相次ぐマスメディアの世論調査で、消費税増税「反対」が過半数を占めていることは紹介したとおりだが、それにもかかわらず、政府、財界からは、相次いで消費税増税の声が上がっている。
来春引き上げに柔軟対応も 基礎年金国庫負担で鴨下氏(共同通信)
舛添厚労相「財源論議、年末まで」(MSN産経ニュース)
谷垣国交相:消費税で「引き上げ方針示し衆院選を」(毎日新聞)
税制改革など提言強化 日商セミナーが中期計画(共同通信)
経済同友会、「軽井沢アピール」を提言(MSN産経ニュース)
来春引き上げに柔軟対応も 基礎年金国庫負担で鴨下氏
[2008/08/11 16:50 共同通信]鴨下一郎厚生労働副大臣は11日までに共同通信のインタビューに応じ、2009年度の基礎年金の国庫負担割合引き上げに関し「原則的には4月からの引き上げに最大限の努力をしたいが、国の財政事情や政治状況もあり、いろいろな意見もある」と述べ、柔軟に対応すべきだとの認識を重ねて示した。
同時に「安定的財源として例えば間接税を導入できればいいが、来年4月からとなると、場合によっては埋蔵金のようなもので国民に迷惑を掛けないようにすべきだ」として、消費税論議などを進める一方で、当面の財源について工夫が必要だと指摘した。
現在25年となっている公的年金の最低加入期間に関して「24年11カ月の人は受給資格が得られず、掛け捨てになってしまうのは納得できない」と、期間短縮に前向きに取り組む考えを強調。低所得者向けに、申請がなくても保険料を免除する仕組みについても「選択肢として十分に考えられる」と指摘した。
舛添厚労相「財源論議、年末まで」
[MSN産経ニュース 2008.8.10 18:40]舛添要一厚生労働相は10日、フジテレビの報道2001に出演し、基礎年金の国庫負担割合を2分の1へ引き上げるなどの社会保障経費の財源について「議論を年末までにしっかりやる。例えば『消費税1%上げれば2.5兆円入ります。国民のみなさん、支持願えますか』と(衆院選を)戦うべき時期に来ていると思う」と語った。
鴨下一郎副大臣と意見が異なっていることについては「副大臣と私が一言一句違わないように言わないといけないということではない。最終的には首相が決断すればいい」と指摘した。
谷垣国交相:消費税で「引き上げ方針示し衆院選を」
[毎日新聞 2008年8月10日 東京朝刊]谷垣禎一国土交通相は9日、札幌市内で講演し、与党は消費税率の引き上げ方針を示した上で次期衆院選に臨むべきだとの考えを示した。谷垣国交相は「野党はいつ落ちるか分からない手形で『こういうことをやる』と言えるが、与党の商売は現金で決済しなければならない。『これをやりたい』と言いながらお金のことを言わないのは、与党の誇りを失ったこと」と述べた。【横田愛】
税制改革など提言強化 日商セミナーが中期計画
2008/07/16 16:56 【共同通信】日本商工会議所は16日、都内で幹部向けの夏季セミナーを開き、今後消費税率の引き上げ問題など税制の抜本改革や社会保障制度改革について、政府や与野党への政策提言活動を強化するなどとした「中期行動計画」を採択した。
中期計画は2010年度までに日商や全国の商工会議所が取り組む重要課題を網羅。税制改革では、従来反対してきた消費税増税についても議題に取り上げ、検討を進めるほか、中小企業の活力強化につながる税制改正要望を打ち出す。
年金、医療、介護の社会保障改革では、給付と負担、財源の在り方について、今年9月に包括的な提言を発表するほか、行財政改革の徹底、道州制推進についても08年度内に提言をまとめる。
セミナーでは療養中で欠席した岡村正会頭(東芝会長)に代わって、野村明雄副会頭(大阪ガス会長)があいさつし「(国の)補助金に過度に依存しない自主的な団体としての体制整備が必要」と意識改革を訴えた。
経済同友会、「軽井沢アピール」を提言
[MSN産経ニュース 2008.7.18 18:29]経済同友会は18日、長野県軽井沢町の万平ホテルで、税財政の抜本改革などを求める提言「軽井沢アピール」を取りまとめ、夏季セミナーを閉幕した。提言では今秋の税制改革に向けて、経済活性化の観点から「法人減税は喫緊の課題」との姿勢を明確にし、法人税の実効税率見直しを強く求めた。減税により、従業員の給与や雇用の拡大などのメリットがあり、経済活性化につながると強調した。
また、政府が掲げる平成23年度の基礎的財政収支(プライマリーバランス)の黒字化目標は、増税なしで達成する方針を堅持すべきと求めた。増税に先立ち歳出削減を徹底するよう指摘し、一般会計や特別会計など公的部門の「聖域なき情報開示」により、政治の責任で歳出のムダを排除するよう訴えた。
消費税については社会保障財源など「基幹税化は避けられない」とし、平成24年以降の税財政抜本改革での引き上げを容認した。
ちなみに、日本商工会議所の「中期行動計画」では、消費税問題は、次のようになっている。消費税増税とは書かれていないが、従来、消費税の増税反対だった日商が「検討」すると書いたこと自体が、増税容認に舵を切った現われだろう。
消費税等を含む税体系の抜本的改革の動きに対し、政策委員会・社会保障小委員会・行財政改革小委員会や税制小委員会等を中心に多方面から検討を進め、要望を取りまとめる。
日本商工会議所の「中期行動計画」はこちら↓から。
日本商工会議所の情報公開
経済同友会は、消費税について、こう述べている。
歳入面では、消費税の基幹税化は避けられない
年金については、既存の制度の根本的な問題を克服するため、税方式による新基礎年金制度の創設以外に選択肢はない。
経済同友会「軽井沢アピール」は、こちら↓から。
2008年度(第23回)経済同友会夏季セミナー:軽井沢アピール 世界に開かれた、活力ある日本の再構築に向けて :経済同友会
ちなみに、日本経団連は、東富士夏季フォーラムの「アピール」で、「税・財政・社会保障制度の一体改革実現に向けた取組み」として、「消費税率の引上げを含む、税体系全体の見直し」を要求している。