大阪・弥生文化博物館を守れ!

大阪センチュリー交響楽団と同じように、橋下府知事のPTによって、大阪の池上・曽根遺跡にある「大阪府立弥生文化博物館」も、廃止・統合(同じく大阪府立の「近つ飛鳥博物館」との統合)が計画されています。

しかし、「弥生文化博物館」の最大の魅力は、弥生時代の大規模な環濠遺跡である池上・曽根遺跡のすぐ近くにあること。また、「近つ飛鳥博物館」は古墳時代を対象とした博物館で、時代の違うものをごたまぜにすることは、かえって博物館の魅力を失わせるものです。

弥生文化博物館 存続求め集会(読売新聞)
文化切り捨て許せない 大阪・弥生文化博物館 存続求め市民集会(しんぶん赤旗)
弥生文化博物館:存続求め、和泉で市民の会結成――11日集会/大阪(毎日新聞)
弥生文化博物館:大阪府PT案で廃止 金銭で考えるのか――金関恕館長に聞く(毎日新聞)
橋下PTと府教委、公開討論で激突(朝日新聞)
橋下知事が売却方針の博物館敷地から大型首長墓 売却は不可能?(MSN産経ニュース)
改革直撃 博物館、ゼロ予算と格闘(読売新聞)
89歳老学者、38歳大阪府の橋下知事を叱る(MSN産経ニュース)

弥生文化博物館 存続求め集会
[2008年5月12日 読売新聞]

 PT試案で統廃合の方針が示された府立弥生文化博物館(和泉市)の存続を求める市民集会が11日、池上曽根史跡公園(同市、泉大津市)で開かれ、約300人が参加した。「府立弥生文化博物館を守る市民の会」(南次郎会長)の呼びかけで開催。井坂善行・和泉市長や神谷昇・泉大津市長、両市選出の府議が出席し、「文化財はその地域のなかにあってこそ意義がある。府立近つ飛鳥博物館への集約は暴挙」と、弥生文化博物館の現状のままの存続をアピール。試案に異議を申し立てるとの集会宣言を採択した。

文化切り捨て許せない 大阪・弥生文化博物館 存続求め市民集会
[2008年5月12日 しんぶん赤旗]

 大阪府改革プロジェクトチームの財政再建試案(PT案)が施設の廃止を示した、和泉市の府立弥生文化博物館の存続を求める市民集会が11日、同館近くの池上曽根史跡公園内に復元された「いずみの高殿」前で開かれました。これに先立ち、地元住民や市議らは同館を守ろうと「市民の会」を結成。存続を求める署名を今月中旬にも橋下徹知事に提出する考えです。同日までに約一万人分の署名が集まっているといいます。
 同博物館の廃止、府立近つ飛鳥博物館(河南町)への統合―を示したPT案を受け、考古学などを専門とする佐古和枝・関西外国語大教授らが講演しました。佐古氏は、鳥取県内での遺跡の保存運動について紹介。文化や歴史に立脚した街づくりの重要性を指摘したうえで、施設の統廃合の判断基準が明らかにされないまま「押し切られるのは納得がいかない」「考古学界にとっても大損失」だなどと訴えました。
 京都橘大の一瀬和夫教授や、史跡公園の整備にかかわった岸本直文・大阪市立大准教授は、1960年代から続く同史跡の保存運動の意義を解説。史跡や博物館は一体のものだと強調しました。
 住民からは「どうしたら博物館を守れるのか」といった率直な質問のほか、「日本人の文化を切り捨てるもの。認めがたい」といった意見が聞かれました。
 集会には、井坂善行・和泉市長や神谷昇・泉大津市長らが同席。PT案に異議を訴える宣言書を採択しました。

弥生文化博物館:存続求め、和泉で市民の会結成――11日集会/大阪
[毎日新聞 2008年5月8日 地方版]

 府改革プロジェクトチームの財政再建試案(PT案)で廃止の方向が示された和泉市池上町の府立弥生文化博物館の存続を求めようと、地元住民らが市民の会を結成した。11日午後2時、同館近くの池上曽根史跡公園内で「存続を求める市民集会」を開く。同会は10万人を目標に既に約5000人分の署名を集めており、11日も会場周辺で署名活動をし、今月中旬に橋下徹知事あてに、集まった署名と要望書を提出する方針。
 PT案では同館を廃止し、府立近つ飛鳥博物館(河南町)へ統合する方向性が示されている。これに対し、和泉、泉大津両市の会社員や主婦、市議らが「府立弥生文化博物館を守る市民の会」を結成。同館が国史跡で弥生時代の池上曽根遺跡のすぐ近くにあることを強調し「博物館が遺跡の地にあってこそ、一体となって弥生時代を実感することができる」と訴えている。
 集会では、佐古和枝・関西外国語大学教授らが、同館の存続意義や魅力などを基調講演で紹介し、シンポジウムもある。また、PT案に異議を申し立てる宣言書を採択する予定。【久保聡】

弥生文化博物館:大阪府PT案で廃止 金銭で考えるのか――金関恕館長に聞く
[毎日新聞 2008年5月2日 大阪夕刊]

◇教養のためのサービス
 大阪府の改革プロジェクトチームが4月11日、1100億円の収支改善を目指す「財政再建プログラム試案」(PT案)を発表した。府立博物館については弥生文化博物館(和泉市)を廃止し、近(ちか)つ飛鳥博物館(河南町)に集約する案が含まれている。弥生時代研究の第一人者で91年の創立時から弥生文化博物館長を務める金関恕(ひろし)・天理大名誉教授(考古学)に聞いた。【山成孝治】

◇機能集約、池上曽根遺跡にある意味を無視

 ――今回の問題についての話し合いは。

 ◆知事が視察に来た時、ごく短い時間だが話をうかがった。「この博物館をどうお考えか」と尋ねると、知事は「府内のこうした施設全体について、こんな活動しかできないかと疑問に思っている」という趣旨の話をされた。「こんな活動」が何を指すのか分からないが、その後の記者会見でも同様の評価を話している。

 ――その考え方をどう思うか。

 ◆もし廃止につながるなら、私個人としては憤懣(ふんまん)やるかたなく、むなしい気もするが、博物館の廃止を公約のように掲げ、府民の支持を受けて当選した方だから、知事の個人的な思いだと切り捨てることはできないだろう。

 ――弥生博の廃止は府民の理解が得られるだろうか。

 ◆そうは思わない。館の活動が府民の皆さんに受け入れられているという自信はある。

 ――廃止の理由については。

 ◆各施設の活動を公平に評価した結果でなければ、どの博物館が一番、処分しやすいか、ということではないか。弥生博は国道に面して地価が高いという考えかもしれない。

 ――博物館には人手とお金がかかる。

 ◆フランスのルーブル美術館や英国の大英博物館などは非常に多くの人が訪れている。しかし、大英博物館などは無料で、経営的な採算はほとんど考えていないと言ってもいいだろう。私たちの活動は人々の教養のためのサービス業。これを金銭的にプラスかマイナスかという基準で考えることが正しいことなのだろうか。

◇次の世代「間違い」と評価も

 ――行政が目指すべき文化活動とはどのようなものだろうか。

 ◆教育も文化の一つで、府が府民の税金で教育の予算を組み、学校を経営する。弥生文化博物館では毎年4?6月の3カ月間だけで、約1万5000人の小中学生が見学に来る。学芸員が説明し、子どもたちが歴史を学ぶ手助けをしている。これは社会教育施設として、私たちが具体的に取り組んでいる例の一つに過ぎないが、こういうサービスは当然、府としてやるべきことだろう(大阪府立博物館は義務教育の中学生まで入館無料)。

 ――PT案では弥生博の機能は近つ飛鳥博に集約するとなっている。

 ◆博物館活動はどこでやっても同じではない。府立博物館が全部、サイトミュージアム(遺跡博物館)として深く遺跡と結びついているからだ。弥生博は全国的な規模と内容を持つ弥生時代の集落だった池上曽根遺跡にある。国道が遺跡を縦断するため、空前の規模で、空前の予算を使って、発掘調査された。大きな反対運動も起きた。どんな調査をし、どんな遺物が出たかを現地で展示し、遺跡破壊の代償にしようと予算が組まれた。さらに、日本の弥生時代全体を考え、その中で池上曽根遺跡の重要性も示す弥生の総合博物館という形で整備した。

 ――予算の規模は。

 ◆今、1億6000万円で運営しているが、それを1億円でやれ、と値切られれば、大変つらいけれども、我慢しながら見学者の満足度をあげる努力はできる。

 ――赤字にならない博物館は可能なのか。

 ◆可能だろうが、義務づけられるとつらい。欧州などは博物館の歴史が古く、市民生活に定着している。だから、博物館を造れば、少々、費用がかかっても行きたい、という人の数が多いかもしれない。しかし、同様の施設を明日の暮らしをどうするかという人たちが多い国で維持しろと言われれば難しいだろう。

 ――博物館をつぶしたあとで、「やはり必要だった」ということがありうるのか。

 ◆次の世代が「あれは間違いだった」と評価することは十分にありうる。

橋下PTと府教委、公開討論で激突
[asahi.com 2008年05月01日]

 大阪府の改革プロジェクトチーム(PT)がまとめた財政再建案のうち教育施策をめぐり、1日、PTと府教委が約1時間の公開討論をした。PTが廃止や削減とした事業や施設について、府教委はすべて意義を強調、討論は平行線のまま終わった。橋下徹知事が6月に判断を下す。
 「小学1、2年生の1学期の欠席者が約1万人減った。授業がわかりやすい、学校が楽しいという子が増え、保護者の9割が評価している」
 綛山(かせやま)哲男教育長は冒頭、小学1、2年生の35人学級を廃止し、40人学級に戻すというPT案に強く反発した。一方、PTは「毎月児童1人あたり1500円を負担している現状をどう考えるのか」と切り返した。
 いじめや不登校などに対応する教職員OBや非常勤講師の人件費カット、学校のいじめ対応を専門家が支える「こども支援チーム」の廃止についても、府教委は「子どもの命を救うセーフティーネットが壊れる」と主張。
 府立の弥生文化博物館(和泉市)を廃止し、近つ飛鳥博物館(河南町)に機能を集約する案では、PTが「遺跡がある場所に博物館がなくてもいいのでは」と迫ったのに対し、府教委は弥生、古墳それぞれの遺跡のそばにあれば歴史を肌で感じることができると、教育効果を強調した。

橋下知事が売却方針の博物館敷地から大型首長墓 売却は不可能?
[MSN産経ニュース 2008.5.1 12:21]

 大阪府の橋下徹知事直轄の改革プロジェクトチーム(PT)がまとめた「財政再建プログラム試案」(PT案)で施設売却の方針が示されている府立弥生文化博物館(和泉市)の敷地地下に、弥生時代の大型首長墓が埋まっていることが1日、関係者の話で明らかになった。隣接する国指定史跡・池上(いけがみ)曽根遺跡の関連遺跡として追加指定される可能性があり、売却は事実上、不可能だという。同博物館を所管する府教委は同日午後、改革PTとの公開議論でこうした説明を行うとみられる。
 同博物館は平成3年、隣接する池上曽根遺跡の発掘調査の成果をもとに、弥生時代をテーマにした日本唯一の歴史博物館として開館した。建物の地下遺構は破壊されていたが、国道26号からの進入路近くからは、同遺跡の首長層を埋葬した大型方形周溝墓(しゅうこうぼ)が数基確認された。このため、墓群は盛り土して保護している。
 この土地を売却する場合には発掘調査を行うが、史跡から100メートルほどしか離れておらず、「近畿で数少ない弥生の大型周溝墓群」として、追加指定されるとみられる。
 PT案は同博物館について、展示物を「近つ飛鳥博物館」(河南町)に移転し、施設は売却するとしている。
 都出(つで)比呂志・大阪大学名誉教授(考古学)の話 「弥生博物館の周囲が墓群であることは、これまでの調査でわかっている。近畿の大型周溝墓は残されておらず、きちんと調査すれば、追加史跡の価値は十分ある」

 【池上曽根遺跡】大阪府和泉市池上町と泉大津市曽根町にまたがる弥生中期の日本を代表する環濠(かんごう)集落で、東西南北各約1.5キロ。昭和40年代から本格的な発掘調査が行われ、中心部の約11ヘクタールが国史跡に指定されている。平成7年には高床式の大型掘立(ほったて)柱建物跡がみつかり、ヒノキ柱の年輪年代測定の結果、紀元前52年に伐採されたことが判明。畿内の弥生中期の先進性が証明された。

改革直撃 博物館、ゼロ予算と格闘
特別展→館蔵品展 近つ飛鳥など
[2008年04月19日 読売新聞]

 大阪府立近つ飛鳥博物館(河南町)が26日から7月27日まで、館蔵品展「近つ飛鳥と渡来人―よみがえる一須賀古墳群―」を開く。橋下徹知事が暫定予算で事業費を盛り込まなかったため中止になった春季特別展の代わりに、予算を使わずにできる収蔵品による展示を短期間で企画した。府立弥生文化博物館(和泉市)も、春季特別展を開催できず、館蔵品展「もっと知りたい弥生のくらし」を7月13日まで開催中。両館は「館蔵品だけでは限界がある」と、今後の活動に不安をのぞかせる。
 近つ飛鳥博物館では年2回特別展を開催しており、26日から、前方後円墳が成立した時代に関する春季特別展の開催を計画、約1年かけて全国の博物館などから資料を借りる準備をしていた。ところが2月上旬になって、7月末までの暫定予算に事業費700万円が盛り込まれない方針が決まり、開催が不可能になった。
 「予算ゼロでできることを」と学芸員らが考え、館蔵品を展示することに。同館は周囲に広がる一須賀古墳群(6世紀前半?7世紀前半)の出土遺物数千点を収蔵しており、金製の耳飾りや、金銅製のかんざしなど約250点を初めて一括展示する。このうち約2割は常設展示されているが、残りは日ごろ、収蔵庫に収められている。
 弥生文化博物館も暫定予算で特別展の事業費が盛り込まれなかった。
 府立博物館条例は両博物館の設置目的を、歴史、民俗等に関する資料の収集、保管、展示とし、「府民の文化的向上に資する」とうたう。博物館関係者は「このままでは十分な活動ができない」と話している。
 橋下知事直轄のプロジェクトチーム(PT)がまとめた財政再建プログラム試案では、弥生文化博物館を廃止し、近つ飛鳥博物館に統合するよう求めている。

89歳老学者、38歳大阪府の橋下知事を叱る
[MSN産経ニュース 2008.4.9 00:16]

 大阪府の橋下徹知事が進める府立施設の見直し計画について、直木孝次郎・大阪市大名誉教授らが8日、府教委を通じて府立弥生文化博物館(和泉市)などの存続を求める署名などを再提出した。このあとの記者会見で、難波宮跡の保存運動などで知られる89歳の老学者は、「秦始皇帝の焚書坑儒(ふんしょこうじゅ)にも比すべき暴挙」と、38歳の若い知事を叱(しか)った。
 府改革プロジェクトチームは今週末にも、府立施設見直しの素案をまとめるが、弥生文化博物館と泉北考古資料館(堺市)は、近(ちか)つ飛鳥博物館(河南町)への統合を検討するとの方向性を示している。
 直木さんら歴史、考古学者は、全国から寄せられた1万189人分の統合反対署名を提出するとともに記者会見。「弥生博は弥生時代を代表する池上(いけがみ)曽根遺跡に隣接する弥生時代専門の博物館。泉北資料館も日本の焼き物の発祥地である陶邑窯跡(すえむらようせき)群を実地で見学できる施設。現場を離れてしまっては意味がない」と反対理由を述べた。
 旧海軍で軍隊生活も経験した直木さんは、歴史に学ぶ重要性を痛感し、日本の古代史研究をリードしてきた。昭和30年代から始まった難波宮跡(大阪市中央区法円坂)の保存運動を中心となって進めた。また歌人としても有名で、昭和62年の宮中歌会始の召人をつとめている。
 直木さんは、橋下知事が「図書館だけ残してすべて見直す」と話していることにもふれ、「本を読むことは大事だが、『百聞は一見にしかず』という諺(ことわざ)もある通り、本だけではわからないこともある」と、知事の文化に対する認識不足を批判した。

大阪府立弥生文化博物館のホームページは↓こちら。
大阪府立弥生文化博物館

こっち↓は、大阪近つ飛鳥博物館。
大阪府立近つ飛鳥博物館

池上曽根遺跡はどういう遺跡かは、↓こちらの「池上曽根」の項目をクリックしてください。
池上曽根弥生学習館

↓「橋下改革」にたいして、弥生文化博物館をはじめ、大阪府の博物館を支援しようという会のホームページです。博物館の廃止・売却に反対する署名用紙も、こちらからダウンロードできます。
大阪府の博物館をみんなで支援しよう

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください