雇用保険は、正社員であるか非正社員であるかにかかわりなく、「1年以上勤め続ける予定の人」「1年以上勤めている人」「週の所定労働時間が20時間以上の人」について、事業主は必ず加入しなければなりません。
ところが、雇用者は4691万人いるにもかからず、雇用保険に加入している人は3685万しかいません。この差約1000万人のかなりの部分が、雇用保険に加入する義務があるにもかかわらず、事業主が加入していないということです。
雇用保険加入漏れ、最大1006万人に 厚労省07年推計(NIKKEI NET)
雇用保険加入漏れ、最大1006万人に 厚労省07年推計
[NIKKEI NET 2008/11/14 14:06]
厚生労働省は雇用保険の適用対象だが、加入していない恐れのある労働者が2007年に最大約1006万人にのぼるとの推計をまとめた。日雇い派遣労働者やパート労働者など非正規社員が多いとみられる。
厚労省は雇用保険の適用外である公務員や会社の役員などを除いたすべての雇用者が雇用保険の適用対象になると仮定して推計した。公務員などを除いた雇用者数は約4691万人。このうち雇用保険に加入している約3685万人を差し引くと約1006万人が雇用保険から漏れていると推計できる。
日雇い派遣の労働者については、昨年10月から、「日雇い雇用保険」が適用されることになりました。受給月の直前2カ月間で26日以上仕事をしていれば、仕事がない日には最低4,100円の失業手当がもらえます。
しかし、1年たって、申請したのは4人、実際に支給されたのは1人だけだそうです。
日雇い派遣労働者の側では、ハローワークで申請して「日雇労働被保険者手帳」(白手帳)を受け取り、仕事をした日は派遣会社に雇用保険印紙を張ってもらう必要があります(26日以上働いたことを証明するため)。
派遣会社の側では、日雇い派遣労働者が「白手帳」を取得した場合、職業安定所に印紙購入通帳の交付申請をおこない、さらに郵便局で「雇用保険印紙」を購入しなければなりません。また、その日雇い派遣労働者が、同じ派遣会社から継続的に派遣された場合には、「日雇い雇用保険」ではなく一般の雇用保険に加入しなければならなくなります。いずれにしても派遣会社にとっては、非常に手続きが面倒。そのため、派遣労働者の側が要求しても、「雇用保険印紙」発行の手続きをしてくれない、ということもあります(日雇い派遣労働者にしてみれば、「そんな面倒なことさせるなら、仕事回さないぞ」と言われれば、それ以上要求できないでしょう)。
だから、お役所が「日雇い雇用保険」を適用しますと宣言しただけでは、全然、実態がついてこない訳です。
日雇雇用保険の対象拡大、派遣の受給は1年で1人 周知不足か(NIKKEI NET)
日雇雇用保険の対象拡大、派遣の受給は1年で1人 周知不足か
[NIKKEI NET 2008/10/21 07:00]
「日雇雇用保険」の対象が派遣労働者にまで拡大されたにもかかわらず、昨年9月の運用変更後の1年間で受給した派遣労働者が1人にとどまっていることが 20日、厚生労働省の調査で分かった。申請も4件止まりで、周知不足と手続きの煩雑さが原因とみられる。日雇い派遣労働者の生活安定のための運用変更が、セーフティーネットとして機能していない実態が浮き彫りとなった。
「日雇雇用保険」は東京・山谷地区などで暮らし、毎日異なる雇用主の下で働く建設作業員などを対象に制定された。労働者はハローワークで日雇労働被保険者手帳(白手帳)の交付を受け、雇用主は手帳に雇用保険印紙を張って、その日就労したことを証明する。2カ月で合計26日間以上働けば、仕事がない日に最低4100円を受け取れる。
厚生労働省の告知ページはこちら↓。
厚生労働省:日雇派遣労働者の方へ?日雇労働求職者給付金について?.