東京は、なぜ欧米よりも株価下落率が大きいのか?

大幅な株価下落で、欧米はてんやわんやの大騒ぎではあるが、株価下落率を比べると、東京は、欧米よりもはるかに大きい。なぜ、そんなことになるのだろうか?

日本の『外資依存』露呈 東証急落 『火元』米より下げる(東京新聞)
日本株式市場:外国人、大幅売り越し 危機拡大で――今月第1週(毎日新聞)

「日経新聞」10/11付朝刊によると、昨年10月末と比較した主要株価の下落率は以下のとおり。

主要市場の株価下落率
上海 66.4%
ロシア 62.0%
香港 52.8%
日本 50.6%
ブラジル 43.2%
フランス 41.1%
ドイツ 39.1%
米国 38.4%
英国 35.8%
カナダ 34.4%

(注)昨年10月末と比較、アジアは10日、他市場は9日現在。
(出所)「日本経済新聞」2008/10/11付朝刊

原因としていろいろあげることは可能だろうが、大きくくくってしまえば、小泉内閣の時代につくられた株価が、欧米の混乱で一気に消し飛んでしまうようなものだった、ということだろう。外資を招き入れることによって、株価を上げていたということだ。

小泉首相は、「改革なくして成長なし」と言ったが、その成長は、一瞬に消えてしまうようなものでしかなかった。

そういう視点から、もう一度、「小泉改革」とは何だったのか、ということをふり返ってみる必要があるだろう。そして、こんどは、欧米の経済動向に簡単に左右されない、実のある「成長」を実現させる必要がある。

日本の『外資依存』露呈 東証急落 『火元』米より下げる

[東京新聞 2008年10月9日 朝刊]

 米国発の金融危機の深まりから8日の東京株式市場で日経平均株価が戦後3番目の下げ幅を記録した。日本株の下落率を見ると金融危機の“火元”である米国と比べても大きく、日本市場の「外資依存体質」も露呈している。(池尾伸一、坂田奈央)

 この日は韓国や香港株式も急落、暴落したインドネシア市場は取引停止となり、アジア全体の市場が総崩れ。
 世界中の投資資金を受け入れ、各国の市場や経済に金を注ぎ込んできた米国は世界経済の「心臓」だった。
 その米国で金融不全が起こり、世界経済は瀕死(ひんし)の状態。だが、各国政府の対策が完全に後手に回っていることで、市場の不安は極限にまで高まっている。
 中でも下げが目立つのが日本市場だ。日経平均株価の8日終値は、直近の最高値である2007年7月9日の1万8,261円98銭から49.6%下落。これに対して、米国のダウ工業株30種平均の7日の終値は直近最高値から33.3%下げたにとどまる。
 深刻な金融危機に陥っていないはずの日本が、震源地である米国より大きく下げている背景を新光証券の三浦豊シニアテクニカルアナリストは「外資依存度の高さ」と指摘する。
 東京証券取引所によると、外国人が占める07年の売買代金シェアは約6割外国人による全国主要市場での株式保有比率も1998年度の14%が、07年度は約28%にまで増加している
 資金繰りに窮する外資系銀行やヘッジファンドは、日本株の投げ売りに走っており、「外資の影響をもろに受けている」(大手証券アナリスト)という。
 不良債権問題から抜け出た後も、規制緩和による内需拡大策や人口減少対策を怠ってきた日本の弱点が、金融危機で一気に露呈した形だ。

日本株式市場:外国人、大幅売り越し 危機拡大で――今月第1週

[毎日新聞 2008年10月10日 東京朝刊]

 東京証券取引所が9日発表した10月第1週(9月29?10月3日)の投資部門別株式売買状況(東京、大阪、名古屋3市場の1、2部など合計)によると、外国人投資家は、3,734億円の売り越しとなった。2週連続の売り越しで前週の2倍以上にふくらんだ。米証券大手ベア・スターンズの経営危機で金融不安が高まった3月第2週に続く、今年2番目の売り越し額。
 10月第1週は、米下院が、金融機関からの不良資産買い取りを柱とする金融安定化法案を予想を覆して否決。ニューヨーク市場のダウ工業株30種平均が前日終値比777ドル下落するなど金融システム不安が高まった。
 投資ファンド解散による売りや、海外ヘッジファンドが顧客の解約に備え、換金売りを増加させたとみられる。【野原大輔】

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