民主党 予算に賛成なら政権交代不要では?

民主党が補正予算案に賛成。

しかし、予算に賛成なら、わざわざ解散・総選挙をやって政権交代などする必要がないと、自分で認めたことになるのではないだろうか。 民主党は「景気対策に反対した」と言われるのを恐れたといわれているが、解散に追い込むつもりなら、ウソでも「こんな予算ではだめだ」というのが当たり前だろう。

景気対策を「政局」扱いしていると批判されるのを恐れたのかも知れない。しかし、「解散に追い込むために、中身は何であれ賛成する」というのも、同じくらい「政局」扱いだろう。

「新テロ特措法案」の延長案についても、民主党の側から、衆院本会議での質疑を省略することを自民党に提案したそうだ。「俺達は反対するが、通すならさっさと通せばいい」などというは、本気で反対するつもりがない証拠だ。

自民党・公明党から民主党に政権の担い手が変わっても、政治の中身は変わらない――そのことを民主党みずから証明したような出来事だ。

補正予算案、午後に衆院通過 民主賛成、16日にも成立(共同通信)
新テロ特措法案:審議巡り「逆ねじれ」 与党引き延ばしへ(毎日新聞)
民主、新テロ法改正案の成立容認 早期解散迫るねらい(MSN産経ニュース)

補正予算案、午後に衆院通過 民主賛成、16日にも成立

[2008/10/08 13:29 共同通信]

 衆院予算委員会は8日午前、麻生太郎首相ら全閣僚が出席し、政府の総合経済対策を盛り込んだ2008年度補正予算案について締めくくり質疑を行った。これに先立ち、民主党は予算委理事会で補正予算案に賛成する考えを表明した。
 補正予算案は午後に委員会で可決された後、衆院本会議に緊急上程。地方の道路特定財源を補う地方税等減収補てん臨時交付金法案とともに可決され、参院に送付される見通しで、自民、公明両党が想定する16日にも成立する可能性が強まった。
 民主党側には、衆院解散より補正予算成立を優先する首相に早期解散を促す狙いがあり、今後は衆院選の時期をめぐる駆け引きが激化する見通しだ。
 予算委で中川昭一財務相は、国際的な金融危機に関し「日本の経済状況は厳しいと警戒感を持っているが、金融システムそのものは欧米に比べれば健全だ」との認識を表明。同時に「暮らしへの不安を解消するために補正予算案の成立に全力を挙げたい」と述べた。
 浜田靖一防衛相は、インド洋での海上自衛隊の給油活動の延長について「国益を考えると参加を続けるべきだ」と指摘。新テロ対策特別措置法改正案の成立に理解を求めた。

新テロ特措法案:審議巡り「逆ねじれ」 与党引き延ばしへ

[毎日新聞 2008年10月8日 21時39分(最終更新 10月8日 23時32分)]

 08年度補正予算案が衆院を通過し、新テロ対策特別措置法改正案も、衆院の早期解散を目指す民主党が採決容認姿勢に転じて今国会で成立する見通しとなり、麻生太郎首相は衆院解散・総選挙に踏み切るきっかけがつかみにくくなってきた。同改正案では、逆に政府・与党が審議引き延ばしを図る「ねじれ現象」も出ている。
 首相は先月末の所信表明演説で(1)補正予算案(2)新テロ特措法改正案(3)消費者庁設置法案――の三つのハードルを用意し、民主党に賛否を迫った。民主党が反対したり審議を引き延ばせば、対立構図が描け、衆院解散を打ちやすくなると読んでいた。だが民主党は容認する方針に転じた。
 次善の策として政府・与党内で浮上するのが新テロ特措法改正案の審議日程の“引き延ばし”だ。
 「来週中は参院で補正予算審議があって関係閣僚が出席せざるを得ない。その間、与野党で(改正案の内容を)政策協議しよう」。8日の衆院テロ防止・イラク支援特別委員会の筆頭理事間協議で、自民党の中谷元氏が提案した。しかし民主党の鉢呂吉雄氏は早期審議を主張し、折り合わなかった。
 与党は、政策協議のほかに民主党の対案であるテロ根絶法案について、同委で趣旨説明と質疑を行うことも要求した。首相に近い自民党幹部は「政策協議や質疑を通じ、国際貢献での民主党の無責任さを浮き彫りにし、新テロ特措法改正案成立直後の解散も狙える」と意図を語った。
 同改正案は、米国発の金融危機や国民の生活と直接関係がなく、「補正予算と比べると解散の名目になりにくい」(公明党幹部)という声も強い。このため、審議を引き延ばす中で民主党との違いを訴える必要があると判断したとみられる。自民党の最近の選挙情勢調査は、与党に厳しい結果となっており、引き延ばす間を、解散日程を見極める猶予期間とする考えもある。
 残りの一手は消費者庁設置法案だが、「大きな争点にならないのではないか」(官邸筋)との見方がある。
 消費者庁設置法案には、民主党の山岡賢次国対委員長が「(選挙後の)本格政権がやるべきだ。審議には応じない」と述べるなど、徹底抗戦の構えだ。これ以上の「逃げ水」を封じ、早期解散に追い込むためだ。【上野央絵、犬飼直幸】

民主、新テロ法改正案の成立容認 早期解散迫るねらい

[MSN産経ニュース 2008.10.8 23:37]

 民主党は8日、衆院本会議で平成20年度補正予算案に賛成したのに続き、インド洋での海自の給油活動延長をはかる新テロ対策特別措置法改正案の今国会での早期成立を容認する姿勢を打ち出した。麻生太郎首相が重要とする補正と新テロ法改正案を処理させ、早期解散を迫るねらいがある。また、首相が国際貢献を衆院選の争点にするのを封じ込める思惑もある。このため民主党は新テロ法改正案に反対するが、与党の賛成多数で1日で衆院通過させても構わないとの立場をとり、与党側が審議日数確保を唱える異例の「ねじれ状態」となった。
 「テロ特はずいぶん長く論議し、与野党の賛否の結論も変わらない。いたずらに審議引き延ばしはしない。補正と同じ考えだ」
 民主党の山岡賢次国対委員長は8日の記者会見で、こう強調した。
 8日午後3時の衆院議院運営委員会理事会。同法改正案は本会議での趣旨説明、質疑を省きテロ防止特別委員会に直接付託すればいい?と主張する民主党理事に、与党理事は「奇異に映る。ありがたいが、理由を聞かせてほしい」とかみついた。
 政府提出法案は、与党側が早期成立を目指し、野党側が徹底審議を求めるのが通例だからだ。
 だが民主党は、首相や与党が、新テロ法改正案の審議を解散先延ばしの口実にすると疑っている。
 「選挙管理内閣が補正と新テロ法が大事だというから片づけてやるんだ。それで解散しないなら、麻生は臆病風に吹かれて選挙から逃げるってことだ。第2次補正予算は準備から成立まで1カ月半かかる。その間に選挙できる」
 8日夕、民主党国対幹部は記者団にこう息巻き、今月21日には野党が多数の参院で新テロ法改正案を否決し、与党に衆院再議決を迫るシナリオを披露した。
 「民主党は、本会議での質疑をやりたくないんだってよ!」
 自民党の大島理森国対委員長は8日夕、9日の衆院本会議で同法改正案の質疑が行われないことが決まったことを受け、国会内の廊下で声を荒らげた。
 与党側には、1月の臨時国会で参院を通過した民主党の対案を審議で取り上げ、「法案の不備や民主党内の足並みの乱れを追及して火だるまにする」(与党幹部)とのもくろみがあるからだ。
 民主党が審議短縮をはかるのは、こうした与党の攻勢をかわす狙いもある。
 また、「民主党政権ができても、アメリカに支援を求められる。今のうちに新テロ法案を通しておく方が得策だ」(同党幹部)との虫のいい話まで民主党内で取りざたされている。当面は海自の活動を継続させ、落としどころをさぐる時間稼ぎとなる?との見方だ。
 一方、共産党の穀田恵二国対委員長は8日の会見で「きっちり議論することが自民党を追いつめることになる。民主党のやり方は重要法案でないとするものでけしからん」と怒りをあらわにした。

“給油法案 採決にも応じる”

[NHKニュース 10月8日 14時21分]

 民主党の山岡国会対策委員長は記者会見で、インド洋での海上自衛隊の給油活動を継続する法案について、速やかに特別委員会で審議に入るべきだとして、採決にも応じる考えを示しました。
 この中で山岡国会対策委員長は、与党側が9日に衆議院本会議で給油活動を継続する法案の趣旨説明と質疑を行いたいと提案していることについて、「今まで長く審議してきたし、われわれの結論は反対で変わらない。いたずらに審議を引き延ばすつもりはなく、必要な審議を終えれば採決に応じる」と述べ、本会議で趣旨説明や質疑を行う必要はなく、速やかに特別委員会で審議に入るべきだとして、採決にも応じる考えを示しました。
 これに先だって、山岡氏は、共産党、社民党、国民新党の国会対策委員長と会談し、こうした考えを説明しましたが、3党は「本会議も含め十分に審議すべきで、採決を急ぐ必要はない」などとして慎重に対応するよう求めました。このあと、共産党の穀田国会対策委員長は記者会見で、「国政上の大きな争点として政府・与党を追い詰め、反対の世論を作るためにも、法案は徹底審議すべきだ。山岡氏が主張する早期の採決には反対だ」と述べました。

民主党は、昨年の国会では、新テロ特措法の延長に反対したが、肝心の本会議で、小沢一郎氏は議場を逃げ出し、反対投票しなかった。それほど、アメリカ様の御威光に逆らうのが、じつは、怖いのだろう。今回も、民主党が本気になって反対して、年内に延長法案が成立しないということになれば、ふたたび給油活動がストップすることになる。アメリカ言いなりの小沢氏としては、そういう事態だけは何としても避けなければならなかった――そこから、こんなみょうちくりんな「戦術」が飛び出してきた、というのはうがった見方だろうか。

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