本日の東証は、あっさり9000円を割り込んで、終値は8200円台。外為の方は、一時1ドル=97円台に突入するほど。
不動産投資信託のニューシティ・レジデンス投資法人の倒産、大和生命の破綻と、日本経済も安閑としていられなくなってきたようです。投機や金融術策でああだこうだしている人たちがどうなろうと知ったこっちゃないですが、中小企業が苦しくなってくるのは大問題です。
株価 過去3番目の下落率に(NHKニュース)
【米金融危機】東京株午前、974円安の8183円 一時1000円超下げ(産経新聞)
日経平均、一時下げ幅1000円超す 先物市場、取引を一時停止(NIKKEI NET)
東京外為:円急騰 一時97円台(毎日新聞)
Jリート初の破綻(読売新聞)
不動産投資信託(リート)【用語解説】(時事通信)
大和生命:破綻…更生特例法申請 金融危機で損失(毎日新聞)
貸し渋り、中小圧迫?地域金融機関が慎重(日刊工業新聞)
株価 過去3番目の下落率に
[NHKニュース 10月10日16時17分]
東証証券取引所の斉藤惇社長は、10日の株価の暴落について、「これまで以上に市場の動向を注視するとともに、相場操縦などの不正行為に対する監視を徹底してまいります。投資家の皆さまにおかれましては、冷静な投資行動をとられるようお願いいたします」という異例のコメントを発表しました。
10日の東京株式市場は、9日のニューヨーク市場の株価暴落を受けて、取り引き開始から全面安の展開になり、その後、大和生命の経営破たんも伝わると、日経平均株価は一気に9000円台を割り込み、一時、1000円を超える下げ幅を記録しました。結局、日経平均株価の終わり値は、9日より881円6銭安い、8276円43銭で、平成15年5月以来、およそ5年5か月ぶりの安値水準となりました。下落率は過去3番目の9.62%に達しました。日経平均株価の値下がりは営業日で7日連続で、この間3000円余り値下がりしたことになります。東証株価指数=トピックスは64.25下がって、840.86でした。1日の出来高は32億7441万株でした。
市場では、アメリカ発の金融危機の影響が産業界や消費にも広がって、世界経済が一段と悪化するという警戒感が高まっています。また、国内でも信用収縮の影響で、9日に、投資家の資金を不動産で運用する不動産投資信託が初めて破たんしたのに続いて、10日には、生命保険会社も破たんに追い込まれたことに衝撃が広がっており、投資家の間では日本経済の先行きに対しても急速に不安が強まっています。
東証証券取引所の斉藤惇社長は、10日の株価の暴落について、「これまで以上に市場の動向を注視するとともに、相場操縦などの不正行為に対する監視を徹底してまいります。投資家の皆さまにおかれましては、冷静な投資行動をとられるようお願いいたします」という異例のコメントを発表しました。
【米金融危機】東京株午前、974円安の8183円 一時1000円超下げ
[MSN産経ニュース 2008.10.10 11:22]
米金融危機に端を発した世界同時株安の流れが止まらない。10日の午前の東京株式市場は、日経平均株価が一時下げ幅が1000円を超えて暴落、平成15年6月26日以来、約5年3カ月ぶりに9000円を割り込んだ。午前終値は前日終値比974円12銭安の8183円37銭と7営業日続落した。米株式市場でダウ工業株30種平均が史上3番目の下げ幅である678ドルと急落、外国為替市場で1ドル=98円まで急速に円高が進行したことなどを受けた。
欧米の金融危機拡大による世界経済の悪化懸念から市場は悲観論一色に染まり、売りが売りを呼ぶ展開となっている。世界同時株安の連鎖に歯止めがかからず、市場には「恐慌に近い」(大手証券)という声も大きくなっている。
東証1部上場の全銘柄の値動きを示す東証株価指数(TOPIX)も75.20ポイント安の829.91と7営業日続落した。
前日9日の米株式市場は、ポールソン米財務長官が金融機関に対する公的資金注入を示唆したものの、金融危機や実体経済の低迷への不安心理はおさまらず、売りが拡大。平成15年5月21日以来、ほぼ5年5カ月ぶりの安値水準に落ち込んだ。
この流れを受けて東京市場でも実体経済の悪化懸念が一段と高まり、三菱UFJフィナンシャル・グループやソフトバンクなど内需の主力株が軒並み売られた。また、円相場でも急激に円高が進行したことで、トヨタ自動車やソニー、新日本製鉄をはじめとする電機や鉄鋼、自動車など輸出関連企業の業績悪化懸念も強まり、売りが拡大じ、全面安の展開となった。
取引時間中の後半には、利益確定の買い戻しなども入ったが続かなかった。市場では「金融危機が実体経済をむしばみ始め、恐慌が大きくなっていく不安に市場は包まれている。もはや状況は一刻を争う状況になっていることを、市場が警告を発している」(大手証券)と警戒感を強めている。
日経平均、一時下げ幅1000円超す 先物市場、取引を一時停止
[NIKKEI NET 2008/10/10 11:30]
世界の株式市場に激震が走っている。9日のダウ工業株30種平均が約5年5カ月ぶりの安値に沈んだのを受け、10日の東京市場でも日経平均株価が急落。下げ幅は一時1000円を超え、取引時間中としては5年4カ月ぶりに8500円を割り込んだ。日経平均先物には米同時テロ直後の2001年9月12日以来となる「サーキットブレーカー」が発動された。
日経平均株価は取引開始直後にあっさりと9000円を割り込み、その後も下げ幅を広げた。一時は8100円台前半まで急落し、下落幅が1000円を超える場面もあった。下落率も一時10%を超え、1987年10月のブラックマンデーに次ぐ水準になった。
日経平均の午前の終値は前日比974円12銭(10.64%)安の8183円37銭。大引けまでこの水準が続いた場合、10営業日での下げ率は31.19%となり、49年5月の指数算出以来で最大の下落率となる。
東京外為:円急騰 一時97円台
[毎日新聞 2008年10月10日 11時48分(最終更新 10月10日 11時49分)]
10日の東京外国為替市場の円相場は、前日の米株価急落を受けて一時、前日午後5時比3円27銭円高・ドル安の1ドル=97円91銭に急騰した。97円台は3月18日以来、約7カ月ぶりの円高水準。午前11時時点は同1円98銭円高・ドル安の1ドル=99円20?25銭。
円は対ユーロでも大幅に上昇し、一時、1ユーロ=132円台に上昇した。午前11時時点は同4円35銭円高・ユーロ安の1ユーロ=134円60?65銭。
金融危機の深刻化で円相場は8日、ほぼ半年ぶりに1ドル=99円台に突入。急速な円高に歯止めがかからない状況が続いている。【大場伸也】
Jリート初の破綻
[2008年10月10日 読売新聞]
東京証券取引所に上場する不動産投資信託(Jリート)のニューシティ・レジデンス投資法人は9日、東京地裁に民事再生法の適用を申請し、同日付で保全命令を受けたと発表した。負債総額は1123億円。帝国データバンクによると、Jリートの経営破綻(はたん)は初めて。
不動産市況の悪化に伴い、借入金の返済資金などの調達が難しくなった。ニューシティによると、投資家は法人も含めて約9000。このうち個人が約8600人を占める。新たなスポンサーにリートを引き継ぐことや、投資家の救済策を検討するとしている。
金融庁は9日、ニューシティの資産運用会社シービーアールイー・レジデンシャル・マネジメントに対し、金融商品取引法に基づき、財産保全や投資者保護措置を取るよう業務改善命令を行った。
東証は同日、ニューシティを11月10日付で上場廃止にすると発表した。
不動産投資信託(リート)【用語解説】
[時事通信 2008/10/10]
投資信託の一種。投資家から集めた資金で商業ビルなどを取得、賃料収入などで得た利益を配当する。2000年の改正投資信託法で解禁され、08年9月末で42銘柄が東京証券取引所などに上場。
会社形態をとり、賃料収入に頼る点は一般の不動産賃貸業と似るが、利益の9割超を分配するなどの条件を満たせば法人税が課されないため、比較的高い利回りを確保できる。(了)
大和生命:破綻…更生特例法申請 金融危機で損失
[毎日新聞 2008年10月10日 11時36分(最終更新 10月10日 11時52分)]
経営不振に陥っていた中堅生命保険の大和(やまと)生命保険は10日、更生特例法の適用を東京地裁に申請した。負債総額は2695億600万円。生保の破綻(はたん)は01年の東京生命保険(現T&Dフィナンシャル生命保険)以来7年ぶりで戦後8社目。米金融危機に伴う市場の混乱で保有株式などに多額の損失が生じ、08年9月中間決算で債務超過に陥ることが避けられなくなり、自力再建を断念した。米金融危機が原因で日本の金融機関が破綻したのは初めて。
破綻した生保の保険契約は、生保各社で構成する生命保険契約者保護機構によって9割まで保護される。ただ、貯蓄性の高い年金保険などの保険金は9割まで保護されない可能性もある。更生手続き中は解約や契約内容の変更はできない。
大和生命の08年3月期の保険料等収入は356億円。契約者は約17万人。総資産は2832億円で国内生保業界33位。経営の健全性を示すソルベンシーマージン比率は08年3月期で555%と健全の目安とされる200%を上回っていたが、半年たたずに破綻したことで契約者の生保不信が強まりそうだ。
会見した中園武雄社長は「世界的な金融市場の混乱で、資産運用のために保有していた有価証券で想定外の急速かつ深刻な価格下落が進んだ」と説明した。保全管理人の瀬戸英雄弁護士は「新たなスポンサーを速やかに確保し、早期の再建を図りたい」と述べた。
米金融不安が表面化した昨年夏以降、大和生命は米低所得者向け高金利住宅ローン(サブプライムローン)関連の金融商品などで多額の損失を計上し、08年3月期決算の最終(当期)黒字は6億5500万円と前年同期から半減。さらに市場の混乱が続き、08年9月中間決算は110億円の最終赤字に転落することが確実となった。自己資本を増強するため、新たな投資家も募ってきたが、不調に終わった。
大和生命は経営規模が小さく営業職員の人件費など経費負担がかさみ、高収益が見込める金融商品に積極的に投資して経費負担を埋め合わせてきたが、それが裏目に出た形だ。
大和生命は1911年設立。02年に破綻した旧大正生命を引き継いだあざみ生命と合併した。【辻本貴洋】【ことば】更生特例法
経営難に陥った銀行や保険会社に適用される破綻処理法で、金融機関の更生手続きを円滑に進めるため96年に制定された。一般企業における会社更生法にあたる。裁判所が財産の保全命令を出し、選任した更生管財人の下で経営を存続しながら更生計画を策定し、再建を図る。保全命令が出されると保険の解約はできない。また、再建にあたり保険金などが減額される可能性もある。生命保険会社では、00年10月に破綻した千代田生命保険、協栄生命保険、01年3月の東京生命保険に適用された。
貸し渋り、中小圧迫?地域金融機関が慎重
[日刊工業新聞 2008年10月10日]
全国商工会連合会が全国の300商工会を対象に中小企業金融の実態を調べたところ、金融機関による“貸し渋り”や“貸しはがし”が徐々に進んでいることが明らかになった。中小企業90社が貸し渋りなどを経験したと回答した。金融庁の金融検査マニュアルでは、中小企業の債務者区分について弾力的な運用を求めている。だが、調査後に米証券大手リーマン・ブラザーズが経営破たんするなど、米国発の金融危機の影響で、金融機関の貸し出し姿勢が一段と慎重になっており、貸し渋りは拡大傾向にあると見られる。全国連は今後、金融庁や中小企業庁に事態改善を求めていく構えだ。
全国連の調べによると、金融機関による貸し渋りなどを指摘した業種は、建設業が全体の31.1%を占めて最多。小売業(23.3%)、サービス業(13.3%)、飲食・宿泊業(12.2%)が続いた。製造業も10.0%あり、資金調達に苦しむ中小企業の姿が浮かび上がる。
「日本経済新聞」10/7付の「視点」によると、金融機関の貸し出し姿勢は目に見えて厳しくなっているという。中小企業は、メーカーの減産の影響に加えて、原材料価格の高騰、貸し渋りで、文字通り「三重苦」を余儀なくされる。
【視点】倒産、業種広がる兆し/貸し出し抑制など三重苦
[日本経済新聞 2008/10/07付朝刊]
「年末にかけて倒産増加のピッチが早まる恐れがある」。東京商工リサーチの友田信男情報部統括部長はこう予測する。
金融機関の貸し出し姿勢が目に見えて厳しくなってきたからだ。「期限直前になって借り換えはできないと言われた」と訴える中小企業が増えているという。
今年に入って不動産や建設業界の倒産が相次いだ背景には、金融機関の融資姿勢が一斉に厳しくなったことがある。それ以外の業種でも似たような現象が起き始めているというのが友田氏の見立てだ。
金融機関の不良債権処理費用は二〇〇八年四?九月期決算では前年同期を大幅に上回る見込み。特に地方銀行の増え方が大きく、「前年同期比で二倍以上になる」(銀行アナリスト)との見方が出ている。米金融危機のあおりを受けた株安も収益を圧迫する。
不良債権処理に追われた一九九〇年代後半から二〇〇〇年代初めとは状況は異なるが、「不良債権を放置して損失を膨らませた反省から、業績が悪化し始めた貸出先には返済要請など早めの措置を取るようになっている」との指摘も多い。
業績悪化の要因として大きかったのは原材料価格の上昇だが、売り上げの不振も目立ってきた。
帝国データバンクの江口一樹情報部長は「米金融危機の影響もあって輸出が一層減少しており、製造業の倒産が今後増える」とみる。好調な自動車産業に支えられてきた東海地区でも、トヨタの減産などを背景に業績が厳しくなる中小企業が増え始めたという。
高止まりする原材料価格に輸出減少、貸し出し抑制が加わったトリプルパンチ。好況期の恩恵が十分に及んでいない中小企業には大きな圧迫要因になりつつあるようだ。(編集委員 実哲也)