新連載マンガ「蟹工船」(「週刊コミックバンチ」2008年9月5日号から)
見つからん、困った、困った…と、雨の中、あっちこっちと探し回って、ようやくK寺駅前のちっちゃな書店で、「週刊コミックバンチ」(新潮社刊、定価280円)を手に入れました。(^_^)v
さて、そのマンガですが、原作にはないいちおう主人公らしき人物設定がされていたり、監督の浅川は、いかにもマンガですという感じにデフォルメされています。これは、マンガにする以上やむをえません。
しかし、要所要所で登場人物たちがしゃべるセリフが原作のままだったり、地方の小作農家の子どもたちを見送る場面など、細かなエピソードも忠実に描かれています。船室(「糞壷」)の様子などは、かなりがんばって雰囲気を出していますが、それでも僕のイメージしていたものよりはかなり清潔?な感じでした。
あと、「周旋屋」とか「露助」「バット」といった言葉には注がつけられていますが、いま若い人たちが『蟹工船』を読もうと思ったら、やっぱりこういう補足が必要でしょう(金曜日版の『蟹工船』にも、いくつか注がつけられていました)。
それから、マンガを読んでいて、なるほどと思ったのは、川崎船での操業の様子が描かれていること。川崎船=小型漁船と分かってはいても、これまで、それがどんな船なのか、それに乗ってどんなふうに操業するのか考えたことがなかったので、感心しました(ただし、どんな資料に基づいたのかわかりませんが)。ここらあたりは、やっぱり絵にした強みかも知れません。
さて、雑誌には、「蟹工船化する現代に寄す」という「特別コラム」も書かれています。
コラムでは、大正末?昭和初期の蟹工船がどんなにひどかったか、実際に起きた博愛丸の雑夫虐待事件などを紹介しています。
そして、「貧困にあえぐ人々が『蟹工船』を求める今、彼らの救いは一体どこにあるのだろうか。次週から本コラム上に、この問題に詳しい識者の方々にご登場いただき、その答えを模索していきたい」と書かれています。次回以降、いったいどんな人が登場するのか、楽しみにしたいと思います。
【追記】
インターネットを検索してみると、蟹工船の「川崎船」の図面というのが出てきました。