「ある程度ある」が49%で、合わせて9割を超えた。
 新銀行東京は石原知事が選挙公約に掲げ、都が1000億円を出資して設立したが、今年度末に累積赤字が1016億円に膨らむ見通し。石原知事は経営再建を目指し、追加出資案を都議会に提出している。
 追加出資について男女とも7割以上が反対し、すべての年代で6?8割が反対した。石原知事の支持層でも58%が反対し、石原都政を支える自民の支持層で62%、公明支持層でも大半が反対した。民主支持層では82%が反対だった。
 都が銀行経営に参入したことについては「うまく経営する方法はあった」が54%、「もともと無理があった」が35%で、中小企業支援という当初の目的に一定の理解がうかがえる。しかし、新銀行東京の今後は「経営再建を図るべきだ」は26%にとどまり、「清算するべきだ」が61%を占めた。
 新銀行東京の経営悪化に対する石原知事の責任は「あまりない」が4%、「まったくない」が1%で、大半が知事に責任があると見ている。特に50代以上では「大いにある」が「ある程度ある」を上回り、視線はより厳しい。新銀行の経営難や再建策に関する石原知事の説明が「不十分だ」は83%にのぼり、「十分だ」は6%にすぎなかった。
 新銀行の経営悪化について、都議会がこれまでチェック機能を「果たしてこなかった」が85%で、「果たしてきた」の4%を大きく上回り、都議会への不信感が示された。
 石原知事の支持率は47%(前回07年7月は53%)で、不支持率は39%(同32%)。不支持率はこれまでの調査で最も高かった。

それでも、石原知事の支持が5割あるというのは不思議というか、僕には理解不可能だ。

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