イラク派遣の空自、米兵輸送は憲法違反

空自イラク活動が違憲と判断され、手を振る池住原告団代表=17日、名古屋高裁前(共同通信)

自衛隊のイラク派遣の差し止めを求めていた裁判で、名古屋高裁が、一部違憲とする判決を下しました。ヽ(^o^)/

少なくとも、戦闘地域であるバグダッドに米兵を輸送するのは武力行使と一体であり、イラク特措法にも違反し、憲法第9条第1項に違反する、ということです。

「空自イラク派遣は憲法9条に違反」 名古屋高裁判断(朝日新聞)
イラクでの空自活動 違憲判断(NHKニュース)
空自イラク輸送活動、名古屋高裁が「憲法違反含む」と指摘(読売新聞)
イラク自衛隊:米兵輸送は違憲 差し止め却下 名古屋高裁(毎日新聞)

「空自イラク派遣は憲法9条に違反」 名古屋高裁判断
[asahi.com 2008年04月17日14時17分]

 自衛隊イラク派遣の差し止めや派遣の違憲確認などを求めて全国の市民3千人以上が提訴した集団訴訟の控訴審判決が17日に名古屋高裁であった。青山邦夫裁判長は原告の請求を退けた一審・名古屋地裁判決を支持、控訴は棄却したが、「現在の航空自衛隊のイラクでの活動は日本国憲法9条1項に違反している」との判断を示した。全国で起こされたイラク派遣をめぐる訴訟で、一、二審を通じて違憲判断が示されたのは初めて。
 判決は、首都バグダッドで米軍と武装勢力との間で激しい紛争が起き、一般市民に多数の犠牲者が出ていることを指摘。「イラク特別措置法にいう『戦闘地域』に該当する」と認定し、空自のイラクでの活動は武力行使を禁じたイラク特措法に違反し、憲法9条に違反する活動を含んでいると結論づけた。
 裁判は04年2月に最初の提訴があり、7次にわたって3237人が原告として名を連ねた。名古屋地裁は06年4月、派遣差し止めを却下、慰謝料請求を棄却、憲法判断を避ける判決を言い渡していた。
 控訴審には1122人の原告が参加した。審理の中ではイラクの現状を記録したDVDを見たり、原告側が申請した証人2人が陳述するなどして、裁判官側も原告の主張に耳を傾ける姿勢を示した。
 イラク派遣差し止めをめぐっては、北海道、仙台、栃木、東京、静岡、京都、大阪、岡山、熊本で各地裁に市民が提訴したが、これまで原告敗訴の判決が出ている。

イラクでの空自活動 違憲判断
[NHKニュース 04月17日 15時15分]

 自衛隊のイラク派遣は憲法に違反すると、名古屋市の市民グループが訴えていた2審の裁判で、名古屋高等裁判所は、航空自衛隊が戦闘地域であるバグダッドに多国籍軍の兵士を輸送している活動については「他国の武力行使と一体となった行動であり、みずからも武力行使したという評価を受けざるをえない」として、憲法9条に違反するという初めての判断を示しました。しかし派遣の中止などを求めた訴えそのものは退けました。
 この裁判は、名古屋の市民グループのメンバーなど1000人余りが「武装した自衛隊をイラクへ派遣することは憲法9条に違反し、国民は平和に暮らす権利を侵害された」として、国に派遣の中止などを求めているものです。1審の名古屋地方裁判所は訴えを退けました。
 17日の判決で、名古屋高等裁判所は、一連の活動のうち、航空自衛隊の現地での活動については「アメリカ軍からの要請を受け、武装した多国籍軍の兵員をクウェートから戦闘地域であるバグダッドへ空輸している。他国による武力行使と一体化した行動であり、みずからも武力を行使したとの評価を受けざるをえない」として、武力行使を禁止した憲法9条に違反するという初めての判断をしました。一方、自衛隊の派遣そのものについては「派遣の判断は防衛大臣に与えられた行政上の権限であり、私人が民事裁判で訴えることは適法ではない」などとして、派遣の中止などを求めた訴えそのものはすべて退けました。

空自イラク輸送活動、名古屋高裁が「憲法違反含む」と指摘
(2008年4月17日14時24分 読売新聞)

 自衛隊のイラク派遣に反対する市民グループのメンバーらが国を相手取り、派遣が憲法違反であることの確認などを求めた訴訟の控訴審判決が17日、名古屋高裁であった。
 青山邦夫裁判長(高田健一裁判長代読)は、「イラク特措法が合憲であったとしても、活動地域を非戦闘地域に限定した同法に違反し、憲法9条に違反する活動を含んでいる」と述べた。そのうえで、1審・名古屋地裁判決と同様、訴えが不適法だとして、原告側の控訴を棄却した。
 訴えていたのは、自衛隊イラク派兵差止訴訟の会(池住義憲代表)のメンバーと、天木直人・元レバノン大使の計1122人。原告側は、「イラク派遣は戦争放棄を定めた憲法9条に違反するほか、憲法前文に掲げられた平和的生存権を侵害され、精神的苦痛を受けた」と主張し、派遣の差し止めと違憲確認、損害賠償を求めていた。
 判決は、現在のイラクの状況について、「多国籍軍と武装勢力との間で、国際的な武力紛争が行われている」と指摘。そのうえで、航空自衛隊の活動について、「空輸活動のうち、少なくとも多国籍軍の武装兵員を戦闘地域であるバグダッドに空輸する活動は、武力行使を行ったとの評価を受けざるを得ない」と判断した

イラク自衛隊:米兵輸送は違憲 差し止め却下 名古屋高裁
[毎日新聞 2008年4月17日 14時44分(最終更新 4月17日 15時13分)]

 イラクへの自衛隊派遣は違憲だとして、全国の市民が国を相手取り、派遣の差し止めと違憲確認、原告1人当たり1万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が17日、名古屋高裁であった。青山邦夫裁判長(高田健一裁判長代読)は、米兵の輸送などを行っている航空自衛隊の活動について「武力行使を禁じた憲法9条1項に反する」と述べ、違憲と認定した
 原告が求めた損害賠償の支払いなどは退けた。全国の同種の訴訟で、航空自衛隊の活動を違憲と認定したのは同高裁が初めて。
 原告団は04?06年にかけ、7次にわたって3268人が集団提訴した。政府が04年、イラク復興特別措置法に基づきイラクに自衛隊を派遣したのは憲法9条に違反し、憲法が保障した「平和的生存権」を侵害したと主張してきた。国は「平和的生存権は抽象的な概念で、憲法に基づく具体的な権利ではない」と反論。差し止めと違憲確認の請求を却下し、損害賠償請求を棄却した1審判決に対し、原告のうち1122人が控訴していた。
 弁護団によると、イラク派遣では、全国の11地裁で12の集団訴訟が起こされたが、これまでに出た判決はいずれも原告側の訴えを退けている。【秋山信一】

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