自民支持率、あまり改善せず…?

福田首相の唐突な政権投げだし、党利党略丸出しの総裁選レース。最大の狙いは、自民党の支持率浮上ですが、はたして、そんなにうまくいくのでしょうか?

TBSの世論調査では、自民党支持率は先月より1.7ポイントダウン。「朝日新聞」の世論調査では、自民党の支持率はやや持ち直していますが、衆院選の投票先としてはまったくの伸び悩み。支持率浮揚策は、あまり成功していないようです。

自民党支持率やや下がる、世論調査(TBS News-i)
「早く解散を」56%、「首相無責任」66% 本社調査(朝日新聞)

自民党支持率やや下がる、世論調査
[TBS News-i 最終更新:2008年9月8日(月) 15時4分]

 総裁選への注目で支持率アップを図りたい自民党ですが、今のところ目立った効果は出ていないようです。JNNが行った世論調査では、自民党の支持率はやや下がりました。
 調査はこの土日に行いました。自民党内には、総裁選で国民の関心を集め、解散風が高まっている衆議院選挙を優位に戦いたいという考えがありますが、自民党に対する支持は先月より1.7ポイント下げて29.6%、一方、民主党は2.3ポイント上がり26.1%と、先月より差が縮まりました。
 突然の福田総理の辞任表明について、8割以上が「問題があると思う」と答えており、影響した可能性があります。
 また衆議院選挙での投票先については、小選挙区が自民党34%に対し、民主党36%、比例代表では自民党30%に対し、民主党が37%などの結果で、現時点ではいずれも民主党が自民党を上回っています。
 選挙結果については、「与党に勝ってほしい」が先月より増えたものの、「野党に勝ってほしい」と答えた人が依然半数以上でした。
 ところで、自民党総裁選に名乗りを挙げた7人について誰に総裁になってほしいか聞いたところ、麻生幹事長がトップで39%。次いで石原元政調会長と小池元防衛大臣が続きました。(08日11:15)

「早く解散を」56%、「首相無責任」66% 本社調査
[asahi.com 2008年9月3日23時9分]

 福田首相の辞任表明を受けて、朝日新聞社が2、3の両日実施した全国緊急世論調査(電話)によると、突然の辞任表明を「無責任だ」と思う人は66%で、「そうは思わない」25%を大きく上回った。「無責任だ」は民主支持層で77%、無党派層で64%、自民支持層でも61%にのぼり、批判は党派を超えて強かった。衆院の解散・総選挙の時期については、「できるだけ早く実施すべきだ」が56%、「急ぐ必要はない」33%だった。
 「できるだけ早く」は前回、8月30、31日の調査で43%だったのが、首相辞任という事態を受けて急速に高まった。なかでも、これまで「早く」は2割前後しかなかった自民支持層で、今回は46%が「早く」と答え、「急ぐ必要はない」の47%とほぼ並んだ。
 福田首相が辞めることの受け止め方を聞くと、「よかった」が46%で、「そうは思わない」の34%を上回った。自民支持層も39%は「よかった」と受け止めている。
 次の首相には誰がよいと思うかも聞いた(自由回答)。麻生太郎自民党幹事長が30%で他を引き離してトップ。小沢一郎民主党代表が8%で2番手につけ、小泉純一郎元首相4%、小池百合子元防衛相3%が続いた。
 政党支持率は自民29%(前回26%)、民主21%(同20%)などだった。いま投票するとしたらとして聞いた衆院比例区の投票先は自民28%(同27%)、民主32%(同31%)など。「政権投げ出し」という状況のなかでも自民の支持が堅調であることが目立つ。

まあ、こういう記事↓を読むと、はじめから麻生禅定をねらった「辞任」だったことは明白。いくら候補者が5人、6人と登場しても、国民は白けちゃって、やってられません。(^_^;)

「首相辞任」検証 「先手を打つ」麻生氏に打ち明けた(朝日新聞)

「首相辞任」検証 「先手を打つ」麻生氏に打ち明けた
[asahi.com 2008年9月7日3時4分]

 1日午後6時、首相官邸5階の首相執務室。福田首相は急きょ呼び出した自民党の麻生太郎幹事長に、一枚の紙を差し出した。
 1週間前、首相と麻生氏らが秋の臨時国会の打ち合わせをした際、12日の召集日や代表質問など、9月の政治日程を書き込んだカレンダーだった。首相はおもむろに口を開いた。
 「この日程で、総裁選をやってほしい」
 突然のことに、麻生氏は黙り込んだ。首相はたたみかけた。「辞意表明をしようと思っている」
 ようやく意味がのみ込めた麻生氏は、あっけにとられた。
 麻生氏「いつですか」
 首相「今日」
 麻生氏「早いですな」
 首相「早いんだよ。こういう事は」
 麻生氏は慰留したが、首相の考えは変わらなかった。数分後に入ってきた町村官房長官も、首相の辞意を聞かされ、絶句した。「改造したばかりではないですか」
 慰留する2人を説き伏せるように、首相は一気にまくし立てた。
 「私は任期ぎりぎりまで解散するつもりはなかったが、政局によっては、追い込まれて解散になる可能性はある。ならば先手を打って、こちらに余裕がある状態で、勝てる態勢を作るべきだ。民主党が変わらないのであれば、自民党が先に変わって主導権を握るべきなんだよ」
 臨時国会が始まれば、早期の衆院解散を求める民主党の攻勢が一気に強まる。与党が追い込まれて手詰まりになりかねない。一方、自分が開会前に辞めれば、新しい首相が内閣支持率の高いうちに解散・総選挙に打って出る戦略も立てられるし、民主党も「解散カード」を振り回せなくなる――。首相の真意は、こうしたところにあった。
 「総裁選が始まるが、ぜひ国民がわくわくするような、エネルギーに満ちあふれた自民党を多くの皆さまに見せて欲しい。この際、徹底してやって頂きたい」
 1日の辞意表明会見の2日後、自民党本部で開かれた党両院議員総会。首相は党所属国会議員らを前に、声を張り上げた。
 首相の狙い通り、総裁選は5人以上が立候補する異例の展開になった。多彩な候補者の競演で、民主党はかすみがち。勢いづく与党内では臨時国会での「冒頭解散論」が強まってきた。
 攻勢に立つ民主党、守勢の与党。首相の突然の辞任は、確かにその構図を逆転させた。

■首相「小沢とはもうやれない」

 1日午後9時半。辞意表明の記者会見に臨んだ福田首相は、記者から「民主党の小沢代表におっしゃりたいことは」と問われ、こう答えた。
 「国のためにどうしたらいいか。虚心坦懐(きょしんたんかい)、胸襟を開いて話し合いをする機会がもっとあったらよかった。そういう機会を持ちたかった」
 首相が辞意を固めた背景には、小沢氏との修復不能な関係悪化があった。
 約3時間半前、首相は麻生太郎幹事長、町村官房長官に漏らした。
 「小沢とはもうやれない。信頼関係がないからな。小沢が残り、自分も残ると、これまでと同じ繰り返しになる」
 首相は昨年10月と11月、小沢氏との2度にわたる党首会談で、民主党との「大連立」を模索した。小沢氏が党内の反対にあい、不発に終わったが、その後も小沢氏との「ホットライン」はつながっていた。
 だが、与党が2月末に衆院で予算案の採決を強行。逆に民主党が日本銀行総裁人事で、首相が強くこだわった武藤敏郎副総裁の昇格案を不同意にした頃から、連絡は途絶えがちになった。
 「経済活性化が必要な時期なのに、日銀の副総裁が決まっていない。福田対小沢という図式では展望が開けない」。首相は日銀人事も引き合いに、慰留する麻生、町村両氏に反論した。「福田対小沢の構図だと旧態依然とした『ねじれ国会』の情勢に変化を見いだせない」
 「(首相の進退を)小沢が全部決めているようで……」。町村氏は悔しさをにじませたが、首相を翻意させることはできなかった。

■「党が変わる勢いを殺してしまう」

 首相はなぜ、このタイミングで辞任を決断したのか――。
 政府・与党は3日前の8月29日、原油高や景気減速を受けた総合経済対策を決定した。首相は麻生、町村両氏に「限られた時間の中で、しっかりとした経済対策をつくらなければならなかった。経済について強力な布陣を敷いた改造内閣で、その対策ができあがった。よいタイミングだ」と、経済対策に一区切りついたことを理由に挙げた。
 実は首相周辺では、経済対策のとりまとめが、首相の「延命」につながるとの見方の方が強かった。
 公明党が強く求めた「定額減税」の実施を受け入れたことで、そのための税制関連法案を来年1月召集の通常国会で成立させるまでは、公明党からの「早期解散圧力」をかわせる。うまくいけば、解散時期を3月ごろの来年度予算成立後に先送りすることも可能、というわけだ。
 首相に翻意を促す町村氏は粘った。「(辞任は)来年度予算を通してから、ということは考えられませんか」。首相はにべもなかった。「それはだめだ。花道論と言われてしまい、自民党が新しく変わる勢いを殺してしまう」
 「太田農林水産相の問題などで、臨時国会は開会当初からゴタゴタする。結局、国民に迷惑をかける。今なら国民にも迷惑をかけずに交代できる」。首相は臨時国会前の体制一新にこだわった。
 首相の傍らには、辞任会見を想定して、この1年間に手がけた政策をまとめたと見られるメモがいくつもあった。首相は1日は朝から防災訓練などに忙殺されており、メモは前日までに用意したものとみられる。
 一方で、首相は前日の31日午後、首相公邸にひそかに官僚を呼び入れ、12日に召集を予定していた臨時国会での所信表明演説の原稿を練っていた。
 辞意表明への準備と、臨時国会への準備。首相周辺はいう。「ギリギリまで悩み、二つの作業を同時並行で進めていたのだろう」
 首相は麻生、町村両氏にこう言った。「無責任と言われるかもしれないが、いま辞めるのが、最も責任のある辞め方だ。今を失えば、機会を失う」

■「禅譲説、麻生さんが迷惑しちゃう」

 首相の辞任の背景に「禅譲密約」はあったのか――。
 首相が8月の内閣改造で、地方組織を中心に人気のある麻生氏を幹事長に起用、麻生氏も応じたことで、解散・総選挙の前に麻生氏に政権を禅譲するという「密約」があったのではないかとの憶測が一気に広がった。
 首相は「公になっているものは『密約』とは言わない」と記者団に不快感をあらわにし、麻生氏も記者会見で「その種の話は一回もない」と否定している。
 1日の3者会談で、首相は冗談めかして「総裁選が成立するかどうかわからないが、幹事長は出るんでしょうなあ。幹事長が出ないと誰も出なくなっちゃう」と笑った。
 そのうえで、麻生氏に向かって「(昨年9月の初の)組閣の時、本当は外務大臣とかで引っ張り出そうとした。今回ようやく表舞台に引っ張り出すことができた」。期待感を隠さなかった。
 首相は世間に流布する「禅譲説」を気にしていた。退陣表明を来春の予算成立後に延ばせないかと訴える町村氏に対し、翻意がありえないことを断言したうえで、こう語った。「禅譲説がますます信憑(しんぴょう)性を帯びてしまう」
 首相はこの日の朝、貴代子夫人には真意を明らかにしていたが、3者会談の時点では、後見人である森元首相にも辞意を伝えていなかった。
 「あまり早いうちに話が出ると、『禅譲説』とかいう、ありもしない話が定着しちゃう。麻生さんが迷惑しちゃう」。首相は麻生氏をおもんぱかった。
 「総理は総裁選で麻生氏を支持するのか」。辞意表明会見でそう聞かれた首相は、記者の質問には直接答えず、こうはぐらかした。「その後のことは、自民党内でどうするかという問題。総裁選挙の日取りとか、手続きを進めていただきたいと麻生幹事長にお願いしました」

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