5・3憲法集会の銀座パレードのあと、銀座シネスイッチで、フランス映画「譜めくりの女」を見てきました。(今年5本目)
少女メラニーはピアニストを夢見て、コンセルヴァトワールの実技テストにのぞんだが、演奏中に憧れの人気ピアニスト・アリアーヌ(カトリーヌ・フロ)が、審査そっちのけでサインをするのに動揺して、落第してしまう。以来、ピアノの夢を断念したメラニー(デボラ・フランソワ)は、弁護士のジャン・フシェクール(パスカル・グレゴリー)の事務所で実習生として働き始める。そして、休暇中のジャンの息子トリスタンの子守をやることになり、ジャンの家へ。ジャンの妻は、あのアリアーヌだった。アリアーヌは、演奏会のときの譜めくりを彼女に依頼する。しかし、やがてアリアーヌにとってなくてはならぬ存在になってゆく…。
ということで、ピアノ演奏会のときによく見かけるけれど、決して演奏会の出演者にはならない「譜めくり」の女性をテーマにした不思議な映画です。
法律事務所で実習をするメラニーがどうして譜めくりをすることになるんだろう? と思って見ていたら、そのうち、これはたまたまジャンの事務所で実習を始めた訳じゃないんだ、ということが分かってきて、そのあたりから、俄然、スリルが出てきます。メラニーがコンセルヴァトワールの試験を受けたときは、飛ぶ鳥落とす勢いの人気ピアニストだったアリアーヌも、数年前の交通事故が原因で見る影もない状態に。はたしてアリアーヌに接近したメラニーは、何をするのか…?
ということで、実はこの映画、サスペンスドラマだったんですね。(^_^;)
だから、筋は書きません。
それにしても、劇中でアリアーヌが演奏するのが、ショスタコーヴィチのピアノ三重奏曲第2番、というあたりが、いかにもフランス映画らしい、憎い演出です。アリアーヌの住む家が、地下にプール、庭にはテニスコートが2面もあるという豪邸なのにたいして、冒頭に出てくるメラニーの家は街角の小さな肉屋。こういう階層差をずばっと見せつけてくれるあたりも、なかなかうまい演出です。
アリアーヌ役のカトリーヌ・フロは、「女はみんな生きている」(2003年)では、浮気を繰り返す夫に反撃する逞しい主婦を演じていましたが、本作では、かつての栄光にすがりながら、必死に生きている落ち目のピアニストの雰囲気を見事に出していました。
メラニー役のデボラ・フランソワは、「ある子供」(2005年)の少女ソニア役で映画デビュー。本作が長編出演2作目ということですが、冷酷な思いを内に秘めつつ、アリアーヌを手玉にとってゆく難しい役所を見事に演じています。映画では、怪しい色気も漂わせて、これからが楽しみです。
ということで、連休1日目は終了? (^_^;)
【映画情報】
監督・脚本:ドゥニ・デルクール/音楽:ジェローム・ルモニエ/出演:カトリーヌ・フロ(アリアーヌ)、デボラ・フランソワ(メラニー)、パスカル・グレゴリー(ジャン)/2006年、仏/カフェグルーヴ=トルネード・フィルム/上映時間85分