コメントするのもばかばかしい問題だけれども、田母神氏のアパ懸賞論文問題で関連ニュースを貼り付けておく。
田母神氏の論文が懸賞論文で最優秀賞をとった経緯は、「朝日新聞」の記事でほぼ明らか。要するに、アパの元谷外志雄代表が強く推したからということのようで、事実上の出来レース。
で、そのアパは、小松基地周辺の宿舎借り上げで、契約の約3分の1を占めている。つまりは、お得意さんのトップに「懸賞論文」と称して、300万円のおカネを渡そうとした訳で、形こそ変えているが、事実上の賄賂ではないか。国家がどうしたこうしたと偉そうなことを言っていても、所詮、一皮むけばこんなもの。(-_-;)
「この人が空自トップ?」 驚き、あきれる外国人記者(中国新聞)
アパ代表のみ田母神氏に最高点 論文審査で(朝日新聞)
田母神氏の応募、審査前から認識 アパ代表(朝日新聞)
論文締め切り後、空自部隊で応募 主催者から事前了承(NIKKEI NET)
小松基地の宿舎、3分の1がアパと契約 03年度以降(朝日新聞)
しかし、自衛隊関係者がみんな田母神氏のような偏った考え方をしている訳ではない。元防衛庁幹部にだって、こういうふうに至極まっとうな考えを主張される方もいる。
講演:元防衛庁幹部、小池・新潟県加茂市長「平和憲法こそ国を守る」――金沢/石川(毎日新聞)
「この人が空自トップ?」 驚き、あきれる外国人記者
[中国新聞 2008/12/2]
「歴史は勝者がつくるものだ。昔の歴史を持ち出して『おまえの国が悪かった』と言うべきではない」。一日、日本外国特派員協会の講演で、再び自説を繰り返した田母神俊雄前航空幕僚長(60)。各国の特派員からは「この人が空自トップだったとは」「あまりに一面的な見解」と驚き、あきれる声が上がった。
「前航空幕僚長の、危険人物の田母神であります」。冒頭、軽口をたたいた田母神氏。通訳を交えた約40分の講演では「周辺国から『日本は侵略をした、ろくな国じゃなかった』と散々言われ、黙っていることは日本の国益を損なう」と、更迭の原因となった論文と同様の主張を展開した。
講演には200人以上が出席。質疑応答では外国人特派員や日本人ジャーナリストら約20人が「あなたの考え方は、自衛隊内で多数派なのか」などと次々に質問に立った。田母神氏は自衛隊を「言論弾圧社会」と表現。「(隊員は意見を)表明できないが、多数は支持していると思う」と胸を張った。
講演後、取材に応じた、香港のフェニックス・テレビの記者李〓(り・びょうさん)(33)は「このような人が、自衛隊のトップにいたこと自体が驚き。日本で本当にシビリアンコントロール(文民統制)が機能しているのか疑問だ」と感想を述べた。
「論文も引用が多く素人の文章で(懸賞で)なぜ高く評価されたのかわからない。自衛隊員の多くがこうした考え方を持っているならば、驚きだ」とした上で「日中の信頼醸成に悪影響を及ぼす」と強調した。
「シンガポールビジネスタイムズ」特派員の英国人記者アンソニー・ローリーさん(69)は「正しい歴史の知識を持っているとは思えなかった」と首をかしげた。
米国人ジャーナリストのサム・ジェームソンさん(72)は「集団的自衛権の行使容認など、賛成できる部分もあるが、戦前の日本の行動がすべて正当だったかのように述べる彼の議論は、あまりに一面的。米国人は、相手にしていないだろう」と突き放した。【お断り】〓は上が「水」で、右下と左下も「水」と言う文字ですが、JISコードにないため表示できません。
アパ代表のみ田母神氏に最高点 論文審査で
[asahi.com 2008年12月1日3時5分]
航空自衛隊の田母神俊雄・前航空幕僚長(60)が日本の侵略を否定する論文を発表し、更迭された問題で、懸賞論文を主催したアパグループ(元谷外志雄代表)による審査経過が複数の審査委員(代理を含む)の証言で明らかになった。元谷代表は当初から田母神氏の論文と知り得る立場で審査に加わり、メンバーで唯一最高点を与えていた。田母神論文を含む3作品が同点で並ぶと、元谷代表は田母神論文を推していたという。
アパグループは、最優秀賞(賞金300万円)に田母神氏の論文「日本は侵略国家であったのか」、優秀賞(同30万円)に大学生と近代史研究家の2点、佳作(同1万円)に10点を選び、12月8日、東京で授賞式と田母神氏の講演が予定されている。
審査経過を報告したアパ発行の雑誌「アップルタウン」によると、懸賞論文には235点の応募があり、応募者名を伏せたうえで各委員が論文を評価。その結果、田母神論文が最高点を獲得し、満場一致で最優秀に選ばれたとしている。
4人の審査委員のうち、取材に応じた3人によると、応募作は事前にアパ側が絞りこみ、委員が実際に目を通した論文は全体の1割程度の25作品にとどまった。委員に知らされたのは受理番号のみで、応募者名や職業は伏せられていた。
委員は作品を「5点」「3点」「2点」「選外」の4段階で評価し、ファクスで送るようにアパ側から求められ、アパ側は10月16日の審査会で集計結果を一覧表にして配った。まだ最優秀作は決まっていない、この時点で応募者名、年齢、職業が委員に明かされた。元谷代表だけが、1作品に限って付けることができた最高点の5点を田母神論文に与えていた。
委員の一人、花岡信昭氏によると、審査の後、元谷代表が審査前から田母神氏の論文応募を知っていたことを明かしたという。元谷代表は審査委員に名を連ねておらず、アパ側は元谷代表が採点に加わっていた事実をこれまで公表していない。
山本秀一氏は「元谷代表が、他の委員が高く評価した論文をおしなべて低く評価したことに不自然さを感じた」と話す。
一覧表では、田母神論文と大学生、近代史研究家の論文が合計点数で同点に並んでいた。元谷代表の提案で大学生の論文をまず優秀賞に落とし、残った2作品のうち、元谷代表が田母神論文を推した。「異存ありませんか」と元谷代表が各委員に確認したが、反対意見は出なかったという。
小松崎和夫氏は「今思えば、元谷代表は初めから田母神氏の応募を知っていたのだから、トップにしようと思えばできたはずだ」と話す。山本氏は「田母神氏に賞金を贈るための懸賞論文と見られても仕方がない」と語る。
アパグループの広報担当者は「審査の内容に関しては一切お答えしていない」と話す。元谷代表個人にも取材を申し込んでいるが、11月30日現在、応じていない。(武田肇)
田母神氏の応募、審査前から認識 アパ代表
[asahi.com 2008年12月1日13時49分]
田母神俊雄・前航空幕僚長の論文がアパグループ主催の懸賞論文で最優秀(賞金300万円)となった問題で、同グループの元谷外志雄代表の姿勢に疑問の声が出ている。メンバーで唯一、田母神氏の論文を知り得る立場で最高得点を付けて最優秀とし、審査後、同氏の受賞の意思確認結果を各委員に知らせるという約束は果たされなかった。審査経過を報道機関に明かした委員には、抗議の電話をかけていた。
審査委員の一人、花岡信昭氏によると、10月16日の審査後、元谷代表は「(8月に)論文が届いてまもなく田母神という名前に気づいた」「航空幕僚長だったのでびっくりした」と語り、審査前から田母神氏の論文応募を知っていたことを明かしたという。採点時に、1作品に限って付けることができた最高点の5点を田母神論文に与えたのは元谷代表だけだった。
大学生の論文を含む3作品が同点で並んだ際は「学生には賞金30万円で十分」という趣旨の発言をし、これを学生部門の優秀賞(賞金30万円)に落とすことを提案。小松崎和夫氏は「それが主催者の考え方ならばと、異論は出なかった」と振り返る。こうした実態にもかかわらず、公式には「覆面の審査」(雑誌「アップルタウン」12月号)と称し、自身が採点に加わったことも説明していなかった。
取材に応じた3人の審査委員(代理を含む)によると、田母神論文を最優秀とする際には、田母神氏の受賞意思を確認するという条件が付いていた。一部の審査委員が「本人に(受賞の意思を)確認する必要があるのでは」と主張すると、元谷代表は「自分が電話して確かめる」と引き取った。しかし、その後、アパ側は委員に結果を知らせないまま、10月31日、防衛省の記者クラブ加盟の報道各社に受賞者発表の広報文を配布した。
花岡氏は「現職の空自トップがこうした論文を発表すれば、今回の事態を招くことは予想できた。だから、あくまで条件付きの決定だった」と語る。
元谷代表からの抗議の電話は、中山泰秀衆院議員や代理で審査に当たった秘書の山本秀一氏にかかってきた。山本氏によると、田母神氏が更迭された後の11月上旬、山本氏がテレビ番組のインタビューに応じ「(田母神論文に)私は0点をつけた」と話したところ、元谷代表が電話で「事実と違う」と強く抗議してきたという。
山本氏によると、田母神論文にいったん5点満点中「2点」をつけたが、誤ってアパの指示より1作品多い論文に点数を付けていたため、2回目の審査会の席上、点数のない「選外」に変更したという。
中山議員への電話では「あなたの秘書は2点から最低点ではなく、最高点に付け直したんだ。ウソをつくと選挙に落ちる。政治生命を失う」と語ったという。中山議員に審査委員を依頼した理由について「外務政務官だった肩書がほしかったからだ」とも明かしたという。中山議員はこうした経緯を大阪府警に相談しているという。◇
防衛省人事教育局は、現職自衛官が民間主催の懸賞論文で懸賞金を受け取っても問題のない要件として、「公平・公正な審査」を挙げている。要件を欠く場合、自衛隊員倫理法や自衛隊員倫理規程で禁止されている、利害関係者からの贈与等に当たるおそれがあるという。田母神氏は受賞当時は現職の航空幕僚長だったが、その後更迭されて退職した。(武田肇)
■審査委員の話
小松崎和夫・報知新聞社長の話 こんな騒ぎになったのでよく考えてみると、元谷代表が田母神氏を最優秀にしようと考えればできたと思う。主催者として最初から田母神氏の応募を知っており、自分が最高点を付けて他の委員が何点かつければトップにできると考えたのでは。通常の懸賞論文とルールが異なっていたが、審査時は「お金を出しているのは元谷さん」という意識があり、追及しようと思わなかった。不思議なのは審査が粛々と進んだことだ。元谷代表に乗せられたのか判然としないでいる。
花岡信昭・産経新聞客員編集委員の話 田母神論文に書かれた歴史的事実は、先の戦争でのコミンテルンの力を過大視するなどの難点があり、採点では最高点を付けなかったが、「日本人よ、誇りを取り戻そう」といったメッセージが明確で雑誌論文的で読みやすかったことから、その後の議論の中で最優秀とした。審査は公正だったと考える。あらかじめ田母神論文が最優秀と決まっていたという勘ぐりは、審査委員の名誉を傷つけるものだ。
山本秀一・中山泰秀衆院議員秘書の話 審査では元谷代表が田母神論文を強く推し、審査委員もそうした空気につられた感じがする。私自身は、日米安全保障条約と、日本が朝鮮半島を植民地にした条約とを同一視する田母神論文には違和感があり、採点では低い評価にした。振り返ってみると、審査では元谷代表が自分の意向を反映させる機会が数多くあり、田母神氏に賞金を渡すための懸賞論文だったと見られても仕方がないのではないか。
渡部昇一・上智大名誉教授の話 審査はスムーズだったので特に記憶に残っていません。雑誌「WiLL」に書いた審査の経緯が私の記憶です。他の方の記憶と違うかもしれませんが、それはその方の記憶です。(渡部氏は月刊誌「WiLL」09年1月号で、審査経過について「上位4本についての審査を行う時は、執筆者を明らかにした」「最高点を取った論文を開けてみたら、空幕長が執筆者だった」などと記している)
論文締め切り後、空自部隊で応募 主催者から事前了承
[NIKKEI NET 2008年11月21日 22:02]
外薗健一朗航空幕僚長は21日の記者会見で、田母神俊雄前空幕長の更迭原因となった懸賞論文を巡り、空自第6航空団が応募締め切り後の提出の事前了解を主催者から得ていた事実を明らかにした。同航空団人事部は8月末の締め切りを控えた同月28日にアパグループに電話し、9月3日に部隊でまとめて応募したという。
田母神氏が統合幕僚学校に導入した「歴史観・国家観」の講義が自らの校長時代もほぼ同内容で続いていた点に関しては「当時は偏っている意識はなかったが、今考えるとややバランスを欠くとの印象を受ける人がいるかもしれない」と釈明した。
小松基地の宿舎、3分の1がアパと契約 03年度以降
[asahi.com 2008年11月18日15時1分]
日本の侵略を正当化する論文を発表、更迭された田母神(たもがみ)俊雄・前航空幕僚長(60)の問題に絡み、03年度以降に航空自衛隊小松基地(石川県)が基地周辺の民間宿舎を借り上げた際の契約状況を防衛省が調べたところ、懸賞論文を主催したアパグループとの契約が3分の1を占めていたことがわかった。
田母神氏は同基地トップの司令を98年から99年まで務めており、地元石川県小松市出身の元谷外志雄・アパグループ代表とこの時に知り合っている。元谷代表は同時期、「小松基地金沢友の会」を立ち上げて代表を務めるなど、同基地の有力な地元支援者だった。また、田母神氏は異動後も、雑誌の企画での懇談や元谷代表の著書「報道されない近現代史」の出版記念パーティーへの出席など、親交が続いている。
防衛省・自衛隊では、他基地から長期で隊員が派遣された際などに、基地外で民間のアパートやホテルなどを宿舎として借り上げている。
防衛省が03年度から08年11月までの小松基地の契約状況を調べたところ、同基地の地元周辺での契約額計約337万円のうち、アパとの契約が106万円で3分の1を占めた。05年度は小松基地の契約額の7割以上をアパが占め、03年度も5割にのぼっていた。原則、随意契約という。
また、アパグループが全国展開するホテルチェーンと、陸海空自衛隊全体の契約では、03年6月から08年11月にかけて、計32件約466万円の利用があり、小松基地の106万円は全体でも2割を占めていることが判明した。演習時などに、基地内の宿舎で間に合わない際に利用されたという。同ホテルチェーンは、防衛省共済組合を通じた契約先の一つで、組合員の自衛隊員は割引があるという。
アパグループは、マンションやホテル経営などグループ15社を持ち、拠点を東京都港区に置く。民間信用調査会社によると、中核会社「アパ」の08年2月期の売上高は304億円で、大幅な増収増益決算という。
アパグループが主催した懸賞論文では、小松基地の第6航空団司令の指示で、隊員62人による組織的な投稿が判明している。また、田母神氏自身が「航空幕僚監部教育課長に懸賞論文を紹介した」と認めており、空幕の教育課長や人事教育部長が全国の部隊に投稿を呼びかけるなど、空自の組織的な協力も明らかになっている。同基地とアパグループとの宿舎契約にも何らかの影響がなかったかどうかが今後、問われそうだ。
講演:元防衛庁幹部、小池・新潟県加茂市長「平和憲法こそ国を守る」――金沢/石川
◇「自治体の平和力」??金沢で全国集会
[毎日新聞 2008年11月23日 地方版]
日米ガイドライン見直し(97年)を機に全国各地で展開している「非核・平和条例を考える全国集会」が22日、金沢市の県文教会館で始まった。23日まで。この日は元防衛庁教育訓練局長で新潟県加茂市の小池清彦市長が講師で参加。「平和憲法こそが日本を守ってきた。平和憲法と地方分権を守らなければならない」と訴えた。【高橋慶浩】
集会は「自治体の平和力」をテーマに、99年から開催。「憲法九条を語る」と題して記念講演した小池市長は、92年まで旧防衛庁に勤め、防衛研究所長などを歴任。95年に加茂市長に当選し、現在4期目だが、国民保護法に基づく保護計画の策定を拒否するなど独自の立場を取っている。
小池市長は、朝鮮戦争や湾岸戦争を振り返り、「平和憲法があったから派兵がなかった」と語り、そのうえで、自民党が検討する憲法改正案に触れ「海外派兵を認め、自衛隊員が足りなくなれば、徴兵制が導入される」と警告した。
また、田母神(たもがみ)俊雄・前航空幕僚長の論文問題について「久間、石破という歴代の防衛大臣が制服組を甘やかしたからだ」と語った。