派遣社員、期間社員の中途契約解除について、共産党の小池晃参院議員が、12月2日の参院厚生労働委員会で、質問をしています。
そのなかで、厚生労働省は、有期契約(いわゆる期間社員)については、一定の期間の雇用について双方が合意しているのだから、無期契約(正社員)の場合の「解雇権乱用法理」よりも厳しい条件が課されている、したがって、中途解除については法違反となる場合もありうると答弁をしています。
これは、大事な答弁ですが、まだ議事録が公開されていないので、インターネット中継から、関係部分を書き起こしましたので、それを貼り付けておきます。
2008年12月2日 参議院厚生労働委員会での日本共産党・小池晃参議院議員の質問
小池晃議員 大企業は、この調査でも明らかなように、派遣社員や期間社員をまるで景気の調整弁のように、モノのように使い捨てにしている。これは本当に許せないことだと私は思います。
そこでお聞きしたいのですが、労働契約法第17条1項は、「やむを得ない事由がある場合でなければ、有期契約労働者を解雇できない」と規定しています。その理由と、ここでいう「やむを得ない事由」の考え方とあわせて説明してください。金子労働基準局長 労働契約法の制定以前には、民法の規定において有期労働契約について、両当事者が契約期間中であってもやむを得ない事由があるときには直ちに解除ができるという規定がありました。労働契約法においては、使用者が解約、つまり解雇については「やむを得ない事由がある場合でなければ解雇することができない」と明示をした訳です。
それで問題になるのは、この「やむを得ない事由」とはどういうことなのかということですが、有期の契約期間ということになりますと、両方の当事者がたがいにその前提で合意をしたものですから、いわゆる無期契約の場合よりも「やむを得ない事由」というものは限定的に解釈されるべきものだと考えております。
また、今回の労働契約法によって、これは民法の規定と異なって、使用者のほうが、その「やむを得ない事由がある」という評価を基礎づける事実について主張・立証責任、これは使用者が負うということが明らかになっていると理解しています。小池 狭いというのは、「解雇権乱用法理」における条件よりも狭いということですね。
金子局長 無期契約の場合の「解雇権乱用法理」の場合に比べて狭くなるのではないかということです。
小池 つまり、中途解除については、正社員における「解雇権乱用法理」よりも厳しい条件が課されている。要するに、そうした要件を満たしていなければ、法違反になる可能性があるということですね。
金子局長 これは個々の実態に即しての判断ということになりますが、委員ご指摘のようなことも当然ありうると思います。
小池 大臣、この労働契約法というのは正社員の場合よりも期間社員の中途契約解除には、いま説明のあったとおり、より厳しい条件を課しているということです。派遣の場合も、労働者が契約期間中の雇用保障を期待をしていたことは変わりがない訳ですから、派遣先からの契約解除というのは中途解除と同じようになるはずだし、私は、期間社員の場合と同じように許さないという態度でのぞむべきではないかと思うのですが、大臣、いま全国で、こういう契約期間の中途で解除する、解約するということが大量に起こっているわけですよ。労働契約法からいっても、これは許されない違法なものなのだということを、私は、大企業や経済団体にはっきり伝えるべきだし、そういう立場で現場でも厳しく対応していくべきだと考えますが、大臣いかがですか。
舛添厚生労働大臣 いまの労働契約法第17条にあるように「やむを得ない事由」がない限りは中途解除ができない訳ですから、これは法の精神にもとづいて、きちんと周知徹底、指導してゆきたいと思います。
質疑の起こしについては、私が勝手にやったものなので、正式な議事録が公開されたら、そちらを参照してください。
小池議員の質問そのものは、こちら↓から見ることができます。
参議院インターネット審議中継 ?ビデオライブラリ 会議検索?
「解雇権乱用法理」というのは、いわゆる「整理解雇の4要件」といわれるものです(Wikipediaの「整理解雇」の項参照のこと)
小池議員の質問にたいする答弁で重要なのは、有期契約については、契約期間、たとえば「来年3月末まで働いてもらう」「働きましょう」という雇用期間についての合意が特別にあるのだから、その期間をまもる特別の責任が使用者側にはある、ということを政府が認めたというところにあります。一般の正社員、つまり雇用期間について定めのない社員を解雇する場合についても、「解雇権乱用法理」という条件、制約がある訳ですが、初めから「○○月まで」という条件で契約を結んでいるのだから、それを守りなさいという、きわめて当たり前な話です。
日本は法治国家なのだから、「法律上はそうなってるけど、現実は違う」などということは許されません。厚生労働大臣も、国会で答弁しただけでなく、きちんと指導・監督して、違反があればちゃんと是正させるように全力をあげなければなりません。