ニューヨーク株式市場のダウ平均株価は、前日から485ドル高。
しかし、これはあくまで、「金融安定化法案の修正さんが早期に可決されそうだ」という期待感によるもの。ドル短期資金の貸し渋りは深刻なまま。銀行間取引金利は、アメリカで前日の2.75%から7.0%に急騰。ヨーロッパでは、1週間物以上のドル取引が成立しない状況だという。
ところで上院は、1日夜に金融安定化法案の採決をおこなうと表明。「可決の見通し」と言われているが、下院の場合も可決されるはずだった。もし上院でも可決できなかったら…? 明日になったら、世界はすっかり様変わりしているかも知れない。
NY株、終値485ドル高 銀行間金利は急上昇(日経新聞)
日米欧連携、ドル供給倍増65兆円、銀行間金利は高止まり(NIKKEI NET)
米上院が金融法案可決の見通し、法案修正で下院に賛同促す(読売新聞)
NY株、終値485ドル高 銀行間金利は急上昇
[日経新聞 2008年10月1日付夕刊]
9月30日のニューヨーク株式市場は、ダウ工業株30種平均が前日比485ドル21セント高と大幅に反発して取引を終えた。預金保険の上限引き上げなどを柱とする金融安定化法案の修正に向けた動きを好感したため。一方、米で銀行間取引金利が上昇するなど、市場の不安心理は依然抜けきっていない。
【ニューヨーク=山下茂行】30日のダウ平均の終値は1万850ドル66セント。上昇幅は過去3番目の大きさで、前日の下落(777ドル)を約6割取り戻した。金融安定化法案の修正案が早期に可決されるとの期待感のほか、前日にダウ平均が過去最大の下落を記録しており、自律反発狙いの買いも入りやすかった。
銀行大手シティグループやバンク・オブ・アメリカの上昇率が15%を超えるなど金融株の値上がりが目立った。ハイテク株比率の高いナスダック総合株価指数は2082.33と98.60ポイント上昇した。
それでも金融機関の破綻リスクに対する懸念はくすぶったまま。米国の代表的な銀行間取引金利であるフェデラルファンド金利は同日、一時7.0%と連邦準備理事会(FRB)の誘導目標(2.0%)の3倍超の水準まで上昇。前日の最高水準は2.75%だった。資金の出し渋りが続いていることが背景。9月末で資金需給が逼迫しやすかったことも影響したようだ。
日米欧連携、ドル供給倍増65兆円、銀行間金利は高止まり
[NIKKEI NET 更新:2008/10/01 22:40]
【ロンドン=吉田ありさ】ドル資金の銀行間取引金利が高止まりしている。指標となるロンドン銀行間取引金利(LIBOR)は30日、四半期末越えとなる翌日物金利が前日比4.31%上昇の6.88%と、過去最高を更新した。3カ月物金利は前日比0.17%上昇の4.05%と、8カ月ぶりの高水準となった。
前日に日米欧の各国中銀が米連邦準備理事会(FRB)からドル資金を調達して自国に供給する額をこれまでの2900億ドルから6200 億ドル(約65兆1000億円)に倍増すると発表したものの、欧米金融機関の相次ぐ破綻で信用収縮が一段と加速している。だれも資金の出し手になりたがらず、1週間物以上のドル資金の取引はほとんど成立しない異例の事態に陥っている。
米上院が金融法案可決の見通し、法案修正で下院に賛同促す
[2008年10月1日12時15分 読売新聞]
【ワシントン=矢田俊彦】米上院は30日、米下院が否決した緊急経済安定化法案(金融安定化法案)を10月1日夕(日本時間10月2日午前)に採決すると発表した。
安定化法案に米連邦預金保険公社(FDIC)の預金保険の上限を現行の10万ドル(約1050万円)から25万ドル(約2625万円)に引き上げる条項を加える。預金者保護を充実させる修正を法案に加えることで下院に可決を促す狙いがあるとみられる。上院は、11月の選挙で、議席の3分の1だけが改選されるため、法案の可決が濃厚だ。預金の保険上限の引き上げは、民主党のバラク・オバマと共和党のジョン・マケイン両大統領候補が提案していた。民主党のリード上院院内総務は、「上院が可決に向けて動き出すことが最善だ」と述べた。
日本の国会は、すでに議決した事案と同じ事案を再び審議することができない「一事不再議」の原則がある。一方、米下院事務局によると、米議会は同じ趣旨の法案を同じ院で再び採決したり、上院で、下院が否決したのと同趣旨の法案を採決することは理論上、可能だ。ただ、金融安定化法案については、上院が法案を可決したとしても、下院が賛同するかどうかは不透明だ。