いすゞが期間従業員の途中解雇を撤回(続報)

いすゞが、期間従業員550人の途中解雇を撤回したというニュースの続報。

日経の記事にある労働組合との団体交渉の中味というのが、中日新聞の記事。おとなしく解雇されるなら、休業手当は賃金の85%出すが、文句を言うなら60%しか出さない、という露骨な差別と分断。どこまで根性が腐ってるんだか。

さらに、いすゞから解雇撤回の対象外とされた派遣労働者は、派遣会社を相手取って、期間途中の解雇は無効だとして、仮処分を申請。このブログでも、以前に指摘したように、派遣会社と派遣先企業と間の派遣契約が解除されたからといって、派遣会社と労働者との間の雇用契約がただちに破棄される訳ではない。派遣労働者の要求は当然だし、派遣会社も、「賃金を払うカネがない」といって逃げず、ちゃんと賃金を支払い、その分は、いすゞ本社に「期間中に派遣契約を解除されたために損害を被った」と賠償請求すべきだ。

いすゞ、期間従業員の途中解雇を撤回 550人が対象(NIKKEI NET)
解雇応じるかどうかで支給額格差 いすゞ藤沢工場(中日新聞)
「契約解除は違法」いすゞ派遣社員5人が仮処分申請へ(読売新聞)

期間従業員 いすゞ 途中解雇を撤回/550人 満了後は契約更新せず

[日本経済新聞 2008/12/24付夕刊]

 いすゞ自動車は24日、同社栃木工場などの期間従業員の契約途中での解雇方針を撤回し、期間満了まで雇用を継続することを決めた。同日午前、労働組合側に文書で通告した。製造業などの一連のリストラで社会問題化した非正規労働者の契約途中での解雇が撤回されるのは初めて。ただ期間満了後に雇い止めする方針は維持しており、同社の非正規労働者が置かれた状況は依然、厳しさが続いている。

 同社によると、対象となるのは約550人の期間社員ら。大部分は来年4月までの雇用契約を結んでいる。いすゞは年末までで解雇すると予告していたが、この途中解雇を撤回する。また契約期間が年末までで、契約を更新しないことを告げていた一部の期間社員に対しても金銭補償などの条件を詰めた上で「合意解約を目指す」(同社)という。
 同日夜、労働側との団体交渉で説明する。ただ、中途契約が撤回されても期間満了後の契約更新がない状況に変わりなく、妥結するかどうかは不透明だ。
 同社は11月19日、金融危機にともなう減産のため、国内工場の非正規従業員約1400人の契約をすべて打ち切ると発表した。
 ただ期間社員の途中解雇について、これまでの判例は労働契約法の「解雇権の乱用」規定を正社員の場合よりも厳格に適用。厚生労働省幹部は「組合からの仮処分申請やその後の裁判で敗訴も予想されることから、解雇の撤回を余儀なくされたのではないか」とみている
 全日本金属情報機器労働組合(JMIU)には24日午前9時に文書で通告が届いた。同組合の三木陵一書記長は「現在、通告の中味を精査しているが、全面的に解雇を撤回するとの表現ではない。現時点で諾否も含め、コメントはできない」としている。
 同社の解雇を巡っては、職だけでなく社員寮など住む場所も失う契約社員らが強く反発。12月3日にJMIUいすゞ自動車支部が結成された。4日には宇都宮地裁栃木支部に解雇撤回を求める仮処分申請を申し立てるなど、労使間の対立が厳しく、自動車業界の雇用調整の中でも特に動向が注目されていた。

解雇応じるかどうかで支給額格差 いすゞ藤沢工場

[中日新聞 2008年12月24日 21時34分]

 いすゞ自動車の藤沢工場(神奈川県藤沢市)の期間従業員らでつくる労組は24日午後、契約期間満了まで雇用を継続するとした会社側と東京都内で団体交渉。労組によると、会社側は今月26日の解雇に応じる従業員には契約期限まで賃金の85%を支払う意向を示したという。
 契約満了時まで雇用継続を求める従業員には労働基準法で定める最下限の60%を休業手当として支給すると提示。労組側は「手当の額に差があるのはおかしい」として反発している。
 また労組側は派遣社員が対象から外れたことについても批判し、会社側と再度交渉し改善を求めるとしている。(共同)

「契約解除は違法」いすゞ派遣社員5人が仮処分申請へ

[2008年12月24日21時06分 読売新聞]

 いすゞ自動車と人材派遣会社の契約打ち切りに伴って派遣元から雇用契約解除などを通告された20?40歳代の男性派遣社員5人が、それぞれの派遣元計5社を相手取り、派遣社員としての地位の確認などを求める仮処分を26日、横浜地裁に申し立てる。
 男性らを支援する神奈川労連によると、5人はいずれも契約期間中で、いすゞ自動車藤沢工場(神奈川県藤沢市)で働いていた。5人は申立書で、期間中の契約解除は労働契約法に違反すると主張し、解除する場合は残る期間分の賃金を支払うよう求めるという。
 同労連の水谷正人議長は「5人の中には、契約期間を3年近く残している人もいる。大企業が弱者の職を奪おうとすることに抗議する」と話した。

いすゞが期間従業員の途中解雇を撤回(続報)」への1件のフィードバック

  1. 労働者の運動が具体的な成果を挙げていることは重要なことだと思います。

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