米原潜で放射能漏れ

米原潜ヒューストンで、放射能を帯びた水が漏れていたことが1日判明。

しかし、1日に通告を受けた外務省は、2日まで公表せず、佐世保など関連自治体に連絡しなかった。「人体に影響ない」「文部科学省の調査で検出されなかった」などの理由だが、外相にさえ情報を上げていなかった。

かりに今回の事故での放射能漏れがなかったとしても、本来閉鎖されているはずのバルブが「自然と外れていた」などというのは重大問題。放射能漏れがなかったと見られるからたいしたことはないというのは、まったく無責任。

米原潜で微量の放射能漏れ、佐世保寄港中も漏出か(読売新聞)
外務省、独断で公表せず/米原潜放射能漏れ(神奈川新聞)
「安全神話崩れた」と横須賀市民 米原潜問題で(中国新聞)
米原子力潜水艦で放射能漏れ、佐世保寄港でも漏出か(CNN.co.jp)

米原潜で微量の放射能漏れ、佐世保寄港中も漏出か
[2008年8月2日14時20分 読売新聞]

 【ワシントン=五十嵐文】米海軍は1日、海軍所属の原子力潜水艦ヒューストンが今年3月末に約1週間、佐世保基地(長崎県)に停泊した際、艦内から微量の放射性物質を含む水を漏出していた可能性があることを明らかにした。
 日本政府には7月31日夜(日本時間8月1日午前)、概要を通告したという。
 海軍によると、7月17日にハワイで同艦の定期点検を行った際、航行時以外は閉鎖するバルブが自然に外れ、原子炉を含む機関部分から約1ガロン(約3・8リットル)の水が流出、この水から放射性物質が検出された。水は乗組員1人の足にかかったが、被曝(ひばく)していないという。
 調査の結果、漏水は3月以降、佐世保、グアム、ハワイの3か所に停泊中も発生していた可能性が高いことが判明。グアム、ハワイ州の当局にも事実を報告した。海軍は漏出した放射能の総量は0・5マイクロ・キュリー以下で、「50ポンド(約22・5キロ・グラム)の化学肥料に含まれる放射性物質の2分の1以下」と推計している。
 海軍の艦船を巡っては、横須賀基地(神奈川県)に配備予定の原子力空母ジョージ・ワシントンの艦内で規律に反した喫煙が原因の火災が発生し、艦長が更迭されたばかり。
 海軍のフランク・トープ報道官(少将)は読売新聞の取材に対し、「日本の懸念を共有する。引き続き原子力艦船の安全確保に努めていく。(漏出した)放射性物質は非常に微量であり、(日本への通告は)我々の透明性を示すものだ」と述べた。

◆寄港時調査では異常確認できず◆

 長崎県佐世保市は2日、担当職員が情報収集に追われた。原口優秀基地政策局長によると、原子力艦船が寄港した際、市は人体や環境に影響を及ぼすレベルの放射能漏れがないかを調査している。ヒューストン寄港の際も1日1回調べたが、異常はなかったという。同局は「微量だったため、検出できなかった可能性がある。調査結果を精査したい」としている。
 放射能漏れなどの事故があった場合、米海軍は外務省に連絡する義務があるが、市には連絡は入っていなかった。2日午前に、市が外務省に電話で問い合わせ、放射能漏れの説明を受けたという。
 ヒューストンは、今年は3月27日?4月2日と、4月6日に寄港した。

外務省、独断で公表せず/米原潜放射能漏れ
[神奈川新聞 2008/08/03]

 「もっと早く発表すべきだった」。皇居での閣僚認証式を終えたばかりの高村正彦外相は、さっそく不手際への対応に追われることになった。
 外務省北米局によると、米側から米原潜放射能漏れの連絡があったのは1日午後3時か4時ごろ。だが、「人体に影響ない」「文部科学省の調査で特異な数値は検出されていない」ことを理由に、「公表することはない」と判断。外相にさえ情報を上げていなかった。
 高村氏はこれに対し、「理由になっていない」と会見で不快感をあらわにし、判断ミスがあったことを認めた。いつ報告を受けたかを問われると、「私が(2日朝に)テレビで米CNNのニュースを見て、『変なことを言っているぞ』と担当部局に電話で連絡した」と明かし、直ちに発表するよう指示したと説明した。
 同省は米軍の事件事故に関し、ことあるごとに「自治体には速やかに連絡する」と強調してきた。今回の対応は「隠ぺい体質」として批判を集めそうで、自治体や市民の原子力艦の安全性に対する不安が高まるのは必至だ。
 ただ、同省北米局は今回の放射能漏れを受けても、「原子力艦のわが国寄港時の安全性を確信している」とするこれまでの政府認識に「変わりはない」と明言。その上で「今回の件でも米側から(自発的に)通報があった。これまで通り信頼関係を維持したい」としている。

「安全神話崩れた」と横須賀市民 米原潜問題で
[中国新聞 2008/8/2]

 米原子力潜水艦ヒューストンの放射能漏れで、政府が米側から伝えられた事実を公表していなかったことについて、米海軍横須賀基地への原子力空母ジョージ・ワシントン配備を控える神奈川県横須賀市では2日、市民から不信感や安全性への不安を訴える声が聞かれた。
 原子力空母の配備に反対する市民団体「原子力空母の横須賀母港問題を考える市民の会」共同代表の呉東正彦ごとう・まさひこ弁護士は「放射能漏れという市民の安全性に直結するトラブルだけに、事態は極めて深刻で、米海軍が主張する安全神話は崩れ去った」と指摘。「外務省が地元自治体への連絡を怠り、事実を公表しなかったのは大問題。このような姿勢で地元の信頼など得られるわけがない」と不信感をあらわにした。
 横須賀基地では2日午前から基地を予定通り一般市民に開放、多数の市民や観光客らでにぎわった。在日米海軍司令部広報部は共同通信の取材に「米国での報道は承知しており、担当部署がしかるべき調査をしている。漏れた可能性のある放射能のレベルは極めて低いと聞いている」とコメントした。
 横須賀市には2日午前11時すぎ、外務省から連絡があったという。市基地対策課の鈴木正志すずき・まさし課長は「一報でしかなく、事故の実態や経緯など詳しいことは分かっていないので、今後、詳細に話を聞きたい」と話した。

米原子力潜水艦で放射能漏れ、佐世保寄港でも漏出か
[2008.08.02 Web posted at: 17:37 JST Updated – CNN]

 ワシントン(CNN) 米海軍当局者は1日、日本・佐世保、グアムやハワイに今年3月以降、寄港したロサンゼルス級攻撃型原子力潜水艦「ヒューストン」がごく微量の放射能漏れを起こしていた可能性があると述べた。7月に通常修理などでハワイに寄港した際、判明したという。
 この事実は日本政府に1日に連絡したとしている。
 放射能漏れは、原子炉エンジン室付近で水がたまった末にバルブから漏れ、乗組員1人の足にかかったことから分かった。この水は炉本体と接触したものでないとしている。
 海軍当局者は漏水量には触れなかったが、放射能レベルは極めて低く、無視出来る水準とも主張。グアム、日本、ハワイ寄港時に起きた可能性がある放射能漏れは、0.5マイクロキュリーと推定され、約22キロ入りの園芸肥料の袋の中で探知される量より少ないと指摘した。
 足に漏れた水がかかった水兵の場合、被ばくはなかったという。
 米海軍の艦船では、米海軍横須賀基地(神奈川県横須賀市)へ配備予定の原子力空母ジョージ・ワシントンの艦内で規律違反の喫煙が原因の火災が発生し、横須賀到着が遅れている。この火災では、管理責任を問われ、正副艦長が更迭されている。ジョージ・ワシントンは、米本土以外を拠点とする初の原子力空母で、今回の潜水艦放射能漏れで横須賀配備の反対論が高まる可能性もある。

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