「毎日」夕刊「特集ワイド」に共産党・志位委員長!!

「毎日新聞」2008年5月21日付夕刊の紙面から

今日の「毎日新聞」夕刊の2面「特集ワイド」欄に、共産党の志位和夫委員長が登場しました!!

「『派遣労働』国会質問 若者の声代弁」「ネットでモテモテ」「ウルトラCなるか!?」という見出しで、志位委員長がインターネット上で人気となっていることを紹介しています。

特集ワイド:ネットでモテモテ、志位和夫・共産党委員長 ウルトラCなるか!?(毎日新聞)

特集ワイド:ネットでモテモテ、志位和夫・共産党委員長 ウルトラCなるか!?
[毎日新聞 2008年5月21日 東京夕刊]

◇「派遣労働」国会質問、若者の声代弁

 志位和夫・共産党委員長(53)がインターネット上でモテモテだ。きっかけは、派遣労働を取り上げた2月の国会質問。延べ14万人以上が動画を目にし、好意的な反響が相次いだ。低迷が続く共産党だが、果たして次の衆院選で「ウルトラC(志位)」の大躍進なるか?【遠藤拓、写真は北村隆夫撮影】

 「涙が出ます。労働者は団結して共産党を応援しなければ」「派遣先企業・派遣会社は奴隷制度の片棒を担ぐ、悪代官」。切実なコメントばかりと思いきや、「GJ(グッジョブ=よくやった)」「C(志位)! C! C!」と、軽いノリの書き込みも。
 どれも志位さんが福田康夫首相を追及した国会質問への動画サイト上の反響だ。不思議な軽さが入り交じるのが、いかにも当世風。志位さんの反応が知りたくて、東京都渋谷区の共産党中央委員会を訪ねた。
 「大勢の若者が、『派遣労働は地獄だ』との感想を寄せてきた。反響が起こったのはうれしいけど、非常に重い責任を感じます。解決まで一緒に戦わなければ」。浮かれたところはまったくない。
 それもそのはず、状況はあまりに深刻だ。こんな告発もあった。流産した女性が翌日にはもう働きに出た。別の派遣労働者夫婦が、妻の妊娠で2人ともクビ??。「ルールなき資本主義。人間らしい労働が壊され、その中核に派遣問題がある」と熱もこもる。
 ところで志位さん、さしずめ「志位萌(も)え現象」とも言えるこの人気、どうですか。「もう、ちょっと(笑い)。まあ、いろんな若者がですね、自分と同じことを考えている人がいたんだと知ってくれたと思うんですよね。ということだと思うんです」
 しどろもどろ。国会質問で見せた雄弁さはいったいどこへ? 「答えにならないと言われるかもしれないけど、『蟹工船(かにこうせん)』がブームでしょ。小林多喜二に若者が共鳴する状態が広くある。その苦しみに心を寄せられるかが政治家に問われるんじゃないか。私自身は少なくともその思いで取り組んできたし、それが(人気に)つながったと思います」

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 きまじめというか、堅物というか。失礼ながら、「オタク」から一目置かれる麻生太郎・自民党前幹事長のように軽妙な話術もなければ、イケメンでもない。なぜ、こうもウケるのか。ジャーナリスト、佐々木俊尚さんはこう分析する。
 <追及スタイルがきわめてブログ論壇的だった……霞ヶ関から引き出したデータや全労連経由で集めた証言などをニュースソースとして提示し、その上にひとつひとつ論理を重ねて政府側を攻めていくという手法を採り、きわめて説得力にあふれていた>(「諸君!」5月号)
 つまり、人柄やキャラクターでなく、政策論争の中身そのものが評価された、ということだ。これまでの共産党は、政策本位で突き進むあまり、お世辞にも有権者の心をつかむのはうまくなかった。でも、ネットを使い、得意の政策で勝負できるのなら、党勢拡大につながるのではないか。今後はどう、ネットを活用しますか? 「ネットの可能性は大いに開拓したい。でも、やっぱり一番は中身。中身抜きでテクニックうんぬん、ではありません」。やっぱりきまじめだ。

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 政治家のネット人気、その先輩格はやはり麻生さんだ。昨年の自民党総裁選では追っかけもいたらしい。非正規雇用問題に詳しい作家、雨宮処凜(あまみやかりん)さん(33)は言う。「麻生さん人気はただのネタで、若者が面白がっているだけ。一方、志位さんは若者の生活実感を代弁し、感動を呼んだ。人気の質はまったく異なります」
 では、志位さんの人気は、次の衆院選にどう影響するだろう。「今の若者は共産党アレルギーはないし、支持につながる可能性は十分あります。ただ、貧困を政治に利用している、と感じさせたらダメ」
 最近は非正規雇用にあえぐ若者が、既存労組に頼らない独自のメーデーを各地で開いている。しかし、志位さんが足を運んだ話は聞かない。今シーズン、札幌、福岡など4カ所を回った雨宮さんは「来て当然なのに、との雰囲気があった」と証言する。ひょっとして志位さん、共産党色の薄い、緩やかな集まりは苦手なのか。
 すると、こんな反論が。「私から門戸を閉ざすつもりは一切ない。声をかけてもらえばどこへでも行きますよ」。でも、他党のセンセイ方は、さして歓迎されずとも、いろんな集まりに首を突っ込んでいますが……。
 雨宮さんはこうも言った。「若者が一番嫌うのは、ごりごりした組織に縛られること」。かつては青年運動でならした志位さん、こうした若者とどう接しますか。
 「若い人たちの悩みをとっくりと聞く、これがすべての出発点」。でも、こうも漏らした。「『頑張れ型』ではうまくいかない。『我々の世代はこう戦ったから、あなた方もこう戦いなさい』とのお説教は一番嫌われる」

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 実は国内の「蟹工船」ブームだけではない。米国や英国では「共産党宣言」「資本論」のマルクスがはやっているらしい。そんな中で、共産党が次の衆院選をどう戦うのか。
 「貧困や投機マネー、環境破壊で、資本主義は立ち行かなくなりつつある。大企業と米国から国民に軸足を置く政治にしよう、そして資本主義そのものでよいか、と大いに問いかけたい」。昔ながらの主張がどこか新鮮なのは、世の中が変わったからか。
 もしかして、「ウルトラC(志位)」の大躍進も? ネットの書き込みさながらのだじゃれをぶつけると、笑った。「うーん、そういう期待もね……。ただ、新しいプロセスが始まったとは思います。(過去に躍進した)1970年代、90年代にはなかった、資本主義批判の問題が正面の主題になってきた」
 社会主義の展望を語る志位さん、どこかうれしそうだ。共産党への風向きは、そして日本の社会は変わるのか。ちなみに、ネットには「名前を変えたら支持する」との感想が相次いだが、「共産党」の看板を引っ込めるつもりはないらしい。

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■人物略歴
◇しい・かずお

 1954年、千葉県生まれ。東京大在学中に共産党入りし、卒業後党職員に。90年、議員経験はなかったが書記局長に抜てきされた。93年衆院選初当選、当選5回。00年から委員長。

それから、ついでにといったら何ですが、「声に出して読む」でお馴染みの齋藤孝氏(明治大学文学部教授)が、『週刊ポスト』5月30日号で、マルクスについて書かれています。齋藤氏の連載「賢者はかく語りき」の第165回で、「『格差社会』の予言者に巨視的捉え方を学ぶ」と題して、マルクスの「経済学・哲学草稿」や「フォイエルバッハにかんするテーゼ」の一節を紹介されています。

齋藤孝「賢者はかく語りき」(『週刊ポスト』5月30日付から)

そのなかで、齋藤氏は、マルクスについて、こんなふうに書いています。

 カール・マルクス。
 このユダヤ系ドイツ人は、間違いなく最も社会に影響を与えた人物の1人にもかかわらず、振り返られることが少なくなった思想家だ。
 21世紀のいま、マルクスは過去の遺物だろうか? いやそうではあるまい。私は、彼の「資本主義」に関する予言は、いまなお有効だと思う。
 例えばこんな一節。
 ≪大資本家は小資本家を破滅させ、そしてかつての資本家たちの一部は労働者階級に転落する≫(『経済学・哲学草稿』)
 つまり、資本の一極集中を的確に予言しているのである。「パリ草稿」と呼ばれるこの論が書かれたのは、日本でいえば江戸時代、「天保の改革」の頃。そんな時代に、資本主義の行く末をいい当てているのだ。さらに労働者については、資本の集中が労働量を増大させるとした上で、こう記す。≪同一量の勤労がより多量の製品をもたらし、それが過剰生産となり、その結果は、労働者の大部分を失業させるか、それとも彼らの賃金を悲惨きわまる最低限にまで切り下げるか、どちらかということになる≫(同前)
 資本の集中は、生産を過剰にし、さらには格差を生む。マルクスは「世界市場」という概念さえ、すでに用意している。150年以上も前に、これだけ的確に予見する力とはいったいどんなものだろうか。
 私は、マルクスの「予言力」の源は、彼の巨視的な捉え方にあったと考えている。いまマルクスから私たちが学ぶべきことは、革命の思想ではない。この「巨視的な捉え方」、言い換えれば構造的なものの見方なのではないか。(『週刊ポスト』2008年5月30日号、70?71ページ)

といいつつ、氏が紹介する「巨視的な捉え方」というのが、“会議がうまくいかない場合に、会議室の広さや席の配置など、会議を構造としてとらえ直したらどうだろうか”というものだから、どこが巨視的なんだと突っ込みたくなります。また、自分が学生だったころの「マルクスをめぐる状況」は「宗教に近かった」とか、マルクスの「予言」とか、宗教チックな言葉遣いも気になるところですが、しかし、そういうことは別にして、資本主義にかんするマルクスの科学的な予見は「いまなお有効だと思う」と言われ、なおかつ、それを可能にしたのはマルクスの「巨視的な捉え方」だというのは、その通りだと思います。

見出しに「カール・マルクス(その1)」とあるところをみると、次回にも続くようです。さて、「声に出して読むマルクス」は、いったいどこへ続くのでしょうか? 楽しみです。

さらにもう1つ。

「日経新聞」の本日付夕刊1面のコラム「波音」が、「格差と多喜二」と題して、『蟹工船』ブームを取り上げています。

◇格差と多喜二
[日経新聞 2008/05/21付夕刊]

 「貧富の格差は広がりすぎている」。英フィナンシャル・タイムズ紙が実施した世論調査によれば、世界中でそんな認識が広がっている。グローバル化が大金持ち層を生む中で、格差は各地で政治論争の種になっているという。
 日本でも小林多喜二の『蟹工船』が静かなブーム。「俺達には、俺達しか味方が無えんだ」と団結にめざめる工員たちの姿に共感を覚える若者が増えているようだ。
 「働かない人いない」国と登場人物に言わせたソ連が崩壊して17年。勝利者の資本主義世界で、格差への不満が渦巻く。そんな変転を地下の多喜二はどう見るか。(哲)

で、フィナンシャル・タイムズ紙が実施した世論調査って、何? だれか教えてくださ?い。m(_’_)m

見つかりました。(^_^;)
「格差は広がりすぎ」 フィナンシャル・タイムズ紙が世界8カ国で世論調査

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