BOOM R25的ブックレビュー(『R25』6月30日号から)
リクルート社発行の無料情報誌『R25』が、6月30日付で「BOOM R25 上半期総括!!」と題して、ちょっと分厚めの号を出しています ((臨時号ということではなく、通常木曜日(7月3日)発行の号を繰り上げて発行したもののようです。))。
同号の「BOOM R25的ブックレビュー」のなかで、「同世代の書店員に聞いた 今、読んでおきたい3冊」の1冊として、またまた『蟹工船』が取り上げられています。
『蟹工船』を取り上げているのは、丸善ラゾーナ川崎店の平川淳一さん。
格差や苦難に立ち向かう男たちのドラマ
[R25 2008年6月30日号]今、話題になっているプロレタリア文学の代表作『蟹工船』。明治から昭和の戦時中まで存在した「タコ部屋」には、安い賃金で想像を絶する過酷な労働を強いられ、非人間的な扱いを受けた人々が数多く存在しました。そのひとつである『蟹工船』で働く労働者たちの置かれた状況は、程度や社会環境の差こそあれ、格差社会が問題視されている現代に通ずる点が多いとして、特に若い世代に注目されています。そんな厳しい環境下でもたくましく生き、人生の不条理や格差社会の理不尽さに怒り、立ち上がる労働者たちの物語は、ゲンダイの非正規社員やワーキングプアに苦しむ人々が学び、感じ取れるものが多く含まれているのではないでしょうか。
他にも、「戦争を知る大切さ」として、壺井栄の『二十四の瞳』なども取り上げてる諸店員さんもいます。また、三浦綾子さんの『塩狩峠』が紹介されていますが、三浦綾子さんには、小林多喜二の母セキを描いた『母』(角川文庫)という、これまた感動的な作品があります。
三浦綾子『母』(岩波文庫)