晴天の日曜日、午前中は都内某所で、最近の理論的な発展について、2時間余りどしどし語ってゆく。「普通選挙権が実現したのに、労働者階級の政権ができないのはなぜか?」「日本での民主的政権の展望はどう考えたらよいのか?」「生産手段の社会化の具体的なイメージは?」など、なかなか鋭い質問が飛び出す。終わってから、担当者には「あと2時間ぐらいあればよかったですね」と言われる。実際、レジュメを見てもらえば分かるとおり、2時間あまりで語るには中身を詰め込みすぎ。反省せねばなるまい。
で、質問のやりとりで、予定した時間を45分ほどオーバー。昼食をあきらめて、ただちに、横浜をめざして大移動する。
実は、2時から、みなとみらいホールで読響のコンサート。今月の読響はスクロヴァチェフスキが振るので、今日のみなとみらいホリデー名曲コンサート、11日(金)の東京芸術劇場名曲コンサート、18日(金)のサントリー定期演奏会と、全部チケットを押さえてある。(^_^;)
今日のプログラムは、以下のとおり。
- スクロヴァチェフスキ:コンチェルト・ニコロ(左手のためのピアノ協奏曲)
- ブルックナー:交響曲第2番 ハ短調 WAB.102
みなとみらいホールは、初めての会場。地下鉄みなとみらい駅の改札を通り過ぎたところで、慌てて戻って駅の窓口でホールの場所を確認。まったく逆の方向へ行こうとしていたので、聞いてなかったら遅刻して会場には入れないところだった。(^_^;)
地下3階からの長いエスカレーターを駆け上がり、会場到着は開演時間の2分過ぎ。オケのメンバーが舞台に入り始めたところで、なんとか滑り込む。
1曲目は、本日のソリストであるゲイリー・グラフマンのために、スクロヴァチェフスキが5年前に作曲した作品。左手だけで演奏するので、ぽろぽろと旋律を弾いている感じだけれど、現代音楽風でもあり、オケとの重ね合わせで、単調にはならない。スクロヴァチェフスキが85歳、グラフマンが80歳、というお見事な「後期高齢者」演奏会である。
休憩中にサンドイッチをパクつき、なんとか腹の虫をおさめて、後半のブルックナーの2番に備える。プログラムノーツによれば、第2番は、ブルックナーがあちこちに献呈しようしたのに、次々に断られてしまったそうだ。ワーグナーに2番と3番をみせたら、まだ作曲中だった3番の方を選ばれてしまった。つくづく不憫な作品。1871-72年に作曲されたが、結局、76-77年に大幅に改訂されている(その結果、現在の2番には、初期の作品らしいところと、5番以降のスケールのでかさとが混在しているように思う)。
スクロヴァチェフスキの指揮は、変幻自在。ブルックナーを自家薬籠中の物にしているが、それでもなかなか統一感が生まれないのは、やはり2番の限界か。第2楽章では、客の緊張感が切れ始め、あちらでガサガサ、こちらでゴソゴソ、雑音がし始める。ブルックナーの、天上から至福の音楽がきらめき降ってくるという響きがいまひとつなのは、会場のせいだろうか。しかし、読響の弦は透明感の高い、実にブルックナーにお似合いの音を出している。金管も大奮闘。そして第3楽章からは大いに盛り返し、第4楽章ではお得意の3連符で一気にブルックナーの世界に舞い昇ってゆく。
ラストが割とあっさり終わってしまうのが2番の物足りないところだが、最近ショスタコーヴィチばかり聞いていたので、ブルックナーの響きを非常に新鮮に聴いた。
【演奏会情報】 読売日本交響楽団 みなとみらいホリデー名曲コンサート
指揮:スタニスラフ・スクロヴァチェフスキ/ピアノ:ゲイリー・グラフマン/コンサートマスター:藤原浜雄/会場:横浜みなとみらいホール/開演:2008年4月6日 午後2時
【スクロヴァチェフスキ関連のブログ】
スクロヴァチェフスキ&読響/ブルックナー:交響曲第2番ほか – ETUDE
1/7 スクロヴァ(2008年):木こり日和:So-net blog
アリスの音楽館 – スクロヴァチェフスキ ブル2 読売日本交響楽団 芸劇マチネ 4/5
英楽館: 週末のコンサート2つ
スクロヴァチェフスキ指揮 読売日本交響楽団・3 – はくはつフクロウの独り言
ある日の追想: 今日もまた
東京芸術劇場マチネシリーズ 2008/04/05 東京芸術劇場(池袋) 私の芸術鑑賞記
読響・ブルックナーの季節 – だらだら備忘録
クラシカル・ウォッチ 読売日響・第99回芸劇マチネー
学習会のレジュメと資料はこちらから。