パキスタン、ウクライナ、ハンガリー 外貨流出でIMFに支援要請

アイスランドだけでなく、パキスタンでもこのままでは債務不履行(デフォルト)になる危険性がでてきた。ウクライナ、ハンガリーなども外貨流出が続いている。

IMF、ウクライナなど欧州中小国への緊急融資検討(読売新聞)
金融危機:IMF、新興国に緊急融資へ ウクライナ、1兆円超(毎日新聞)
欧州・アジアの中小国、止まらぬ資金流出 国外マネー依存響く(NIKKEI NET)
一部中小国の債務不履行懸念、欧米市場に警戒感(NIKKEI NET)
資金難の新興国向け支援、IMFが無制限融資へ 日本提案受け入れ(NIKKEI NET)

IMF、ウクライナなど欧州中小国への緊急融資検討

[2008年10月19日20時52分 読売新聞]

 【ワシントン=岡田章裕】国際通貨基金(IMF)が、ウクライナなど欧州の中小国への緊急融資を検討していることが19日、明らかになった。
 中川財務・金融相が新興・中小国の金融システム安定化のために提案した新融資制度「中川構想」に沿ったもので、融資額に上限を設けず、融資条件も緩和する見通しだ。
 ウクライナのほか、ハンガリー、アイスランドなどが対象となる見通しだ。今回の金融危機で初めての支援実施となる。
 IMFには緊急融資に使うことのできる資金が2000億ドル(約20兆円)ある。ウクライナなどへの融資が円滑に進めば、欧州だけでなく、アジアでも支援を要請する国が現れる可能性がある。
 IMF加盟国は従来、自国の資金拠出額の範囲内でしか借りられなかった。金融危機を乗り切るには早期に大量の資金をつぎ込むことの効果が大きいことなどから、原則として融資上限を設けない方針とする。

金融危機:IMF、新興国に緊急融資へ ウクライナ、1兆円超

[毎日新聞 2008年10月19日 東京朝刊]

 【ロンドン藤好陽太郎】ウクライナが、国際通貨基金(IMF)から1兆円を超える緊急融資を受ける見通しとなった。ハンガリー、アイスランドも最終調整に入り、トルコも検討に乗り出す姿勢を見せている。融資が決定すれば、今回の金融危機ではIMF初の支援となる。
 金融危機で打撃を受けた先進国の資金が、新興国から相次いで引き揚げられている。新興国は財政赤字拡大や通貨急落、資金の借り換えなどが難しくなるケースも増えている。
 ウクライナは、IMFが金融・経済の実態を調査中。融資は140億ドル(約1兆4000億円)規模となる見込みだが、国内の政治的対立が影響を及ぼす可能性もある。
 ハンガリーはユーロ圏ではないが、欧州中銀は影響拡大を避けるため、すでに50億ユーロ(約6700億円)に上る信用供与枠を設けた。
 アイスランドは、銀行の経営危機で主要行が国有化された。トルコは01年にIMFから支援を受け、返済を終えたばかり。

欧州・アジアの中小国、止まらぬ資金流出 国外マネー依存響く

[NIKKEI NET 更新:2008/10/19 22:40]

 【ニューデリー=長沢倫一郎、ロンドン=石井一乗】米国発の金融危機の余波を受けた新興国経済の混乱が一段と拡大している。世界の投資家が一斉に高リスク投資から資金を引き揚げ始めた結果、大規模な資金流出に直面。ハンガリーやウクライナ、アイスランドに加え、新たにパキスタンも国際通貨基金(IMF)などの国際機関や友好国に支援を要請し始めた。新興国経済は海外からの投資マネーに成長を依存していただけに影響は深刻だ。
 パキスタンの外貨準備高は昨年10月のピーク時の半分を割り、2カ月分の輸入代金をかろうじて賄える水準にまで落ち込んだ。同国は恒常的な貿易赤字を抱え、原油高で外貨流出が加速している。経済の先行きへの懸念は同国通貨の売り圧力の形でも顕在化。パキスタンルピー相場は17日、対ドルで史上最安値をつけた。
 このままでは来年2月に期限が到来する外債の償還資金を手当てできず、債務不履行(デフォルト)に陥るとの懸念が強まっている。ギラニ首相のショーカット・タリン経済顧問は先週、ワシントンを訪問。融資獲得をにらみ世界銀行やIMFと協議した。同国はアジア開発銀行やイスラム開発銀行のほか、中国やサウジアラビアなどにも支援を要請。年内に40億ドル、さらに今年度(2008年7月?09年6月)末までに追加で30億ドルの支援に期待している。
 一方、政府や中銀首脳がIMFにへの支援要請を視野に入れた発言をしているハンガリー、ウクライナ、アイスランドの3カ国でも、資金流出が目立っている。
 外貨建て債務の比率が高いハンガリーでは、成長減速を背景とした債務拡大懸念から通貨フォリントが売り込まれるとともに株式相場も急落。16日には欧州中央銀行(ECB)がハンガリー中銀に最大50億ユーロの特別貸出枠を設定したが、市場同様が収まらない。国内では自国通貨を外貨に換金する動きも相次いだため、銀行が外貨建て貸し出しを停止した。
 ウクライナでも通貨フリブナの信用低下で外貨の引き出しが相次いだため、銀行が外貨の引き出しを制限した。アイスランド中銀は14日、5月に締結した通貨交換協定を活用し、デンマークとノルウェーの中銀から合計4億ユーロを調達した。アイスランド政府はロシアにも支援を要請した。
 いずれの国もここ数年、政府が積極的な開放政策を進めたという共通点がある。外国資本の投資を受け入れ、経済成長のテコとする戦略だ
 しかし、金融危機で投資家の資金は逆転。モルガン・スタンレーグループが算出する新興国の株価指数は5月の高値から直近まで5割強下落。外国投資マネーの流出は通貨下落につながり、それが外貨建て債務の拡大を招く悪循環に陥り始めている。

一部中小国の債務不履行懸念、欧米市場に警戒感

[NIKKEI NET 更新:2008/10/19 22:40]

 一部の新興国が債務不履行に陥ることに対する警戒感が欧米金融市場で高まっている。国の債務を肩代わりする「保証料率」が、アルゼンチンやパキスタン対象分で急上昇、国の破綻リスクが意識されつつある。
 債務不履行に対する警戒感の強まりは、国債を対象にしたクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)と呼ばれる金融派生商品の保証料率に表れる。保証料は、債務不履行となった場合に、投資家などが保有する国債の元本を補てんしてもらうためのコスト。例えば保証料率1%の場合、国債保有者は 1万ドルを払って、100万ドル分の国債のリスクを第三者に引き受けてもらう仕組みだ。保証料率の上昇が必ずしも破綻に結びつくわけではないが、リスクの高まりを反映する。
 BNPパリバによると、アルゼンチン国債の保証料率は10月に入って2倍強に急上昇、パキスタンも同時期に約5割上昇。ウクライナは9月上旬に15%超に、アイスランドも9月中旬の3%前後から10%程度にそれぞれ高まった。(ロンドン=石井一乗)

資金難の新興国向け支援、IMFが無制限融資へ 日本提案受け入れ

[NIKKEI NET 更新:10月19日 07:00]

 国際通貨基金(IMF)は18日、米国発の金融危機で資金難に陥っている新興国に対し、ただちに緊急融資を実施する方向で最終調整に入った。日本政府が提案していた構想を全面的に受け入れたもので、融資額の上限を設けず審査基準も大幅に緩める。アイスランド、ウクライナなどからの支援要請を受け、必要に応じて緊急理事会を開催、融資を決議する見通しだ。
 IMFは借り手の減少に伴って多額の資金が余っており、貸付可能額は約2100億ドル(21兆円)にのぼる。新興・中小国が金融機関の資本増強に巨額の資金投入を必要とする場合には原則、無制限で貸し出す案が有力だ。
 加盟国は通常、自らの拠出額の範囲内でしかIMFから借りられない。ただ米住宅ローンの証券化商品が引き起こした今回の金融危機は、過去の危機に比べて根が深く連鎖しやすい。新興国は自国の経済規模をはるかに上回る金融機関の救済を迫られる可能性もあり、IMFは上限撤廃で信用力を補完する。現状の金利は4%程度とみられ、この水準を念頭に条件の詰めを急ぐ。
 融資基準も大幅に緩和する。金融再生への取り組みや返済計画などを相手国の政府と協議するものの、具体的な用件は最小限にとどめ、実質的に審査なしで資金の需要に応える。

ウォンも、引き続き大変なようだ。このまま外貨流出が続けば、そのうちパキスタンと同じように、外貨準備が支払いの2、3か月分しかない、という事態に立ちいたるかも知れない。

韓国、300億ドルを市場に供給へ ウォン急落で手当て(asahi.com)

韓国、300億ドルを市場に供給へ ウォン急落で手当て

[asahi.com 2008年10月19日22時24分]

 【ソウル=箱田哲也】韓国政府は19日、金融市場でドル流通が極端に不足し、急激なウォン安ドル高が進んでいるため、国の外貨準備を取り崩して300億ドル(約3兆円)を市場に供給することなどを盛り込んだ金融安定化策を発表した。金融機関や企業によるドル資金の調達難を和らげる狙いだ。
 国内銀行が来年6月末までに外国金融機関との間で行う外貨借り入れに対しても、3年間は政府が1千億ドル(約10兆円)まで保証する。安定化策は、政府と与党ハンナラ党幹部らが協議して決めた。近く同意案を国会に提出する予定だ。
 韓国政府によると、300億ドルの市場供給は、輸出入銀行を通じた銀行や輸出型の中小企業に対する貸し付けなどで実施する。韓国政府はすでに150億ドルの同様の資金供給を打ち出しているが、市場の動揺が続いているのを受けて、供給幅を拡大する。韓国の外貨準備高は9月末時点で約2400億ドル
 ウォンの対ドル相場は今年1月初めに1ドル=930ウォン台だったが、国際的な金融不安の高まりを受け、外国人投資家が投資資金を急速に引き揚げる動きが強まって急落が続いている。10月には、終値で一時1400ウォンに迫る事態となっている。
 韓国政府関係者は「企業の資金難が解消され、不安心理が落ち着けば、外為市場にもよい影響を及ぼし、ウォンが安定すると期待される」と語った。

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