横浜方面うろうろ中に読んだ本(1)

大河内直彦『チェンジング・ブルー』(岩波書店)

横浜方面うろうろ中に、いろいろ本を読みましたが、その中の1冊。サブタイトル「気候変動の謎に迫る」とあるとおり、地球的規模での気候変動を取り扱った本ですが、いま問題になっている「地球温暖化」問題を直接取り扱ったものではありません。

むしろ、そうした議論の前提になっている地球の気候変動のメカニズムそのものを探るために、数千年単位から数万年単位で地球の気候がどんなふうに変わってきたか、それがどのように研究され、解明されてきたかを紹介した本です。

そもそも、過去の気温というのは、どうすれば分かるのか? そういう基本的な問題から、氷期・間氷期の変動をもたらした原因は何か、など、最新の科学的知見が分かりやすく紹介されています。

現在問題になっている地球温暖化は、数十年?100年ほどの時期での問題。それにたいして、氷期・間氷期という大がかりな気候変動は数万年単位で問題になるもの。しかし、最近の研究によれば、氷期から間氷期へは、ほんの数十年程度で移行しているそうです。そうやっていろいろ分かってきてみると、地球の気候というものは、実は意外と微妙なバランスの上に成り立っていて、何か小さなことがきっかけになって、寒冷な均衡状態から温暖な気候状態へ、劇的な変化が起こるようです。

最初にも書いたように、この本が相手にしている気候変動は1000年?数万年単位のもので、いま問題になっている「地球温暖化」のような、数十年?100年単位の問題ではありませんが、しかし、ごく当たり前のように感じている気候というものが、実は非常にセンシティブなものだということがわかってきます。

著者は、独立行政法人・海洋研究開発機構地球内部変動研究センター地球古環境変動研究プログラム・グループリーダー、東京大学大学院理学系研究科地球惑星科学専攻准教授(委託)および東京工業大学大学院総合理工学研究科化学環境学専攻連携准教授を兼任。

【書誌情報】
書名:チェンジング・ブルー 気候変動の謎に迫る/著者:大河内直彦/出版社:岩波書店/発行:2008年11月/ISBN978-4-00-006244-2/定価:本体2,800円+税

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