よくある誤解 派遣受入期間の制限について

派遣労働については、「派遣は一時的・臨時的なものに限られる」という大原則から、いくつかの制限があります。そのうちの1つが、派遣の受入期間にかんする制限。製造派遣や一般事務などでは、派遣を受け入れることができるのは、原則1年まで、最長でも3年までと決められています(これを「派遣受入期間の制限」といいます)。

この「3年まで」という制限は、しばしば「同じ派遣労働者を3年以上働かせることはできない」というふうに理解されていますが、それは誤解。

「3年まで」という制限がつくのは、派遣労働者ではなく、派遣に任された仕事の方です。

つまり、ある仕事を、たとえば2006年4月1日から派遣にまかせたとすると、途中で派遣労働者が入れ替わったり別の派遣会社に交替したとしても、2009年4月1日以後は、その仕事を派遣に任せることができないのです。

そのことは、厚生労働省のパンフレット「派遣先の皆様へ」でも、はっきりと次のように指摘されています。

派遣受入期間の制限(厚生労働省パンフレットから)

この図でも分かるように、途中で、同じ派遣会社の別の派遣労働者に交替しようと、別の派遣会社の労働者に交替しようと、ともかく1つの仕事について、最初に派遣を入れた日から起算して、丸3年たつと、もはやその仕事に派遣労働者を使うことはできないのです。

いま働いている派遣さんが働き始めて半年しかたっていなくても、その仕事を最初に派遣に任せたときから丸3年たった日(これを「期間制限抵触日」と言います)以降は、その仕事を派遣労働者に任せ続けることはできません。

もし「抵触日」以降もその仕事を誰かにやってもらう必要があるときは、派遣先企業は、1カ月前に派遣労働者にたいして「このまま我が社の正社員として働く意志はありますか?」と申し入れなくてはならないのです(これを「雇用契約申入義務」と言います)。

くり返しになりますが、この「派遣受入期間の制限」は、仕事にくっついているものです。したがって、その仕事がいつから派遣に出されるようになったのか、分かっているのは派遣先企業だけです。派遣労働者はもちろん、派遣会社だって入れ替えられる場合があるので、その仕事がいつから派遣に出されたか、わかりません。それを唯一記録しているのは、派遣先企業が記録する「派遣先管理台帳」だけです。

したがって、派遣先企業は、新しい派遣契約を結んだときに、派遣会社にたいして「期間制限抵触日」がいつかであるのかを通知する義務を負っています。

しかし、これは、泥棒に金庫番をさせるようなものではないでしょうか? いつまでも派遣を使いたい企業にしてみれば、派遣会社を入れ替えて「抵触日」をごまかせば、期間制限におかまいなしで派遣を使い続けられるのですから。

いずれにしても、「派遣受入期間の制限」については、正確に理解しておくことが大切です。

いま、いっせいにおこなわれようとしている「派遣切り」のなかでも、この「受入期間制限」をごまかしているところはまったくないのでしょうか? 徹底的に調べるべきだし、もしごまかしがあれば、ただちに正社員としての雇用申し入れをおこなわせる必要があります。

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