共産、独自路線で存在感

「秋田魁新報」3月22日付に、「共産、独自路線で存在感/党勢は上げ潮 政局動かすか」という論評を掲載しています。

共同通信・川上高志編集委員の論説ですが、国会審議のボイコットを繰り返す民主党に対し、「審議を通じて問題点を明らかにする」共産党、派遣労働問題での志位委員長の追及などに注目しています。

【政考政読】
共産、独自路線で存在感/党勢は上げ潮 政局動かすか
[秋田魁新報 2008年3月22日付]

 「上げ潮」の言葉は予想していなかった。経済成長政策を掲げる自民党の一派の話ではない。共産党の志位和夫委員長に「党勢回復は厳しいのでは」と尋ねたときのことだ。
 衆院の議席は現在わずか9つ。だが志位氏の答えは「昨年の参院選後の努力で、新しい上げ潮の流れをつくりつつあるんです」だった。
 党員が半年間で約5,000人増え、集会も盛況だ。各地の議会選挙で議席占有率・得票が伸びている。2月の京都市長選は、単独推薦候補が各党相乗り候補に951票差に迫る大善戦だった。志位氏が挙げた根拠だ。
 確かに最近、共産党の存在が「見える」場面がある。1つは国会対応だ。、
 「審議を通じて問題点を明らかにする」方針だから原則として審議拒否はしない。予算案が採決された2月末の衆院本会議に民主党は欠席したが、共産党は反対討論のために出席し、与党から大きな拍手を受けた。つなぎ法案撤回の議長あっせん、参院予算委員会の正常化にも共産党の働き掛けがあった。
 審議でも反響を呼んだ。派遣労働・雇用格差に絞って志位氏が政府に迫った委員会質問に対し、インターネットの掲示板に「やるじゃないか共産党」 「G・J(グッド・ジョブ)」などと書き込みが相次いだ。党員の高齢化が指摘されるが、派遣問題の追及は若い世代にアピールしたと手応えを感じたようだ。
 民主党とは国会戦術では共闘もする。だが政策面では手厳しい。自衛隊の「海外派兵」や憲法改正など「自民党と同質・同類だ」と批判する。
 ねじれ国会で二大政党が右往左往する分、独自路線がより明確に映るといえるだろう。
 ただ選挙情勢の厳しさは変わらない。前回の衆院選では小選挙区で1議席も取れなかった。次の衆院選は「参院選で得票率が8%以上の小選挙区」などの新しい基準で小選挙区の候補を絞り込み、比例代表に重点を置く。苦渋の生き残り戦略だ。
 この新方針に各党は穏やかでいられない。候補を立てない選挙区の共産党票はどこへ行くのか。自民党は「民主党に流れる」と恐れる。民主党は期待するが、志位氏は「単純には言えない。民主党にも辛い評価をしているから」とかわしている。
 自民、民主の超党派議員グループが相次いで結成される背景にも共産党への警戒がある。自民党の有力幹部は「衆院選後に共産党がキャスチングボートを握りそうなら民主党議員と連携する。そのための準備だ」と解説する。
 与党も民主党も単独で過半数を確保できなかった場合には…。「いろんなことは考えるけれど、選挙後のことを言うのは早い」と志位氏は笑ったが、共産党が政局を動かす場面が来るだろうか。(共同通信編集委員 川上高志)

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「秋田魁新報」2008年3月22日付記事

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