G7 行動計画を発表

G7(主要7カ国)財務相・中央銀行総裁会議が開かれ、5項目からなる「行動計画」を発表。

とりあえず、公的資金の資本注入で合意したということで注目されているが、はたしてこれで騒動が収まるかどうか。

G7:金融安定「あらゆる手段」 行動計画に資本注入明記(毎日新聞)

行動計画の全文は、以下のとおり(「日本経済新聞」2008/10/11夕刊から)。

G7行動計画全文

 G7は10日、現下の状況は緊急かつ例外的な行動を必要としていることに同意する。我々は世界経済の成長を支えるため、金融市場を安定させ、信用の流れを回復するために共同して作業を続けることにコミットする。我々は以下のことに同意する。

  • システム上の重要性を有する金融機関を支援し、その破綻を避けるため断固たるアクションを取り、あらゆる利用可能な手段を活用する。
  • 信用市場および短期金融市場の機能を回復し、銀行および、その他の金融機関が流動性と調達資金に広範なアクセスを有していることを確保するため、すべての必要な手段を講じる。
  • 銀行やその他の主要な金融仲介機関が信認を再構築し、家計や企業への貸し出しを継続することを可能にするに十分な量で、必要に応じ公的資金、そして民間資金の双方により資本を増強することができるよう確保する。
  • 預金者がその預金の安全に対する信認を引き続き保つことができるよう、各国それぞれの預金保険・保証プログラムが頑健であり、一貫していることができるよう確保する。
  • 必要に応じ、住宅ローン担保証券(モーゲージ)その他の証券化商品の流通市場を再開させるための行動をとる。資産の正確な評価と透明性の高い開示、および質の高い会計基準の一貫した実施が必要である。

 これらの行動は納税者を保護し、他国に潜在的な悪影響を与えないような方法で行われるべきである。我々は必要かつ適切な場合には、マクロ経済政策上の手段を活用する。我々は今回の混乱により、影響を受ける国々を支援するうえで国際通貨基金(IMF)が果たす決定的に重要な役割を強く支持する。我々は金融安定化フォーラム(FSF)の提言の完全な実施を加速し、金融システムの改革の差し迫った必要性にコミットする。我々はこの計画を完遂するため、協力を一層強化し、他の国々と協働する。

第1項目は、でかい金融機関を救済するためには「あらゆる利用可能な手段」を使う、第2項目は、信用市場と短期金融市場の機能回復のためには、「すべての必要な手段」を使う、と言っている。ということは、うがった読み方をすれば、信用制度回復のためには、現在「利用可能」でなくても、必要であれば、何でもやる、ということだろうか?

それから、預金者保護について、「一貫していることができるよう確保する」というのだから、現在のところ、各国で差のある預金者保護を統一するということなのだろうか? だとすると、やっぱり全額保護しかないのだが、日本も本気でそうするつもりなのだろうか?

第5項目では、性懲りもなく、住宅ローン担保証券などの証券化商品をこれからも流通させると宣言している。悪いのは、「資産の正確な評価」のできなかった格付け会社であり、会計基準を統一して透明性を高くすれば問題は起こらない、というのだ。

G7:金融安定「あらゆる手段」 行動計画に資本注入明記

[毎日新聞 2008年10月11日 東京夕刊]

 【ワシントン斉藤望】ワシントンで開かれた先進7カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)は10日夕(日本時間11日朝)、米国発で世界規模に拡大した金融危機の収束を目指した行動計画を発表して閉幕した。行動計画は金融システムの安定化と市場の混乱収拾のため「利用可能なあらゆる手段を活用する」と強い決意を表明。各国が公的資金による金融機関への資本注入に取り組むことなど5項目の実行を明記した。
 通常のG7は世界経済や為替相場など全般的な課題に言及する共同声明を発表するが、今回は金融危機への対応策のみを行動計画としてまとめる極めて異例の会合となった。
 行動計画は「(金融市場の)現状は緊急かつ例外的な行動を必要としている」と世界的な株価暴落に強い危機感を表明。金融システムで重要な金融機関の支援と破綻(はたん)回避のため「断固たる行動を取り、あらゆる手段を活用する」と表明した。その上で「金融機関の信認回復のため、公的資金・民間資金の双方で資本を増強できるよう確保する」と述べ、各国が公的資金を活用して金融機関に資本注入する制度を整えることを確認した。
 また、「預金者の信認を保つことができるよう、各国それぞれの預金保険制度を強化する」と表明。金融機関への取り付け騒ぎなどを防ぐため、各国で預金の全額保護も含めて預金保険制度を拡充することに合意した。
 さらに「必要な場合はマクロ経済政策を活用する」と明記。金融危機が景気を悪化させることを防ぐため、各国が財政出動や利下げに踏み切る用意があると強調した。
 今回のG7は金融危機収束の切り札とされる資本注入でどこまで協調できるかが最大の焦点だった。
 G7後に会見した中川昭一財務・金融担当相は「今までのG7と違って簡潔で明瞭(めいりょう)な内容を打ち出した。米国が公的資金で資本注入することも確認した。大きな前進だ」と評価した。

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