昨日は、サントリーホールで、都響定期演奏会Bシリーズを聴いてきました(今年18回目)。チェロのガブリエル・リプキンは1977年生まれの31歳、指揮者のヤクブ・フルシャにいたっては1981年生まれの27歳、うむむ…。
- スメタナ:歌劇「売られた花嫁」序曲
- ショスタコーヴィチ:チェロ協奏曲第1番 変ホ長調 op.107
- (休憩)
- プロコフィエフ:バレエ音楽「ロメオとジュリエット」より
やっぱり、この日のメインは、リプキンでしょう。
ホルンは、緊張しすぎたのか、ちょっと危なげでしたが、リプキンは、難曲といわれるこの曲を自由に弾きまくった、という感じです。よほど気持ちよく演奏できたのか、3曲もアンコールがありました。
- J.S.バッハ:無伴奏チェロ組曲第3番から ”ブーレ”?.?
- デュポール(リプキン編曲):エチュード第7番
- ポール・ベン・ハイム:チェロのための音楽 「Slow(スロー)」
アンコール1曲目は、ショスタコーヴィチの陰鬱さとはうって変わった曲で、奏者の違った面を見せてくれたように思いました。2曲目は、「チェロ奏者は、誰だって、毎日毎日、これの繰り返し…」と言いながら、基本練習をしてみせたあとで、それの超アレンジといった感じで演奏。3曲目は、イスラエルの現代音楽の作曲家(1897〜1984)の作品なのだそうだ。
3曲目は、ホールの証明が明るくなってからで、ちょっと調子に乗った感もあったけれど(そもそも、指揮のフルシャがオケのあいだに座り込んでしまって、引っ込まないのだから)、リプキンの“巧さ”を楽しむことができました。
後半は、SoftbankのCMですっかりお馴染みになった「モンタギュー家とキャピュレット家」をふくむ超有名な作品。全曲版だと52曲あり、そこからプロコフィエフは、都合3つの組曲(第1組曲、第2組曲のほかに、1944年に第3組曲をつくったらしい)をこしらえたそうですが、この日は、全曲版第1曲の前奏曲と、同じく全曲版第52曲「ジュリエットの死」を最初と最後において、間に、第1組曲と第2組曲から曲を選び、ほぼストーリーの展開順に並べたという独自の構成。
- 前奏曲(全曲版第1曲)
- モンタギュー家とキャピュレット家(第2組曲第1曲)
- 少女ジュリエット(第2組曲第2曲)
- 仮面(第1組曲第5曲)
- ロメオとジュリエット(第1組曲第6曲)
- タイボルトの死(第1組曲第7曲)
- 別れの前のロメオとジュリエット(第2組曲第5曲)
- ジュリエットの墓の前のロメオ(第2組曲第7曲)
- ジュリエットの死(全曲版第52曲)
やっぱり、「モンタギュー家と…」や「タイボルトの死」「ジュリエットの前のロメオ」など、迫力ある曲が印象に残りました。
それにしても、この日のプログラムの意図は何だったんでしょう? 「盗まれた花嫁」と「ロメオとジュリエット」のつながりは分かるし、ショスタコとプロコもロシアつながりということで分かるのですが、3曲全体となると、はて? という感じ。27歳の指揮者の器用さも分かりましたが、2曲目が緊張を要する曲だっただけに、後半は聴く側がちょっとだらけました。
さて、来週は、小泉和裕氏のレジデント・コンダクター就任披露公演です。
【演奏会情報】 東京都交響楽団第662回定期演奏会Bシリーズ
指揮:ヤクブ・フルシャ/チェロ:ガブリエル・リプキン/コンサートマスター:山本友重/会場:サントリーホール/開演:2008年5月14日 午後7時?