『蟹工船』 英The Guardian紙にも

『蟹工船』ブームは、英紙インディペンデントだけでなく、実は、21日付の英紙「ガーディアン」でも取り上げられていました。

Japan: Marxist book turns bestseller 79 years on – The Guardian

ということで、こちらもヘッポコ訳です。

日本:マルクス主義小説が79年ぶりにベストセラーに
[ガーディアン紙 2008年8月21日]
ジャスティン・マッカリー

 漁船乗組員たちの反乱という79年前の物語が、経済の落ち込みと貧困の増大に直面する日本の若者の間で、時ならぬ夏のヒット作となっている。『蟹工船』の売れ行きは急上昇して、5月以来、ベストセラーの順位表第1位かその近くを保っている。このような真面目な小説では、聞いたことのないような成績だ。
 小林多喜二によって1929年に書かれた小説は、たちまち、ロバート・テッセル(Robert Tressell ((1870-1911。アイルランド生まれ、イギリスで活動した作家。本名はロバート・ヌーナン。代表作"The Ragged Trousered Philanthropists"は彼の死後、1914年に刊行された。)))の資本主義批判である「ぼろぼろのズボンを履いた博愛主義者 ((ここでテッセルが「博愛主義者」Philanthropistsと呼んでいるのは、自分は貧乏であるにもかかわらず、資本家のために一生懸命働く労働者という意味のようである。))」(The Ragged Trousered Philanthropists)に匹敵する日本の作品となった。しかし、小林多喜二は、彼の急進主義のために、1933年、29歳で特高警察によって殺されてしまった。
 乗組員たちが自分たちの悲惨な労働条件に抗議するために団結してストライキをおこなおうとする様子を描いたこの小説は、1953年に文庫版が出版されてから、毎年5000部ずつ売れてきた。
 売れ行きは2008年になって急上昇したが、それは、1月に新聞のインタビューで、右翼のパンク歌手から作家になった雨宮処凜がこの小説を称賛してからのことだ。『蟹工船』の出版社である新潮社によれば、今年だけで50万部も売れたという。
 蟹工船乗組員の境遇を現代日本のワーキングプアの窮状と結びつけた宣伝が、20代や30代の若者の間で大きな売れ行きをつくり出した。彼らの多くは、社会保障や福利厚生なしの低賃金の仕事に従事している。「若者は、この小説の中に自分たちと現在の状況を見いだして、共感しているのだ」と、東京にある早稲田大学の十重田裕一教授は指摘する。およそ1000万人の日本人が、いまでは、年収200万円(9,790ポンド)未満しか稼いでいない。

Japan: Marxist book turns bestseller 79 years on
[The Guardian,Thursday August 21 2008]
by Justin McCurry

A 79-year-old tale of rebellion among a fishing boat crew has become an unlikely summer hit among young Japanese people facing economic decline and rising poverty. Sales of Kani Kosen (The Crab Ship) have soared, keeping it at or near the top of bestseller lists since May, an unheard of achievement for such an earnest work.

Written by Takiji Kobayashi in 1929, the novel quickly became Japan's answer to The Ragged Trousered Philanthropists, Robert Tressell's critique of capitalism. But Kobayashi paid for his radicalism in 1933 when he was tortured to death by the secret police at the age of 29.

Since its release as a paperback in 1953 the novel, which charts the crew's attempts to form a union and stage a strike in protest at their appalling working conditions, sold 5,000 copies a year.

Sales rocketed in 2008 after it was praised by Karin Amamiya, a rightwing punk singer-turned-writer, in a newspaper interview in January. Half a million copies have been sold so far this year, according to Kani Kosen's publisher, Shinchosha.

An advertising campaign — linking the plight of the crabbing crew to that of Japan's modern-day working poor — generated huge sales among people in their 20s and 30s, many of whom work in low-paid jobs with no security or benefits.

"Young people are sympathising, as they see themselves and today's situation in the novel," said Hirokazu Toeda, a professor at Waseda University in Tokyo.

Around 10 million Japanese people now earn less than 2m yen (?9,790) a year.

ほかにも、スペインの新聞ELPAÍS(2008年8月23日付)↓でも、『蟹工船』が取り上げられていますが、スペイン語なのでさっぱり分かりません。(^_^;)

El capitalismo tiene los siglos contados – ELPAÍS.com

ところでこの記事のタイトルは、「資本主義は何処まで来たか」みたいな意味なんでしょうか? どなたか、スペイン語に堪能な方、ぜひ翻訳をお願いします。

それから、こっち↓は、香港の新聞「文匯報」(2008年8月22日付)の記事です。中国語もさっぱり分かりませんが、漢字を眺めるかぎりでは、内容的にはロイター配信の記事と重なるところが多いようです。

日人對經濟不安 舊書《蟹工船》熱銷 – 香港文匯報

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