消費税増税はやっぱり法人減税のため

水戸で有税を開始した麻生首相が「ぜひ消費税をあげさせてください」と、ふたたび消費税増税を明言。

首相は「中福祉中負担」と言っているが、自民党税調はしっかり法人税率の引き下げに動いている。なんだかんだ言ってみても、結局、法人税を引き下げる分、消費税を引き上げようというのが本音だ。

景気回復後「ぜひ消費税上げを」=麻生首相、茨城で地方遊説第1弾(時事通信)
社会保障国民会議:最終報告 消費税最大18%程度に(毎日新聞)
速報/法人税引き下げを検討 – FujiSankei Business i.
税制改革「中期プログラム」、法人税率下げ検討 自民税調(日本経済新聞)

景気回復後「ぜひ消費税上げを」=麻生首相、茨城で地方遊説第1弾

[時事通信 2008/11/09-21:22]

 麻生太郎首相は9日午後、水戸市で街頭演説し、「向こう3年間くらい景気対策をやらない限り今の不景気を抜け出すことができない。景気対策をまずやって、そこそこ景気を良くして、介護、福祉、医療に使わせてもらうため、ぜひ消費税を上げさせてください」と述べ、景気回復後の消費税増税に理解を求めた。
 首相は同日、次期衆院選に備えた地方遊説の第一弾として茨城県入り。水戸市では約5000人の聴衆を前に街頭演説した。この中で首相は「平均寿命が長くなったら、制度が同じで持つはずがない」と指摘。「米国みたいに低負担で低福祉にするか。北欧みたいに消費税がものすごく高くて福祉も高いのにするか。それとも中福祉・中負担にするのか、みんなで考えないといけない」と述べた。
 さらに、「こういったことを言ったら選挙の票にならないとみんなが言うが、言わない方が無責任だ」と強調した。 
 一方、首相は同県ひたちなか市の那珂湊(なかみなと)漁協を訪問し、魚市場を見学。つくば市では「つくば科学フェスティバル」や筑波宇宙センターを視察した。
 視察後、首相は記者団に「自分で見るのと話を聞くのでは大違いだ」と強調。街頭演説に関しては「消費税引き上げの話だから、面白い話ではないが、きちんと聞いてもらえるというのはすごく大きい」と述べた。(了)

社会保障国民会議:最終報告 消費税最大18%程度に

[毎日新聞 2008年11月5日 東京朝刊]

 社会保障国民会議は最終報告で、社会保障全般の機能を強化した場合、25年度に新たに要する税負担は、消費税率換算で最大13%に達するとの試算を示した。その場合、税率は現行の5%と合わせ、計18%程度となる。
 これは基礎年金の財源を全額税で賄う税方式に転換し、前制度での保険料相当分も上乗せして給付する案を採用したケース。
 5月に示した試算では、さらに手厚く、今の給付実績に相当する分も上乗せする案も示し、その場合は医療・介護も含め、消費税率換算で最大15.5%程度が必要になる計算だった。最終報告ではこの案を省いたため、最大税率は13%になった。
 追加所要額が一番少ないのは、基礎年金について現在の社会保険方式を維持したうえで、基礎年金(月額6.6万円)を7万円にアップし、最低保障年金(5万円)を創設するケース。年金で1%、医療・介護で4%程度が必要となり、全体では6%程度となる。
 国民会議はまた、15年度に必要となる税負担も試算。年金を税方式にするなら社会保障全体で消費税率換算で6?11%で、社会保険方式では3.3?3.5%となった。
 なお、試算には少子化対策分として、0.4?0.6%分も上乗せされている。【吉田啓志】

法人税引き下げを検討

[FujiSankei Business i. 2008/11/9]

 中川昭一財務相は9日、産業界が要望している法人税率引き下げについて「法人税は諸外国に比べて(地方税も含めた)実効税率が高い。たぶんそういう方向になっていく」と述べ、年末にまとめる税制改革の中期プログラムでは引き下げの方向で検討する考えを明らかにした。都内で記者団に語った。
 財務相は「個人(所得)税、法人税、資産税に踏み込んでいくか、まずは(自民)党の議論だ」と指摘、消費税だけでなく税制全体を見直す意向を重ねて示した。

税制改革「中期プログラム」、法人税率下げ検討 自民税調

[日本経済新聞 2008/11/09朝刊]

 自民党税制調査会の柳沢伯夫小委員長は日本経済新聞のインタビューに応じ、年内にまとめる税制改革の「中期プログラム」に法人税率の引き下げや所得税の低所得者向け優遇措置などを明記する考えを明らかにした。財源は将来の消費税率の引き上げを念頭におきつつ、増税時期は慎重に見極める必要性も強調した。税制の抜本改革は次期衆院選の大きな争点となる見通しだ。

 自民党税調は11日に総会を開いて本格的な議論を開始する。12月中旬の与党の来年度税制改正大綱の決定とあわせ、「2010年代前半の実現」を念頭におく中期プログラムもまとめる。
 柳沢氏は中期プログラムについて「経済の大混乱がないのが前提」と断った上で、「法人税は国際競争を強く意識し、税率は国際比較で考える」と語った。国内企業の競争力向上のため、法人地方税、法人事業税を含む実効税率(現行は約40%)の引き下げに意欲を示したものだ。
 同時に「課税ベースも考える。そのときに研究開発は最優先で強化する」と指摘。特定産業を優遇する租税特別措置などを見直して税体系の簡素化・公平化を図り、課税対象を広げていく考えも表明した。
 所得税については「低所得者の負担を軽減し、最高税率はもうちょっと引き上げることが当然議論になる」と強調。低所得者への優遇措置を拡充する一方、最高税率(40%)の引き上げに言及した。
 首相が表明した3年後の消費税の引き上げについては「経済が平常時か懸念する向きもある。非常に注意深く見ている」と強調。経済状況や世論の動向を見ながら中期プログラムにどう盛り込むかを議論する考えだ。
 来年度税制改革では、景気悪化を踏まえた対策が中心となる。柳沢氏は10月末に公表した追加経済対策に盛り込んだ個人の少額投資向けの優遇措置に関して「英国の個人貯蓄口座(ISA)のようなものを考えている」と指摘した。
 首相の持論である300万円までの株式投資の配当金を非課税にする「証券マル優」ではなく、一定額までの投資について特別口座を利用した場合は配当を非課税にする制度を創設。対象の金融商品や口座の要件は今後詰める。
 利子や配当、株式譲渡の損益を通算して総合的に課税する「金融所得一体課税」の導入と同時に実施する方針だ。
 中小企業の所得のうち、年800万円以下の部分に適用する22%の軽減背率は2-3年間の時限措置としてさらに引き下げを検討する。

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