消費者物価2.4%上昇、16年ぶりの高水準

7月の消費者物価が1年前に比べて2.4%の高い伸びを示した。92年12月以来の高水準。他方で、家計の消費支出は、実質でマイナス0.5%、5ヵ月連続の減少となった。

7月の消費者物価2.4%上昇 92年以来の高い伸び(朝日新聞)
家計調査:先月の消費支出、5カ月連続で減少(毎日新聞)

7月の消費者物価2.4%上昇 92年以来の高い伸び
[asahi.com 2008年8月29日13時42分]

 総務省が29日発表した7月の全国消費者物価は、値動きの激しい生鮮食品を除く総合指数(05年=100)が102.4となり、前年同月より2.4%上昇し、10カ月連続のプラスとなった。伸び率が2%台に乗るのは、97年の消費税率引き上げの影響を除けば92年12月以来だ。
 上げ幅は同年6月(2.5%)以来の大きさだった。原油や食糧の国際価格の高止まりを背景に、身近な品物の値上げラッシュが続いていることを反映している。ただ、働き手の賃金が伸び悩んでいるため値上げには限界があり、原油や食糧の国際価格高騰が一服する兆しも見られるため、国内の物価がこのままのペースで上がり続けるとの見方は少ない。
 先行指標となる東京都区部の8月中旬速報の指数は101.6で、前年同月より1.5%上昇。上げ幅は昨年秋以降、拡大傾向が続いていたが、7月(1.6%)より0.1ポイント小さくなった。ガソリンや食料品の価格は高止まりしているものの、上昇ペースが鈍ったためだ。
 7月の全国消費者物価については、ガソリンや電気代といったエネルギー関連が1.44%分、生鮮食品を除く食料品が0.87%分、それぞれ指数を押し上げた。両分野が物価上昇の主な要因になっている状況は変わらない。
 外国パック旅行を始めとするその他の分野にも値上げの動きは広がっており、「食料とエネルギーを除く総合指数」も前年同月比で0.2%上昇。小幅ながら、上昇は2カ月連続となった。
 ガソリンは前年同月より28.7%値上がりし、生鮮食品を除く総合指数を0.76%分押し上げた。食料品ではチョコレート(27.6%)、食パン(20.1%)といった品目で値上がり幅が広がった。パソコンやデジタルカメラ、薄型テレビの値下がりは続いている。
 総務省が同日発表した7月の家計調査では、ガソリンやカップめんなど値上げされた品物を、消費者が買い控える傾向が続いていることが浮き彫りとなった。政府は8月の月例経済報告で景気が後退局面に入ったことを事実上認めているが、物価上昇による個人消費の停滞は当面、景気の重しとなりそうだ。(庄司将晃)

家計調査:先月の消費支出、5カ月連続で減少
[毎日新聞 2008年8月30日 東京朝刊]

 総務省が29日発表した7月の家計調査によると、2人以上の世帯の消費支出は29万8366円で、物価変動の影響を除いた実質で前年同月比0.5%減少し、5カ月連続でマイナスになった。値上げで食料品を買い控える傾向は変わらないが、雨がふりがちだった前年に対し、今年は晴天が続き猛暑だったため、エアコンや飲料、衣料品などへの支出が伸び、6月(マイナス1.8%)に比べると減少幅が小さくなった。特にエアコンへの支出は前年の約2.4倍だった。
 そのため、消費支出については「消費マインドの低下にかかわらず、猛暑の影響で一時的に高い水準になった」と判断している。【前川雅俊】

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