いったい世界中で投機マネーはどれぐらいあるのでしょうか? もちろん正確・正式な統計調査などはありませんが、調べてみると、それを推測させるいろいろな数字が分かりました。
まずこれ↓は、世界の金融資産と名目GDPとを比較したグラフ。これによると、90年には名目GDPの1.7倍しかなかった金融資産が、2006年には3.2倍に膨らんでいます。
データの出所は、三菱UFJ証券チーフエコノミストの水野和夫氏が今年1月28日に、日本記者クラブでおこなった講演。PDFで公開されています。
http://www.jnpc.or.jp/cgi-bin/pb/pdf.php?id=319
なお、これは『週刊エコノミスト』2008年3月18日号でも紹介されていますが、『週刊エコノミスト』に載ったグラフの注には誤植があります。正確には、以下のとおり。
(注)1、世界の金融資産=世界の株式時価総額+世界の債券発行残高+世界の預金
2、世界の預金(マネーサプライ)は、日米、EU、英国、カナダ、ANIEs、ASEAN、中国、インドの合計
(出所)World Fedration of Exchange, IFS, OECD, ADB, 日銀, FRB, ECB
『週刊エコノミスト』では、「世界の預金」のところが、誤って「世界の金」になっていました。(そのために注の1と2の関係が分からず、しばらく頭を悩ませ、元資料を探して、水野氏の講演記録にたどり着いたわけです)
株式や債券、預金が全部投機マネーということではありませんが、その合計額が、実体経済の3倍もあるとしたら、やっぱりそれは、投機マネーでしょうねぇ。
↓こっちは、日銀の国民経済統計をつかって、日本の国内総資産の推移をグラフにしたものです(グラフは自前作成)。
2005年末の国内総資産は8,552兆円。それにたいして、2005年の日本のGDP(暦年・名目)は約501兆円。ということで、総資産はGDPの17倍以上です。金融資産6,089兆円は、実物資産1,240兆円の約5倍になります。しかし、金融資産6,000兆円というのは、あくまで名目的なもの。すべての人が一時に自分のもっている株式や債券を現金化しようとしたら、たちまち暴落し、資産価値はゼロになってしまいます。
グラフからは、90年代前半の土地“バブル”がどれだけ大きかったかも分かりますが、バブル崩壊後、土地資産は縮小したのに対して、金融資産はふくれあがり続けていることが分かります。
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