IMFの推計で、サブプライムローン問題による世界の金融機関の損失が今後数年間で1兆4050億ドル(約143兆円)に上ることが明らかに。今年4月の推計より1.5倍に増加。まだまだサブプライムローン問題は続きそうです。
といっても、サブプライムの損失は500億ドル、全体の30分の1しかなく、もはやサブプライムローンだけの問題ではなくなってしまいましたが…。
金融機関の損失、143兆円に サブプライム問題でIMF推計(NIKKEI NET)
金融機関の損失、143兆円に サブプライム問題でIMF推計
[日本経済新聞 2008/10/08朝刊]
国際通貨基金(IMF)は7日発表した「世界金融安定性報告」で、米国の信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)問題による世界の金融機関の損失が今後数年間で約1兆4050億ドル(約143兆円)に上るとの推計をまとめた。金融危機や信用収縮の拡大を背景に、損失見通しは今年4月の前回推計(約9450億ドル)の約1.5倍に膨らんだ。
報告は「深刻な信用収縮を回避するため、金融機能の安定に公的資金が必要になる」と指摘。具体的には主要金融機関で合計約6750億ドル(約69兆円)の資本増強が今後必要になるとの試算を示した。
民間からの資本調達が困難になっていることから「当局による存続可能な金融機関への資本注入が必要」と強調。公的資金を使った金融機関の資本増強の必要性に明確に踏み込んだ。
4月時点からの損失推計が膨らんだのは、不動産価格の一段の下落を背景に、商業用不動産ローンなどの損失見通しが拡大したためだ。景気減速と信用収縮で事業用ローンや企業の債務を担保とした証券化商品の損失見通しも増えた。
報告は金融安定に必要な政策努力として、資本増強のほか存続不可能な銀行の整理や政府による不良資産の買い取り、時価会計の適用基準の見直し、預金保険など預金者保護制度の一時的な拡充などを挙げた。(ワシントン=米山雄介)
金融機関の商品別損失見通し(単位億ドル、推計) 08年10月 08年4月 ローン合計 4,250 2,250 サブプライム 500 450 オルトA 350 300 プライム 850 400 商業用不動産 900 300 消費者金融など 1,650 800 証券化商品合計 9,800 7,200 資産担保証券 2,100 2,100 債務担保証券 2,900 2,400 商業用不動産ローン担保証券 1,600 2,100 その他 3,200 600 総合計 14,050 9,450 (注)オルトAは信用力がサブプライムよりは高く、プライムよりは低い層向けのローン