9年前に自衛官が自殺したのは上官のいじめが原因だと、両親が国を訴えた裁判で、福岡高裁が、いじめを認定。原告勝訴の逆転判決を下した。
自衛隊内のいじめが原因の自殺についての裁判は、他にも浜松(空自)などでも争われている。自衛隊を認める立場にたったとしても、いじめは絶対に許されない。
自衛官自殺:いじめ認定、原告側が逆転勝訴 福岡高裁(毎日新聞)
自衛官自殺:いじめ認定、原告側が逆転勝訴 福岡高裁
[毎日新聞 2008年8月25日 13時39分(最終更新 8月25日 18時26分)]海上自衛隊佐世保基地(長崎県佐世保市)の護衛艦「さわぎり」内で自殺した3曹(当時21歳)の両親=宮崎市=が「自殺は隊内のいじめが原因」と、国に2000万円の慰謝料などを求めた訴訟で、福岡高裁は25日、請求を棄却した1審・長崎地裁佐世保支部判決(05年6月)を変更し、国に計350万円の支払いを命じた。原告側の逆転勝訴となった。
判決で牧弘二裁判長は、直属の上官が3曹を侮辱するような言動を自殺前の約2カ月にわたって繰り返した事実を認定したうえで「上官らの言動は違法で、自殺との因果関係がある」と述べた。父親に150万円、母親に200万円の賠償を認定した。自衛官の自殺を巡る訴訟で国の責任を認めた司法判断は初めて。
1審判決によると、3曹は99年3月に同艦に配属され、同年11月8日、訓練航海中の艦内で首をつり自殺した。海自佐世保地方総監部は00年5月、「いじめはなかった」とする調査報告書を公表。両親は01年、調査結果を不服として提訴に踏み切った。
1審判決は、上官らの「仕事ができんくせに3曹とか言うな」などの発言を不適切としながらも「いじめとは評価されず、指導・教育として、社会的に相当な範囲を逸脱するものだったとは言えない」と判断した。また、3曹が自殺当時にうつ病を患っていたと認める一方で「上官らが正常時の3曹の様子と比べても変化を認識することは困難。安全配慮義務違反があったとは言えない」と結論づけた。
控訴審では、両親側が1審で任意提出を求め、国側が拒否した勤務調査表や指導記録などの一部文書を提出するよう命じた。国側は3曹の自殺について1審同様、「いじめが原因ではなく、自分の技能習得度が伸びず苦悩したため」と主張した。
自衛官の自殺を巡る同種訴訟は横浜地裁や静岡地裁浜松支部で係争中。【松本光央】
しかし、依然として、自衛隊内の自殺はあとをたたないようだ。
多過ぎる自衛隊の自殺者 昨年度83人…(スポニチ Sponichi Annex ニュース)
21歳陸自隊員が小銃自殺 千葉の駐屯地(共同通信)
多過ぎる自衛隊の自殺者 昨年度83人…
[スポニチ Sponichi Annex ニュース 2008年08月25日 19:13]海上自衛隊の護衛艦内で三曹が自殺した原因を、福岡高裁が25日「上司の侮辱的言動によるストレス」と認定した。自衛隊の2007年度の自殺者は83人。他の公務員に比べ突出しているが、原因がはっきりしない自殺が大半で、防衛省も有効策を打てないでいる。
防衛省によると、07年度の自殺者は陸上自衛隊が最も多く48人で、海自23人、航空自衛隊が12人と続く。このうち、半分以上の48人の自殺原因は分かっていない。
07年度の自衛隊員10万人当たりの自殺率は34.4人。05年度の国家公務員平均は17.7人だった。
海自の護衛艦は、狭い空間で、かつ同じ顔触れが長期間生活する特殊な仕事場。ある海自幹部は「閉鎖的な雰囲気が心理的圧迫になるのは事実。しかし、船で暮らすのはそもそも“海の男”の条件だったはずなのだが」と困惑する。
21歳陸自隊員が小銃自殺 千葉の駐屯地
[2008/07/30 12:37 共同通信]30日午前2時20分ごろ、千葉市の陸上自衛隊下志津駐屯地の簡易トイレで、男性1等陸士(21)が頭から血を流して死んでいるのを同僚隊員が見つけた。近くに自動小銃1丁と薬きょう10発が落ちていた。直前に発砲音がしており、陸自警務隊は自殺とみて動機を調べている。
防衛省陸上幕僚監部によると、1等陸士は30日午前1時半から同僚と2人1組で弾薬庫の警備を担当。勤務途中でトイレに入り、自殺を図ったとみられる。
下志津駐屯地はミサイルの知識を学ぶ高射学校があり、1等陸士はその支援部隊の高射教導隊に所属。陸幕によると、最近10年間に隊員が小銃で自殺を図ったのは、未遂の1件を含めて5件目という。
これ↓も、自衛隊員の自殺事件。記事は、自殺を図った1尉が、機密データが保存されたメモリーを持ち去っていたことを自衛隊が公表していなかったことを問題にしているが、1尉は、別に自衛隊の重要情報をねらって盗んだわけではなさそうだし、一緒に盗んだとされるのも現金2000円と1万円相当の株主優待券。むしろたまたま机の上に放置されていたメモリーをそのまま持ち出したということではないだろうか。
むしろ、何か思い悩むようなことがあって、逃亡をはかったあげくに自殺を図ったということではないか。
メモリー紛失:職場に放置後、別の陸自隊員が盗み捨てる(毎日新聞)
メモリー紛失:職場に放置後、別の陸自隊員が盗み捨てる
[毎日新聞 2008年7月1日 15時00分(最終更新 7月1日 15時00分)]日米共同演習のデータを保存したUSBメモリー(記憶媒体)の紛失問題で、陸上自衛隊中部方面総監部(兵庫県伊丹市)調査部の1曹が職場に放置したメモリーを、同じ調査部の1尉が盗んで捨てていたことが分かった。同時に現金2000円や航空会社の株主優待券(1万円相当)が盗まれたが、中部方面総監部は昨年5月、メモリー窃盗の事実だけを隠して発表していた。情報操作とも言える隠ぺい工作が浮かんだ。
中部方面総監部は昨年5月24日、同僚の机の中から現金2000円と航空会社の株主優待券を盗んだとして、1尉(当時33歳)を停職60日の懲戒処分にしたと発表した。この際▽制服のまま行方不明になり2日間無断欠勤した▽辞職願を提出した(受理され後に依願退職)▽窃盗容疑で神戸地検伊丹支部に書類送検したが起訴猶予処分になった??ことなども公表したが、メモリー盗難は伏せた。
日米共同方面隊指揮所演習(昨年2月8日?16日)の部隊配置図などが保存されているメモリーは昨年2月、調査部2佐(当時)が借りだし、1曹に使用させていた。1曹が作業を終え同14日机上に放置して帰宅した後、紛失した。中部方面総監部も当初は紛失事案として扱い、昨年3月23日、2佐を戒告、1曹を訓戒処分にした。
ところが、昨年4月、行方不明になっていた1尉が、兵庫県宝塚市のホテルで薬を飲んで自殺を図っているのが見つかり、救命後、中部方面総監部の調べに「メモリーを盗み廃棄した」と認めた。このため警務隊が昨年4月14日、1尉を窃盗容疑で逮捕した。
石破茂防衛相は1日の閣議後会見で、メモリー紛失の非公表について「第三者が検索して情報漏えいの範囲が拡大する恐れがあるため」と正当性を強調した。一方で大臣直轄の監察組織「防衛監察本部」が調査中であることも明らかにした。【小林直、本多健、樋岡徹也】
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