金曜日の日フィル定期演奏会、広上淳一氏がタケミツ、プロコ、ショスタコを振るという、なかなか魅力のプログラム。仕事の関係で、はたして間に合うか? と心配しましたが、なんということもなく無事到着。しっかり堪能させていただきました。(^_^;)
- 武満徹:3つの映画音楽
- 訓練と休息の音楽――「ホゼー・トレス」より
- 葬送の音楽――「黒い雨」より
- ワルツ――「他人の顔」より
- プロコフィエフ:ヴァイオリン協奏曲第2番 ト短調
- 休憩
- ショスタコーヴィチ:交響曲第12番 ニ短調《1917年》
タケミツの曲は、もともと映画音楽として作曲されたものをご本人が弦楽曲に再編したもの。「ホゼー・トレス」は勅使河原宏監督、1959年のドキュメンタリー映画。2曲目の「黒い雨」は、井伏鱒二の名作を今村昌平監督が1989年に映画化したもの。最後の「ワルツ」は、安部公房原作、勅使河原監督の「他人の顔」(1966年)の音楽。「他人の顔」は、火傷で顔を潰し他人の顔となった男の話らしい。実は僕はタケミツの作品は苦手で、ゾワゾワ、ギュルギュルという音楽が始まるとなぜか眠くなってしまうのだ…。しかし、今回は、映画音楽ということで、そうした作品よりはずっと聴きやすかった。やっぱり「ワルツ」がいちばん印象的。
2曲目、10-8-6-4-4の小編成で、プロコフィエフのヴァイオリン協奏曲。「3楽章構成と古典的形式」(プログラム・ノーツ)と書かれていましたが、なかなかどうして。ソリストはロシア出身のボリス・ベルキン。長身で、演奏が終わった後、指揮台の上に乗っかったままの広上氏と抱き合ったら、まだベルキンの方が背が高かった。(^_^;)
3曲目。本日のメインディッシュ。この曲の味わい方については、こちら↓をどうぞ。
ショスタコーヴィチ 交響曲第12番(japanphil-21.com)
いろいろ毀誉褒貶のある作品ですが、この日は、ショスタコーヴィチの内面的な“憤り”を爆発させたかのような演奏。細かいところを言えば、いろいろと“取りこぼし”もあったけれど、しかしそういうことは気にならない、日フィルらしい熱演でした。ティンパニも大健闘でした。
今年26回目のコンサート
【演奏会情報】 日本フィルハーモニー交響楽団第602回東京定期演奏会
指揮:広上淳一/ヴァイオリン:ボリス・ベルキン/コンサートマスター:扇谷泰朋/会場:サントリーホール大ホール/開演:2008年7月11日 午後7時?