米、不良債権買い取りに7000億ドルの公的資金を投入

米政府が、「金融危機」への対策を発表。柱は、1、公的資金による不良資産の買い取り、2、MMFの払い戻し保証、3、金融関連株の空売り禁止、の3つ。

不良債権の買い取りには、最大で7000億ドル(75兆円)の公的資金を投入する。対象は米国内に本店を置く金融機関のみで、住宅ローン、商業用ローン、住宅ローンに関連するあらゆる証券化商品を買い取るという。

米、最大75兆円の不良資産買い取り案を議会に提示(NIKKEI NET)
米大統領、総合金融対策を正式発表 不良資産買い取りへ(AFPBB News)

MMFはマネー・マーケット・ファンドの略。公社債を中心とした投資信託だが、1970年代に銀行から顧客を奪うために証券業界が売り出した金融商品。小切手の振り出しが可能なため、銀行口座と同じように使われる。それだけに、MMF不安が広がると、信用不安が拡大すると考えられ、保護に乗り出したということなのだろうが、他方で銀行にしてみれば、MMFだけが保護されるのは不満だろう。

3番目の「空売り禁止」は、超思い切った規制策。「空売り」とは、手元に株がないにもかかわらず、何日・何カ月か後に現物の株を渡すという約束で、株を売ること。たとえば、いま100ドルの株が将来値下がりすると思ったとき、たとえば1カ月後に株を引き渡す約束で、いま90ドルで空売りしたとする。そして1カ月後には、株が50ドルに下がっていたとする。そうなると、その時点で50ドルを払って株を買って引き渡せばよいのだから、90ドル?50ドル=40ドル儲かることになる。もちろん、予想が外れて、株が値上がりすれば大損することになるが、金融危機などで株が下がっているときや、あの会社は危ないといわれているときは、じゃんじゃん空売りしていけばますます株価が下がって、ますます儲かるということになる。ある意味、究極の投機手段ともいえる。

しかし、リーマン・ブラザーズのときは公的資金をださず、AIGの場合は公的資金を投入するという、この線引きの基準は不透明。「ダブルスタンダード」(二重基準)との批判はまぬかれない。

米、最大75兆円の不良資産買い取り案を議会に提示
[NIKKEI NET 更新:09月21日 17:03]

 【ワシントン=大隅隆】米財務省は20日、公的資金による不良資産買い取り案を議会に提示したと発表した。買い取り規模は最大7000億ドル(約75兆円)で総合的な金融安定化策の最大の柱となる。米政府は週内決着をめざしているが、議会では借り手支援拡大などを求める声も浮上している。
 ブッシュ大統領は20日の会見で「金融システムの問題が深刻だから資金規模も大きい」と説明。「何もしないリスクの方が、今回のプランを実施するリスクよりはるかに高い」と強調した。
 財務省案によると、買い取り期間は2年。住宅ローンや関連の証券化商品が購入対象。7000億ドルの上限は、買い取る資産の帳簿価格ではなく売買価格で算出する。
 議会では、金融危機の深刻な影響を考慮し、買い取り了承に動く公算が大きい。ただ、ローンの借り手支援、公的資金の損失リスク抑制、金融機関経営者の報酬制限などを求める声も浮上している。ブッシュ政権が求める早期決着へ法案の一部追加や修正の可能性もありそうだ。

米大統領、総合金融対策を正式発表 不良資産買い取りへ
[AFPBB News 2008年09月20日 10:40 発信地:ワシントンD.C./米国]

 【9月20日 AFP】ジョージ・W・ ブッシュ(George W. Bush)米大統領は19日、「米経済にとって極めて重要な時期にある」との認識を示し、金融市場の沈静化を狙った総合金融対策を実施すると正式に発表した。
 ブッシュ大統領は対策の詳細には触れなかったが、この対策により米政府が銀行など金融機関から住宅ローンなどの不良資産を買い取ることが可能になると述べた。
 ヘンリー・ポールソン(Henry Paulson)米財務長官は、連邦準備制度理事会(FRB)および議会幹部らとの会合で立案されたこの対策が「数千億ドル(数十兆円)規模」になるとの見通しを明らかにした。
 また、短期市場金利連動型投資信託(MMF)の保護を実施し、株価急落の要因と見られる株式市場での空売りを全面禁止する。
 ポールソン財務長官はMMFの保護について、金融機関の経営を悪化させかねない資金流出に歯止めを掛けるための措置だと述べた。
 総合対策の発表を受け、世界各国の株式市場は安心感の広がりで大幅上昇に転じた。19日のニューヨーク証券取引所は、ダウ工業株30種平均が3.35%高の1万1388.44ドルで取引を終え、波乱となった同週の下落分をほぼ取り戻した。
 ロンドン証券取引所ではFTSE100総合株価指数が8.84%、仏CAC指数は7.54%、独DAX株式指数は5.56%それぞれ大幅上昇した。
 英大手金融グループのHBOSが同ロイズTSB(Lloyds TSB)による買収に合意したとの報道を受けて株価が39%上昇するなど、欧州各国で金融セクターが大幅上昇した。

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