日比谷公園に開設された「年越し派遣村」。4日には、ついに500人に。
厚生労働省との交渉の結果、東京都と中央区に5日以降の宿泊場所500人分を確保することになったそうだ。とりあえず「野宿」の危険だけは回避されたことになるが、行政は、当面の宿泊場所を確保するだけでなく、積極的に住居の確保と就職支援につとめてほしい。
都内4カ所500人分の宿泊場所確保 年越し派遣村(朝日新聞)
都内4カ所500人分の宿泊場所確保 年越し派遣村
[asahi.com 2009年1月4日22時45分]
「派遣切り」などで仕事と住まいを失った人たちに寝場所と食事を提供する東京・日比谷公園の「年越し派遣村」は4日、昨年12月31日の開村から5日間で500人近い人が入村登録をした。派遣村は仕事始めの5日朝に活動を終えるため、実行委員会が厚生労働省などと調整した結果、5日から12日まで、都内4カ所の公共施設に500人分の宿泊場所を確保することになった。
開放されるのは中央区の閉校になった小学校2カ所と、練馬区にある都の体育館、大田区にある都の労働者向け一時宿泊施設。4施設にはハローワークによる就労相談や都社会福祉協議会による緊急資金貸し付け相談などの窓口を設ける。期限は12日までの予定だが、実行委員会によると次の居場所が定まるまでは退去を迫らないという。厚労省から施設の開放を要請された都は、「人道的見地から」の措置だとしている。
派遣村の入村者のうち、希望者は5日に、日比谷公園や厚労省の講堂から、公共施設に移動する。ボランティアが日比谷公園で行っていた炊き出しも5日朝で終わるため、食事は弁当を提供してもらうという。
「満額回答。皆さんの声と存在が届いた結果です」。村長の湯浅誠・NPO法人自立生活サポートセンターもやい事務局長が4日夜、新たな宿泊場所について村民に報告すると、集まった人たちから大きな拍手が起こった。
昨年11月末に山口県内の自動車工場で雇い止めとなった元派遣社員の男性(51)は「とりあえず移る場所ができてよかった。ただ、1週間後のことを考えると安心はできない」と硬い表情を崩さなかった。岡山県の自動車部品工場の派遣契約を中途解除された男性(48)も「みんなが集まっていたから圧力がかかって国も動いたと思う。それがバラバラになると不安もある」と話した。
4日午後には、民主党の菅直人代表代行や国民新党の亀井久興幹事長、新党大地の鈴木宗男代表ら野党各党の幹部も訪れ、福島瑞穂・社民党首が「これは政治災害であり雇用災害だ」、志位和夫・共産党委員長は「政治の責任で衣食住を確保しなければいけない」などと述べた。
5日は通常国会が開会するため、入村者らは国会へのデモ行進や、議員会館内での集会で、与野党に派遣切りの実情を訴えて対策を講じるよう求める予定だ。
派遣村の入村者のうち170人超が生活保護の申請を希望しており、5日から手続きに入る。
このため、東京都千代田区は5日朝から、同区役所1階の区民ホールに臨時窓口を設け、職員OBも動員して生活保護の申請に訪れる人の相談に応じる。正式決定するまでには2週間程度かかる見込みだという。