派遣にまつわる違法行為の数々。1つめは、パナソニックが、派遣業務の内容を偽って、当時派遣が認められていなかった業務をさせていたというニュース。しかも17年間もずっと派遣というのは、明らかに派遣法違反でしょ。
3つめは、ヤマハが直接雇用申し入れ義務を無視したという事例。5つめは、いわゆる“官製ワーキングプア”の問題。自治体が業務を民間委託するときに、競争一般入札をやるもんだから、単価がぐんと切り下げられてしまって、結局、それを請け負った会社で働く労働者の賃金が切り下げられるという問題。何でも安けれりゃいいっていう問題ではない、ということです。
「パナソニック電工が業務偽装」、元派遣社員が提訴(朝日新聞)
築上町の3セク人材派遣会社 法規制うけ廃業へ 社員100人 町が直接雇用方針 来年4月から(西日本新聞)
是正指導:情報機器労組など、派遣の直接雇用で要請 ヤマハ発動機巡り/静岡(毎日新聞)
マツダ派遣向け説明会始まる(中国新聞)
“派遣”にしわ寄せ 徳島市、競争入札で安い業務委託増加(徳島新聞)
事業停止命令:派遣禁止の港湾倉庫に労働者 会社に業務改善命令/東京(毎日新聞)
「パナソニック電工が業務偽装」、元派遣社員が提訴
[asahi.com 2008年11月17日3時0分]
福島県郡山市にあるパナソニック電工(旧松下電工)のショールームで17年半にわたって派遣社員として働き、9月末に契約を打ち切られた同市の女性(53)が、業務内容が偽装されていたことなどを理由に、同社を相手に雇用契約の確認などを求める訴えを福島地裁郡山支部に起こした。17日にも記者会見する。
訴状や女性側によると、91年4月、女性は派遣元である同社100%出資の派遣会社と派遣契約を結んだ。その際に契約書に記載された業務内容は「事務用機器の操作」だったのに、実際の業務はずっとショールームの展示品の案内などだった。
しかし、展示品の案内などは、99年の労働者派遣法改正によって派遣が可能な職種が原則自由化されるまで、派遣職種として認められていなかったという。このため、女性とパナソニック電工との間には直接の雇用契約が成立していたと主張している。
これに対し、パナソニック電工側は「訴状が届いていない」としている。
築上町の3セク人材派遣会社 法規制うけ廃業へ 社員100人 町が直接雇用方針 来年4月から
[西日本新聞 2008年11月16日付朝刊]
築上町が約91%出資し、町役場関係の大半のパート職員が所属する、第3セクターの人材派遣会社「しいだサンコー」(柏原正敏社長)が来年3月限りで派遣業を廃業することが15日、分かった。派遣会社がグループ内の企業に偏した人材派遣をすることを規制する、労働者派遣法改正案が閣議決定されたことが要因。同社は派遣社員の全員(約100人)を役場関係に派遣している。
柏原社長は「役場は社のグループ企業ではないが、社自体が役場出資の3セクなので、改正法が適用されると考えている」と廃業の理由を説明した。町役場関係のパート職員は、町が直接雇用に切り替える方針。
同社は2000年3月設立。築上町文化会館や「しいだアグリパーク」の指定管理者としての業務を行う一方、04年から人材派遣業を始めた。小中学校の給食調理員、町役場の清掃員、事務職員などにパート職員(同社員)を派遣している。
同社の柏原社長は7月、厚生労働省の研究会が「グループ内への派遣割合は8割以下に規制する」と公表したことを受け、8月に新川久三町長に「廃業」を提案し、了承された。10月23日に開いた同社取締役会でも了承済みという。
柏原社長は「景気低迷の中、役場関係以外に2割も人材を派遣する余地はない」と言う。派遣社員は来年4月1日から町が直接雇用する方針。
是正指導:情報機器労組など、派遣の直接雇用で要請 ヤマハ発動機巡り/静岡
[毎日新聞 2008年11月15日 地方版]
ヤマハ発動機(磐田市)が、同社で3年以上働いた派遣労働者2人に直接雇用を申し込まなかったのは労働者派遣法違反だとして、全日本金属情報機器労組などが14日、静岡労働局に是正指導を求める申し入れ書を提出した。2人は会見で「直接雇用を認めてほしい」と訴えた。
労組によると、30代男性は05年4月、20代男性は03年1月以降、同社子会社の人材派遣会社などから、コンピューター基板を組み立てる表面実装機などを生産する同社IMカンパニー(浜松市)に派遣されていた。同法では、3年以上同じ職場で働いた派遣社員には、派遣先の企業が直接雇用を申し入れるよう定めているが、同社は申し入れをせず、派遣会社も年末まで契約が残っていたのに、先月24日付で2人を解雇した。
ヤマハ発動機は「申し入れの内容を十分見たうえで対応を検討する」としている。【竹地広憲】
マツダ派遣向け説明会始まる
[中国新聞 2008/11/14]
マツダが本社宇品工場(広島市南区)の派遣社員を大幅削減する計画に対し、広島労働局は13日、離職予定の派遣社員を対象にした説明会を府中町のマツダ本社内で始めた。25日まで計6回を予定している。
初の説明会には、日勤後や夜勤前の派遣社員約70人が参加した。労働局によると、担当者が相談窓口の紹介や雇用保険の受給手続きなどを説明した。
参加者からは「失業保険の受給手続き中にアルバイトは可能か」など、雇用保険に関する質問が集中。マツダ側の説明はなく、「マツダや派遣会社は説明しないのか」と退席する人もいたという。
労働局は今後、参加者に就業希望や家族状況などのアンケートを実施。職を失う約800人のうち約500人が派遣会社の寮などに住んでおり、県などと住宅面での支援策を探る。
“派遣”にしわ寄せ 徳島市、競争入札で安い業務委託増加
[徳島新聞 2008/11/14 10:32]
徳島市が、業務の一部を人材派遣会社に指名競争入札で安く委託契約するケースが増え、そのしわ寄せを受ける格好で、派遣労働者の賃金低下を招いている。行財政のスリム化を図ろうとする市の委託業務の賃金は、民間企業への派遣と比べて低く、派遣会社は「行政の施策が賃金を下げている」と疑問を投げ掛ける。一方、市は「低価格で契約するのは当然」としている。
市や派遣会社によると、入札で派遣会社に委託しているのは、来庁者案内や医療費助成のデータ入力などソフト面の業務。期間はすべて一年未満となっている。
入札は担当課ごとの決済で行い、市は総件数を把握していない。しかし、行財政健全化計画を作り、業務の外部委託推進を打ち出した2005年度以降、少しずつ増加。本年度は十件弱の入札があったとみられる。
派遣会社は通常、依頼者から受け取る派遣料金の7割を賃金として登録者に支給。残りは、登録者の社会保険料や派遣会社の経費、利益に充てられる。民間企業に派遣する場合、賃金は時給900円以上が一般的だ。
しかし、入札で落札すると、通常の計算で時給を払えば、700円ほどにしかならない場合がほとんど。そのため、派遣会社は利益を削って時給を上げるが、それでも800?850円程度という。ある派遣会社の担当者は「仕事を回すために落札することもあるが、利益はほとんどない」と打ち明ける。
県外に本社がある別の派遣会社は、市から入札依頼が来ても断ることが多い。同社の徳島営業所長は「正当な労働単価といえない賃金で登録者を派遣するのには抵抗がある」と言い切る。
市によると業務の外部委託と入札は以前からあるが、人材派遣制度の規制緩和が進む中で派遣会社に入札参加を依頼する例が増えているという。07年度から来庁者案内業務を入札で委託している管財課は「低価格で契約するのは当然で、市が委託先の雇用形態にまで言及できない」と話す。
これに対し、自治労県本部の藤岡一雄執行委員長は「労働条件だけでなく、公共サービスの質が低下しないか心配。入札・契約方法を考え直すべきだ」と訴えている。
事業停止命令:派遣禁止の港湾倉庫に労働者 会社に業務改善命令/東京
[毎日新聞 2008年11月14日 地方版]
労働者派遣が禁じられている港湾倉庫へ労働者を派遣していたとして、東京労働局は人材派遣会社「稲生物流企画」(大田区、大西康広社長)に労働者派遣法に基づく事業停止と業務改善命令を出した。停止期間は14日から、本社事業所を含む都内3カ所が1カ月、大阪府と千葉、静岡県の3事業所が2週間とされた。
東京労働局によると、同社は本社事業所など3事業所で07年1月?08年3月、職業安定法に違反し、同社に登録していない関連会社などからの労働者延べ約2500人を倉庫などに派遣した。07年2月?08年7月には、派遣法で禁じられている港湾倉庫などに労働者2人を派遣し労働させていた。【東海林智】
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