経済同友会が9月3日付で、「『日雇派遣』の原則禁止案に対する意見」を公表した。
「日雇派遣」の原則禁止案に対する意見(経済同友会)
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「正社員になれなかった者がやむを得ず非正規雇用を選択したという場合も少なくない。彼らの雇用条件が概して不安定で低い処遇であることから、非正規雇用の拡大が格差社会の原因の一つになっているとの指摘もある」と述べているが、結局、「日雇派遣を単純に禁止することによって問題が根本的に解決されるかどうか疑問」「日雇派遣を禁止しても、すべて日雇派遣労働者が直接雇用にシフトできる保証はなく、むしろ、労働市場のミスマッチにより、雇用機会が失われ、多くが失業に繋がる恐れがある」として、日雇い派遣の原則禁止に反対を表明している。
代わりに、経済同友会が提案するのは、以下の4項目。
- 派遣会社のコンプライアンス違反に対する厳格な処分
- 危険が伴う業務に対する安全衛生教育を強化する、もしくは、危険が伴う業務に対する日雇派遣の禁止
- 低所得かつ不安定な雇用形態を改善するための新たな支援制度
- 職種別賃金の開示
しかし、これらによって、日雇い派遣労働者の「劣悪な労働環境、雇用条件」が「根本的に解決されるかどうか疑問」だ。そもそも「日雇い派遣」という使い捨ての雇用形態が「コンプライアンス違反」や「劣悪な労働環境、雇用条件」を生み出しているのだから、大もとから規制しなければ事態が改善されないのは明白だ。
もちろん、いま厚生労働省がやろうとしている「日雇い派遣の原則禁止」だけで問題が解決しないのも明らか。30日以下の短期雇用を禁止しても、それだけでは、31日間「雇用」したことにして今日はこっち、明日はあっちとスポット雇用がくり返されることになるだろう。企業にとって、使い捨てにできる便利な「派遣労働」という雇用形態があるかぎり、「使い捨て」労働はなくならない。
この経済同友会の意見書は、言ってみれば、厚生労働省の対策の、それでは不十分なところを取り上げて、「だから、そんなことをやってもムダだ」といって、日雇い派遣禁止に反対する、というもの。
根本的には、仕事のあるときだけ雇用関係が生じ、仕事がなければほっぽらかしという「登録型派遣」をやめること、そして、派遣は一時的・補助的なものに限るという大原則を徹底させること、それが必要だ。
このような話題の存在がもっと広く国民の間に認識されることが必要だと思います。特に、20歳代〜30歳代の若者が自分たちのおかれている状況を知らないということが多いのが大変ショックです。私の職場の20歳代〜30歳代の人たちは、労働基準法すら知らない人もいます。この問題と、後期高齢者の問題は、問題の当事者である若者たちと、高齢者が自分たちの置かれている不当な状況、無法状態、無権利状態に全く気づくことなく、また、憲法などの法によって自分たちの権利が守られているのに、それに気づかず、日々を過ごしてしまうということに大変大きな問題があり、危機があります。若者や、高齢者が、マスコミの流す自民党の総裁選などのニュースを見て、それに流され、何も考えず、選挙で再度自民党に投票してしまい、今度は立ち上がれないほどの収奪を受ける、これこそ、悲劇です。何としても、一番苦しんでいる若者と高齢者がもっと怒り、選挙で意思表示をし、自民党、公明党を下野させ、人間らしい生活を取り戻さなくてはいけません。大変強く、そう思います。