ソニーが、国内・海外で、正社員8000人、非正規8000人、あわせて1万6000人以上の人員を削減すると発表。
ほかにも自動車の部品メーカーなどにも、“派遣切り”、“期間工切り”の動きが広がっている。
ソニー、人員削減は1万6000人以上 09年度末まで(朝日新聞)
エコナビ2008:ソニー大規模人員削減 リストラの冬に 「9月に経済激変」(毎日新聞)
派遣社員ら削減1000人超す:山口(読売新聞)
コマツ、粟津工場でも期間従業員を削減(NIKKEI NET)
非正規1285人削減見込み: 岩手(読売新聞)
横手市:自動車関連で430人削減受け、緊急雇用対策本部設置へ/秋田(毎日新聞)
山田製作所、派遣を削減:群馬(読売新聞)
日立プラズマ、全派遣250人削減 正社員500人配転(朝日新聞)
ソニー、人員削減は1万6000人以上 09年度末まで
[asahi.com 2008年12月10日]
大手電機メーカーのソニーは9日、業績が悪化している液晶テレビやデジタルカメラなどのエレクトロニクス事業で、国内外の合計1万6千人以上の従業員を、09年度末までに削減すると発表した。現在57ある工場など製造拠点を約1割減らすほか、増産投資を凍結する。国内企業では最大規模の人員削減となる。
円高に加えて消費低迷は薄型テレビなどのデジタル家電全般に及ぶ。勝ち組のパナソニックをはじめ、東芝やシャープなど大手の業績を軒並み直撃。リストラは他のメーカーに広がる可能性が高い。
ソニーは、今回の改善計画で、09年度のエレキ事業の設備投資計画を3割減らす。08年度中に、半導体子会社の工場(熊本県菊陽町)などで増産投資を凍結。09年3月末までに海外2拠点を閉めるほか、国内を含む3?4カ所の拠点を統廃合する。
工場や本社の人員も含め、世界で約16万人いる正規社員のうち5%にあたる8千人と、派遣や請負の「非正規労働者」も8千人以上減らす。リストラで09年度末までに年間1千億円以上の経費削減を見込む。自動車業界などで始まった非正規労働者を中心としたリストラの波が、正社員にも本格的に及び始めた格好だ。
国内での人員削減についてソニーは、「影響が大きく、個別の事業所は現段階では公表できない」(原直史・業務執行役員)と説明した。
ソニーは業績不振で経営陣を一新した05年以降、エレキ事業の再建を進めてきた。ストリンガー会長は「ソニー・ユナイテッド(結束したソニー)」を掲げて組織を再編。重荷だった先端の半導体製造設備を売却するなど「選択と集中」を進めた。デジタルカメラやパソコンなどが好調で08年3月期の連結純利益は過去最高を記録した。
だが、9月以降、金融危機で欧米を中心に需要が激減。円高や株安も進み、業績が悪化した。主力のテレビ事業では値下げ攻勢にもさらされて赤字続きだ。09年3月期の通期決算の連結営業利益の見通しを4700億円から2千億円へ大幅に下方修正。今後、不採算事業や非戦略事業の縮小や撤退も検討するという。(澄川卓也)◇
■ソニーの主なリストラ計画
- 09年度末までにエレクトロニクス事業の全世界の正社員約16万人のうち8千人を削減
- 派遣や請負の「非正規労働者」も世界で8千人以上を削減
- 世界の製造事業所57拠点のうち5、6拠点を閉鎖や統廃合(仏・ダックス工場など海外2拠点は年度内に閉鎖)
- 半導体製造子会社(熊本工場)の増産投資を凍結
- スロバキアの液晶テレビ工場の増産投資を凍結
- 年明け以降に欧州で製品値上げ
エコナビ2008:ソニー大規模人員削減 リストラの冬に 「9月に経済激変」
[毎日新聞 2008年12月10日 東京朝刊]
◇テレビ・カメラ、デジタル家電低迷
ソニーが世界規模の人員削減を迫られたのは、液晶テレビをはじめとするデジタル家電の世界需要の低迷が電機メーカー各社の収益に深刻な影響を与えているためだ。ただ、家電業界の経営環境は今後も厳しいと予想され、同社が示した国内外で1万6000人以上削減のリストラ策でさえ、収益改善策としては「大幅な業績悪化を補うには不十分」(業界関係者)との声が出ている。【秋本裕子】
ソニーの業績悪化は、「9月から経済が急速に変化した」(大根田伸行・最高財務責任者)ことがきっかけだ。家電業界を襲った急激な円高や世界的な消費減退の影響で、ソニーは10月23日に09年3月期連結決算の営業利益見通しを前期比58%減の2000億円へと下方修正したが、シャープ、パナソニックも相次いで下方修正し、これに続いた。
ソニーにとっては、欧米で主力の液晶テレビとデジタルカメラが落ち込んだことが響いた。今年度のテレビ販売予定台数を当初予想の1700万台から1600万台、デジタルカメラは2600万台から2400万台、ビデオカメラも770万台から700万台に、それぞれ引き下げを余儀なくされている。
これまでソニーは、赤字が続いた液晶テレビ事業で、地域や機種ごとに分かれていた基本設計を集約し、低価格品は台湾メーカーへの量産委託を拡大するなど改革を進めてきた。その結果、「09年3月期に黒字化する見通しができた」(大根田氏)という状況まで収支を改善させたが、今回の金融危機で一転、来年度以降も赤字が続く見通しだ。テレビの価格下落も加速し、年度初めに想定していた前年度比25%減から「さらに2?3%上回るペース」(同)という。
今回のリストラ策でソニーは総額1000億円以上の費用削減を見込む。だが、実際に効果が表れるのは、10年度になってから。「改善策としてとても十分とはいえず、テレビ事業ではさらなる見直しが必要となるのではないか」(電機アナリスト)との指摘もある。◇電機大手、減産加速 半導体製造拠点に影響
デジタル家電の販売落ち込みから、国内の大手電機各社が減産や人員削減を加速している。ソニーのほかにも、大手5社が既に計1430人の削減を発表しており、こうした動きはさらに拡大する見通しだ。
液晶テレビでは、パナソニックが子会社の「IPSアルファテクノロジ」(千葉県茂原市)での液晶テレビ用のパネルの生産を12月から09年1月まで当初計画比1割減らす。また、日立製作所はプラズマテレビ用のパネルを生産する子会社の「日立プラズマディスプレイ」(宮崎県国富町)の派遣社員計250人を来年1月までに削減する。
デジタルカメラでは、キヤノンが08年のデジカメ生産台数を2940万台から6%減の2790万台に下方修正する。
デジタル製品の減産の影響で、画像の処理に使われる半導体部品にも影響が出ている。東芝は減産に伴い、半導体製造拠点の大分工場(大分市)の派遣社員380人を09年3月までに減らす。北九州工場(北九州市小倉北区)の派遣社員100人も年内に削減する。
これまで国内の電機大手は薄型テレビやデジカメの世界市場拡大をにらみ、積極的な設備投資や人員増強を進めてきた。
世界経済の激変で環境は一変しており、「なお一段の減産や人員削減が避けられない」(電機大手)といった厳しい見方が広がっている。【森有正、宇都宮裕一】==============
国内電機大手の減産と従業員削減数 企業名 国内外の減産 国内の人員削減 日立製作所 自動車部品1?2割(12月) 派遣社員250人 パナソニック 液晶パネル1割(12?1月) 現時点でなし ソニー 液晶テレビ5%
デジタルカメラ7%
ビデオカメラ9%(今年度)正社員と非正規の計1万6000人 東芝 半導体(年末年始に検討中) 派遣社員480人 富士通 非公表 派遣社員100人以上 NEC 半導体1割(12月) 派遣社員300人 シャープ 液晶パネル(検討中) 派遣社員約300人 三菱電機 現時点でなし 現時点でなし (注)各社とも子会社などのグループ会社も含む。
減産幅は当初計画比。ソニーの人員削減は国内外の合計
派遣社員ら削減1000人超す THK山口工場も検討/山口
[2008年12月10日 読売新聞]
派遣社員ら非正規雇用者の契約更新拒否や途中打ち切りの動きが止まらない。マツダ防府工場(防府市)やエム・シー・エス(下関市)などに続いて、工作機械部品製造のTHK山口工場(山陽小野田市)も削減を検討、県内だけで1000人を超える派遣社員らが職を失うことになりそうだ。地域経済に与える影響は大きく、県労連は10日、マツダ防府工場で反対の抗議行動を行う。
THK本社(東京)によると、山口工場には正社員700人、派遣社員300人が勤務。「全国的に景気が低迷しており、機械受注も減少している。削減数は明らかにできない」とし、契約が切れた派遣社員について、更新の見送りを検討しているという。
これまでに削減が明らかになったのは、マツダ防府工場500人、エム・シー・エス400人、NECセミコンダクターズ九州・山口の山口工場(宇部市)230人程度。山口労働局は「家族も含めると影響は大きく、緊急事態と認識している」とし、マツダとエム・シー・エスについて11月26日、再就職先などを仲介する対策本部を設置した。
一方で、県内の事業所に雇用の維持を要請したが、「企業努力ではいかんともしがたい」と、派遣社員の雇用継続に消極的な声がほとんどだったいう。
県労連には10月下旬以降、派遣労働者からの問い合わせが急増しており、12日には相談ホットライン(0120-378-060)を設けて対応する。10日はマツダ防府工場前で削減反対を訴える街頭活動を行う。
高根孝昭副議長は「景気悪化を理由に、すぐに現場の労働者を辞めさせるようでは、企業の社会的責任を果たしているとは言い難い。製造業に派遣社員を認めている現行制度にも問題がある」と指摘している。
コマツ、粟津工場でも期間従業員を削減
[NIKKEI NET 更新:2008年12月10日]
世界景気の急減速に伴い生産調整を進めるコマツや北陸の協力企業が相次ぎ雇用調整に動き出す。コマツは粟津工場(石川県小松市)で、約540人いる期間従業員を来年3月末の契約更新時に大幅に絞り込む。東和(同県能美市)や共和産業(同県白山市)といった協力企業も派遣社員を抑制する。他業種と比べ堅調だった建設機械業界でも人員削減が不可避となったことは、北陸製造業の苦境を象徴する。
コマツは中型建機の製造拠点である粟津工場で、期間従業員に「(建機需要が急減している)会社の現状を説明し、(再雇用する人を)4 月以降は厳選せざるをえないと伝えた」(同工場総務部)。需要が一段と縮小する場合は全員削減する可能性もあるという。生産調整のため12月以降は組み立てラインも月に3日ほど停止する。
同社は小山工場(栃木県小山市)でも期間従業員約400人を削減。国内で約2000人いる期間従業員の調整を加速している。
非正規1285人削減見込み/岩手
[2008年12月9日 読売新聞]
景気後退を受け、非正規労働者の雇用を契約期間中に打ち切ったり、契約を更新しなかったりする「雇い止め」を予定している県内の企業・事業所は、県が把握しているだけで18社に上り、計1285人が対象となる見込みであることが分かった。8日の県議会商工文教委員会で、県労政能力開発課が明らかにした。
同課が本庁各課や出先の振興局などを通じて把握した範囲で、金ヶ崎町に工場を持つトヨタ系列の「関東自動車工業」(神奈川県横須賀市)が期間従業員と派遣社員計約350人を削減する方針を示しているのをはじめ、県南地方の製造業を中心に18社が雇い止めを検討していた。そのうち関東自工のほかにも、複数の事業所で百人単位の大規模な人員削減が検討されているという。
県内の雇用状況は10月から急速に悪化しており、県労政能力開発課は「今後も非正規労働者の雇い止めの増加が懸念される」とみている。
県は10日に達増知事を本部長とする緊急雇用対策本部を設置し、県内企業に雇用の維持を要請していく。
横手市:自動車関連で430人削減受け、緊急雇用対策本部設置へ/秋田
[毎日新聞 2008年12月9日 地方版]
横手市の五十嵐忠悦市長は8日、市議会一般質問で、市内の自動車関連工場などで430人に上る人員の削減が把握されたとして、市長を本部長とする「市緊急雇用対策本部」(仮称)を設置する方針を明らかにした。
五十嵐市長は議員の質問に「(人員整理で)正規雇用に手をつけるところも出ている」と述べ、米国発の世界的な経済悪化が、地域社会に深刻な影響を及ぼしているとの認識を示した。
毎日新聞の取材に対し五十嵐市長は「横手は比較的、自動車産業が集中しているので目立つが、派遣社員、パートを合わせた解雇はまだ増える。早晩、誘致企業だけでなく地元企業でも出てくるだろう」と話した。今週中に緊急雇用対策本部を設ける予定で、「まず市でできることから始める」と決意を示した。
市によると、自動車関連工場は誘致企業と関連下請けを合わせ二十数社。しかし、自動車需要の急速な縮小で期間従業員など非正規社員の解雇が相次いでおり、市は「先が見えないが、ハローワークや県を含め対応したい」としている。【佐藤正伸】
山田製作所、派遣を削減 最大300人、契約更新せず/群馬
[2008年12月9日 読売新聞]
自動車部品メーカー「山田製作所」(桐生市)は、現在雇用している派遣社員約300人を対象にした削減を進める方針を決めた。8日、取材に対して明らかにした。
同社総務部によると、すでに一部は契約更新をしないという方法で着手していて、削減規模など今後については自動車メーカー各社の減産状況などをみて判断するとしているが、契約打ち切りもあり得るという。
同社は国内では桐生、伊勢崎両市、熊本県に3工場を持っており、派遣社員を除いた従業員数は08年3月時点で約1400人。2008年3月期の単独決算では売上高678億円を計上していた。
県内では、太田市などに工場がある富士重工業が先月、期間工など約800人非正規社員の削減方針を打ち出しているほか、自動車部品大手「ミツバ」(桐生市)が派遣社員約460人との契約更新を今月以降は行わない方針を決めている。
日立プラズマ、全派遣250人削減 正社員500人配転
[asahi.com 2008年12月6日]
日立製作所の子会社で、プラズマテレビのガラスパネルをつくる日立プラズマディスプレイ(宮崎県国富町)は全派遣社員約250人を来年1月に削減する。パネル製造から撤退するためだ。正社員約1千人についても今年度中に最大500人程度を県外にある日立グループの工場などに配置転換する。
苦戦が続く薄型テレビ事業を再編するため、日立は来春以降、パナソニックからパネルを供給してもらうことを決めている。
日立プラズマディスプレイは今春に生産能力を倍増したばかりだが、パネルに部品を組み付ける工程だけが残ることになる。工場の規模は大幅に縮小され、正社員1千人のうち3?5割程度が余剰人員になる見込みだ。
日立は「プラズマテレビ以外の家電の組み立て事業をグループ内から宮崎に移し、配置転換の人数をできるだけ抑えたい」(広報)としている。
九州・山口では、トヨタ自動車九州(福岡県宮若市)など自動車各社や大分キヤノン(大分県国東市)などで派遣・請負社員ら非正社員の削減が相次いでいる。厚生労働省の調査では、宮崎県では来年3月までに578人の非正社員が削減される見込みで、非正社員削減の波が九州南部にも広がった形だ。
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