リーマン・ブラザーズの経営破綻、メリルリンチの救済合併で、「次はどこ?」状態になっているが、そのなかで米保険大手のAIGが資金繰り難に直面している。他方、米証券大手ゴールドマン・サックスは、前年同期比70%の減益。
他方、ドルは1ドル=104円台まで急落、日経平均株価も1万1500円割れで、日本経済も安心していられるのだろうか…。
AIG、深刻な資金繰り悪化に直面(NIKKEI NET)
米ゴールドマン、70%減益=主要部門が軒並み不振(時事通信)
日経平均先物、一段安 米金融不安を警戒、一時1万1500円割れ(日経ネット)
NY円、104円台に急伸 米信用不安で2カ月ぶり(中国新聞)
AIG、深刻な資金繰り悪化に直面
[NIKKEI NET 2008/09/16 16:09]ニューヨーク(ウォール・ストリート・ジャーナル)米保険大手アメリカン・インターナショナル・グループ(NYSE:AIG)は15日夜、深刻な資金繰りの悪化に直面した。格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスとスタンダード・アンド・プアーズ(S&P)による同日の格下げ発表を受け、AIGは支払い義務を果たすために145億ドルを調達する必要に迫られた。
ムーディーズは、米住宅市場の低迷が長引き、AIGの流動性や自己資本に影響が及んでいるとして、AIGのシニア無担保債の格付けを「Aa3」から「A2」に引き下げた。
S&Pは、AIGの長期カウンターパーティ格付けを「AA-」から「A-」に、短期カウンターパーティ格付けを「A-1+」から「A-2」に、それぞれ引き下げた。また同社のほとんどの保険子会社のカウンターパーティ格付けや財務力格付けを「AA+」から「A+」に引き下げた。これらすべては、さらに格下げの可能性があるとして引き続きクレジットウオッチに掲載されている。
住宅価格の下落をきっかけにウォール街全体を巻き込んだ金融危機は、世界最大手の保険会社であるAIGにまで及んだ。金融業界の混乱がさらに深刻化する恐れが高まるとともに、危機を沈静化するために米政府は極めて困難なかじ取りを迫られている。AIG株の15日終値は、前週末比7.38ドル(60.79%)安の4.76ドルとなった。その後の時間外取引ではやや値を戻し、4.81ドルで取引された。
AIGは世界の企業のリスクに対する保険を扱っており、同社が経営破たんすれば世界の金融システムを揺るがすことになる。
AIGはこうした危機を回避するために、最大750億ドルの調達を急いでいる。また事情に詳しい筋によると、AIGは17日までに新たな資金を確保しなければ、連邦破産法の適用を申請する以外に選択肢はなくなるかもしれないという。
AIGに近い筋は「事態は急を要する」と語った。
多くの市場参加者は、政府主導の救済策を期待している。だが今のところ、政府は救済に乗り出すことには消極的で、民間企業による解決に向けた仲立ちをしようとしている。
米連邦準備制度理事会(FRB)は15日、ニューヨーク連銀のオフィスに、AIG幹部、銀行関係者、州・連邦政府高官を集め、AIGの今後について話し合う会議を開いた。
関係筋によると、米ゴールドマン・サックス・グループ(NYSE:GS)とJPモルガン・チェース(NYSE:JPM)はFRBの強い働きかけにより、 AIG支援のために700億-750億ドルの融資枠を設定するという。AIGがそのような多額の資金を借り入れようとしていることが伝えられ、15日の米株式市場は引け際、下落に拍車がかかった。
AIGはこの週末、約400億ドルの調達計画をまとめようと努力したものの実現しなかったことから、政府の支援に頼ろうとした。危機の深刻化で同社はさらに多額の資金調達が必要になり、同社の危うい状況が浮き彫りになった。同社は、致命傷となる格下げを回避するために、そうした多額の資金を必要としている。
AIGが8月に証券取引委員会(SEC)に提出した書類によると、ムーディーズとS&Pが格下げすれば、AIGは取引相手から追加担保として 145億ドルを差し出すよう要求される可能性がある。この資金をいつまでに調達する必要があるのかははっきりしない。また、格下げを根拠にAIGまたはその取引相手が契約満了前に解約を求める可能性があり、そうなれば支払額は最大約54億ドルになる見通しだという。
15日夜の時点でAIGにとって明るい要素の1つは、同社のエクスポージャーの大部分がクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)関連だということだった。CDSは、企業の債券のデフォルト(債務不履行)に備えた保険のような契約。AIGが引き受けているCDSの契約相手にはウォール街の各社が含まれる。それらの企業は、より広範な混乱を引き起こさないためにも、追加担保を直ちに差し出すよう要求することはないと考えられる。追加担保を差し出す場合は、現金または国債や地方債など流動性の高い資産を用いるとみられる。
ただ、AIGの取引相手の多くは欧州やアジアを本拠としており、AIG支援への関心があまり高くない可能性がある。CDS市場の規模は極めて大きく、約 62兆ドル相当の債券を対象としている。この市場は規制が緩く、一部の市場参加者は、AIGのようなCDS大手がデフォルトを起こせば市場は混乱状態に陥ると懸念している。
米ゴールドマン、70%減益=主要部門が軒並み不振
[時事通信 2008/09/16-23:14]【ニューヨーク16日時事】米証券大手ゴールドマン・サックスが16日発表した2008年6?8月決算は、純利益が前年同期比70%減の8億4500万ドル(約879億円)にとどまった。市場環境の悪化や信用不安の影響などで、主要部門が軒並み業績不振に陥ったことが主因。
証券大手リーマン・ブラザーズは15日に経営破綻(はたん)に追い込まれたが、米国の金融環境全体が引き続き低迷していることが確認された。
日経平均先物、一段安 米金融不安を警戒、一時1万1500円割れ
[NIKKEI NET 2008/09/16 13:55]16日後場中ごろの日経平均先物12月物は一段安。米金融不安への警戒感から売りが優勢で、一時は前週末の大引けと比べ690円安の1万1480円まで下げ幅を広げ1万1500円を割り込んだ。日中取引の中心限月ベースで2005年6月28日以来、約3年2カ月ぶりの安値となる。GLOBEX(シカゴ先物取引システム)で米株価指数先物が下落しており、16日の米株式相場が続落するのではないかとの警戒感も高まっている。下落する過程では1件あたり 1000枚単位の大口売りが観測された。
NY円、104円台に急伸 米信用不安で2カ月ぶり
[中国新聞 2008/9/16]【ニューヨーク15日共同】週明け15日のニューヨーク外国為替市場の円相場は米国の信用不安拡大で急伸し、一時、同市場で7月中旬以来ほぼ2カ月ぶりの円高水準となる1ドル=104円62銭をつけた。
午後5時現在は前週末比3円28銭円高ドル安の1ドル=104円62?72銭で取引された。ユーロは1ユーロ=1.4239?49ドル、149円07?17銭。
米証券大手リーマン・ブラザーズの経営破たんを受け、サブプライム住宅ローン問題の影響により米金融機関の経営に対する不安が広がり、ドル売りが加速した。
AIGの経営不安。オイラもアリコの医療保険に加入しているのだが、大丈夫なんだろうか?