今週の『週刊朝日』(5月23日号)で、サンプロでお馴染みの田原総一朗氏が、伊藤忠の丹羽宇一郎会長を前に、こんなふうにマルクスを語っています。
田原 マルクスは、資本主義が金融資本主義になり、その信用がダメになって経済は破綻する、と書いています。
丹羽氏が「まだそこまではきていない」としながら、「サブプライムローン問題は、そうした傾向の一つの表れでしょうね」「ドルやアメリカの銀行への不信感にとどまらず、アメリカそのものへの不信感がこのまま広がったら世界大恐慌ですよ」と、受けざるをえなかったというのもおもしろい話ですが、田原氏は、どこでマルクスを仕入れたんでしょう?
というのも、「マルクスは、資本主義が金融資本主義になり、その信用がダメになって経済は破綻する、と書いています」というマルクス論は、世間一般で流布している“マルクスはこんなことを言った”というものからすると、ちょっと外れています。金融・信用に焦点を当てたこのような議論は、常識的なマルクス論だけでは、ちょっとでてこない発言のように思います。
では、田原氏は、どこでこのようなマルクス理解を仕入れてきたか?
そういえば、このあいだの日曜日のサンプロで、中曽根康弘氏、土井たか子氏とともに共産党の不破哲三氏を相手にした田原氏は、不破さん相手に、「マルクスは、世の中をどう変えるかというために経済学を勉強して『資本論』を書いた」と発言していました。だから、ひょっとすると、この企画のために、不破さんの書いたものを含めて、マルクスの勉強をしたのかも知れません(あくまで、勝手な推測ですが)。