アナクロな人たち

「天皇陛下御即位二十年奉祝国会議員連盟」という名前の議員連盟の設立総会が開かれた。

9年前にも皇居前で即位10年の「国民祭典」なるものが開かれたが、来年また即位20年の「国民祭典」をやろうというのだ。勝手にやるならともかく、それに政府を巻き込んで、自分たちの私的な集会を国家的行事に仕立てようというのだから、迷惑な話。

来年11月12日、天皇在位20年を休日に 超党派議連(asahi.com)
“即位の礼にちなみ 休日を”(NHKニュース)

来年11月12日、天皇在位20年を休日に 超党派議連

[asahi.com 2008年10月16日18時46分]

 自民、民主、公明、国民新党など超党派の議員による「天皇陛下御即位二十年奉祝国会議員連盟」(森喜朗会長)が16日、国会内で設立総会を開き、天皇陛下の在位20年を記念して、来年11月12日を国民の休日とする議員立法を臨時国会に提出する方針を決めた。
 11月12日は90年に天皇陛下の「即位の礼」が催された日で、来年は財界を中心とする民間団体や同議連などが、皇居前広場で祝賀行事の開催を計画している。

“即位の礼にちなみ 休日を”

[NHKニュース 10月16日 14時15分]

 天皇陛下が即位して来年で20年になることを祝うため、さまざまな行事の実施を目指す超党派の議員連盟が初会合を開き、平成2年に「即位の礼」が行われた日にちなんで、来年の11月12日を1年かぎりの休日とする法案の提出を目指すことを決めました。
 16日の初会合には、自民党、民主党、公明党、国民新党、改革クラブなどの国会議員20人余りが出席し、会長の森元総理大臣が「天皇陛下は、手術を行ったあとも、あらゆる方面で元気に公務を行っており、頭が下がる思いだ。即位から20年になる来年の秋にお祝いの会をするため、各党間の政争は横において協力しよう」とあいさつしました。このあと、議員連盟は、即位20年を国民全体で祝うため、平成2年に「即位の礼」が行われた日にちなんで、来年の11月12日を1年かぎりの休日とする法案の今の臨時国会への提出を目指すことや、来年11月12日に皇居前広場で即位20年を祝う大規模な集会を開くことを決めました。

NHKニュースの画面をみると、後ろの横断幕には「天皇陛下御即位二十年奉祝国会議員連盟設立役員総会」と書かれている。

NHKニュースから(2008年10月16日)

なんじゃこりゃ、と思ってGoogleを検索してみると、こんなニュースが引っかかった。

「天皇陛下御即位二十年奉祝委員会」が設立総会(MSN産経ニュース)

「天皇陛下御即位二十年奉祝委員会」が設立総会

[MSN産経ニュース 2008.6.5 19:51]

 「天皇陛下御即位二十年奉祝委員会」(名誉会長・御手洗冨士夫日本経団連会長、会長・岡村正日本商工会議所会頭)は5日、都内のホテルで設立総会を開き、「即位礼正殿の儀」が行われた日にちなみ、来年11月12日を臨時休日とする法律の制定や政府主催記念式典の実施などを要望する事業計画を決めた。総会では、超党派の「天皇陛下御即位二十年奉祝国会議員連盟」が発足することも報告された。

さらに、YouTubeには、この「祝砲委員会」設立総会の動画が公開されている。

YouTube – 天皇陛下御即位二十年奉祝委員会設立総会1/5

そこに記された式次第は以下のとおり。

桜プロジェクト?平成20年06月11日号より。天皇陛下御即位二十年奉祝委員会 設立総会(平成20年6月5日)

【開会の挨拶】
・平沼赳夫 (衆議院議員・日本会議国会議員懇談会会長)
【事業計画案の発表】
男成洋三 (奉祝委員会 事務総長)
【会長式辞】
・岡村 正 (奉祝委員会会長・日本商工会議所会頭)
(代読)中村利雄 (日本商工会議所専務理事)
【来賓祝辞】
・町村信孝 (衆議院議員・内閣官房長官)
・伊吹文明 (衆議院議員・自民党幹事長)
・鳩山由紀夫 (衆議院議員・民主党幹事長)
・島村宜伸 (衆議院議員・奉祝国会議員連盟設立準備世話人)
【各界からの祝辞】
・山口信夫 (日本商工会議所名誉会頭)
・浅野温子 (女優)
・川淵三郎 (日本サッカー協会会長)
・長島忠美 (衆議院議員・元山古志村村長)
【聖寿万歳】
・矢田部正巳 (奉祝委員会代表世話人・神社本庁総長)

平沼赳夫氏は、日本会議国会議員懇談会会長だ。また、事業計画を報告している男成洋三氏は明治神宮崇敬会理事長代行で日本会議理事長らしい(Wikipediaによる)。

参照:日本会議 – Wikipedia

「奉祝委員会」や「議員連盟」では、次のようなことが目論まれているらしい。(今年6月3日に開かれた「天皇陛下御即位二十年奉祝国会議員連盟」の第1回世話人会の決議による)

  1. 平成21年の「即位礼正殿の儀の行われた日」(平成21年11月12日)を臨時休日とする法律を早急に成立させる。
  2. 民間の「天皇陛下御即位20年奉祝委員会」と共催で、本年11月9日に「天皇陛下御即位20年奉祝中央国民大会」を、来年11月12日に「天皇陛下御即位20年をお祝いする国民祭典」(皇居前広場)を開催する。
  3. 来年11月、政府主催で「天皇陛下御即位20年奉祝式典」を開催するよう、政府に対して要望する。
  4. 来秋、御即位20年をお祝いする「賀詞」を衆参両院で決議する。
  5. 御即位10年での奉祝事業を踏まえ、各省庁での「奉祝事業」の推進のため、内閣府に「天皇陛下御即位20年奉祝記念事業連絡室」(仮称)の設置を要望する。

「天皇陛下御即位二十年奉祝委員会」設立総会での男成洋三氏の報告によれば、「国民祭典」は10万人規模で計画されている。全国の郷土芸能・パレードで参加をつどい、10万人の提灯行列をやるつもりらしい。

「即位20年」というが、皇室典範によれば、「天皇が崩じたときは、皇嗣が、直ちに即位する」(第4条)とある。つまり、明仁さんが即位したのは1989年1月7日で、11月12日では日付が合わない。

11月12日というのは「即位の礼」がおこなわれた日だが、それは1989年ではなくて、1990年、元号で言えば平成2年のこと。だから、「即位の礼」20年というなら、来年ではなく再来年の11月12日になるはずで、これもやっぱり計算が合わない。

アナクロなのも迷惑だが、簡単な足し算も出来ないのは困ったものである。

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