土曜日の午後、小雨模様の中、日フィルの定期演奏会へ。本当は金曜日の会員なんですが、別の用件があったので土曜日に振り替えてもらいました。プログラムは、ブラームスの「ドイツ・レクイエム」。指揮は、ジャンルイジ・ジェルメッティ、ソリストは、菅三英子さん(ソプラノ)と河野克典さん(バリトン)。
ドイツ・レクイエムは、2005年に新日本フィルの定期で1度聞いただけ。振り返ってみると、それらしい感想を書いていますが、正直言ってなかなか印象の定まらない曲で、いまいちつかみどころがありません。(^_^;)
指揮のジェルメッティ氏は、お相撲さんのような大きなお腹をかかえて登場。プログラムには約80分と書かれていましたが、実際のところ70分ちょっと。指揮を見ていると、テキパキとしてテンポも速そうな印象なのですが、聞いている限りではそんな感じは全然しませんでした。オケは古典配置。弦は、チェロ12、コントラバス10という大編成。その分、第1楽章の低音の旋律が印象的でした。
ただ、振り替えてもらった座席がLB、舞台のほぼ真横だったので、せっかくのソリストの歌がいまいち聞こえにくかったのが残念でした。日フィル協会合唱団も大健闘でしたが、もっと歌詞が鮮明に伝わってくればなおよかったと思いました。
で、聞いた印象ですが、この曲が生きる者へのレクイエムといわれる意味が少し分かったような気がします。第6楽章で、おなじみの「最後の審判」が登場しますが、そこで死者の魂の救済で終わらずに、第7楽章で「Selig(幸せである)」と歌われるところが、この曲の聞かせどころなんだろうな、と思いました。
こちら↓に大変詳しい曲目の解説が紹介されています。
ブラームス:ドイツ・レクイエムの歌詞と音楽
ところで日フィルの東京定期演奏会は、今回で600回。いただいた資料によれば、第1回は1957年4月4日、会場は日比谷公会堂。故・渡辺暁雄氏の指揮で、シベリウスの交響曲第2番ほかを演奏しています。いらい、51年かけて600回(といっても89年にサントリーホールでの定期演奏会が始まってからは毎回2回公演になっているので、全体の回数は700回を超えますが)、おめでとうございました。m(_’_)m
ところで、せっかくのおめでたい演奏会の後で、こういうことを書くのも何ですが、当日もらったチラシの中に「サポートシステム」として、今年9月から「サポーターズクラブ」が発足するとありました。年会費1人1万円で、招待券のプレゼント、公演チケットの優先受付、チケットの優待(1割引)などの特典があるほか、お友だちを10人紹介すると、定期会員券(半年)が進呈されると紹介されています。
しかし、日フィルをサポートするのは「日本フィルハーモニー協会」だったのではないでしょうか? 私も長年の協会員ですが、それが「市民とともに歩む」日フィルの出発点だったはずです。日フィルが経営的に大変なことは分かっていますが、協会と別にこうしうシステムをつくり、特典付きで会員をつのるというのは、ちょっと筋が違うのではないでしょうか? 長年にわたって日フィルを支えてきた協会員を置き去りにすることにならないか、いささか納得のいかないものを感じます。
もう1つは、プログラムにさりげなく書かれていた「正指揮者沼尻竜典、契約満了のお知らせ」。意欲的なプログラムを組んで、日フィルの多彩な能力を発揮させようとしてきた沼尻氏が退任されるというのは、本当に残念です。9月からアレクサンドル・ラザレフ氏が首席指揮者に就任するとはいえ、当面は年1回の公演に限られるようですが、それにもかかわらず、沼尻氏のあとの正指揮者は未定のまま。いったい日フィルの音楽づくりは、どうなってゆくのでしょうか? こちらも不安でなりません。
【演奏会情報】 日本フィルハーモニー交響楽団第600回東京定期演奏会
指揮:ジャンルイジ・ジェルメッティ/ソプラノ:菅三英子/バリトン:河野克典/合唱:日本フィルハーモニー協会合唱団/コンサートマスター:扇谷泰朋/会場:サントリーホール大ホール/開演:2008年5月31日 午後2時
本年20回目のコンサート。
【関連ブログ】
クラシカル・ウォッチ: 日本フィル・第600回東京定期演奏会
日本フィル第600回記念定期演奏会@サントリーホール – 陽日的博客
東京エンタメ日記: 2008年5月31日 日フィルサントリー 定期公演(第600回東京定期演奏会)
こちら↓は、合唱団で実際に歌っておられた方のブログです。難しい曲でしたから、ご苦労さまでした。(^_^;)
備忘ろくのすけ: マエストロジェルメッティ、ありがとう!
反省|Musik
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