それは使用価値か、効用価値か?

マルクスが「使用価値」という言葉を初めて使ったのは『哲学の貧困』だと前に書きましたが、しかし、よくよく調べてみると、はたしてそれは「使用価値」といえるのか? そんな疑問がわき起こってきました。

というのも、『哲学の貧困』で、マルクスが書いているのは、valeur d’utilité 。これにたいして、フランス語版『資本論』で使われているのは、valeur d’usage 。後者が「使用価値」であることは間違いありませんが、前者は、英語で言えば value of utility 、つまり「効用価値」です(ちなみに、筑摩書房のマルクス・セレクション第2巻所収の『哲学の貧困』では「効用価値」と訳されています)。

「使用価値」は、もちろんドイツ語では Gebrauchswert 。はたして、『哲学の貧困』が「使用価値」の初使用例といえるかどうか…。

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