12月の輸出が先月比で35%のマイナス、貿易黒字は1年前から8割も減少。もはや”外需頼み”の日本モデルは完全に破綻。日銀の予想でも、09年度のGDP伸び率はマイナス2%に。
貿易統計:先月の輸出35%減 昨年、貿易黒字8割減(毎日新聞)
09年度成長率、過去最悪 日銀見通しマイナス2%に(中日新聞)
貿易統計:先月の輸出35%減 昨年、貿易黒字8割減
[毎日新聞 2009年1月22日 東京夕刊]
08年の輸出額と前年同月比増減率の推移財務省が22日発表した08年12月の貿易統計速報によると、世界的な景気悪化を受けて輸出額は前年同月比35.0%減の4兆8333億円となった。減少率は11月(26.7%減)を大幅に上回り、79年1月の統計開始以降の過去最大を2カ月連続で更新。輸出の落ち込みがさらに加速し、外需頼みの日本経済の苦境が一層鮮明になった。また、08年下半期(7?12月)の貿易収支(輸出額と輸入額の差)は、半期ベースでは80年上半期以来28年半ぶりの赤字に転じた。
輸出の減少は3カ月連続。自動車輸出が対米で半減、対欧も6割減となったことが響いた。地域別では対米が36.9%減、対欧が41.8%減、対アジアも36.4%減となり、すべての主要輸出先に対して過去最大の減少率を記録した。
輸入は原油輸入価格の下落で21.5%減の5兆1539億円と2カ月連続の減少。輸出減が輸入減を上回ったため、貿易収支は3207億円の赤字となった。3カ月連続の貿易赤字は、石油危機の影響を受けた79年7月から80年8月の14カ月連続以来。地域別では対米黒字が半減したほか、対欧、対アジアはそれぞれ7割超、9割超の減少と過去最大の減少率となった。
08年通年では、輸出が3.4%減の81兆492億円と7年ぶりに減少した。輸入は年後半まで原油価格が高止まりしたため、7.9%増の78兆8917億円と過去最高を更新。貿易黒字は過去最大の減少率となる80.0%減となり、黒字額も2兆1575億円と82年以来の低水準だった。半期ベースでは上半期(1?6月)が2兆9347億円の黒字だったが、08年10月以降の輸出急減で、下半期は7772億円の赤字になった。【清水憲司】
09年度成長率、過去最悪 日銀見通しマイナス2%に
[中日新聞 2009年1月23日 朝刊]
日銀は22日の金融政策決定会合で、2010年度までの国内景気・物価見通しを示す「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」の中間評価を決めた。09年度の実質国内総生産(GDP)の成長率見通し(中央値)はマイナス2.0%と実績ベースで過去最悪だった1998年度のマイナス1.5%を大きく下回り、世界同時不況で国内景気が一段と悪化することが確実となった。
展望リポートは日銀が毎年4月と10月に公表し、それぞれ3カ月後に中間評価を実施する。09年度の実質GDP成長率は、10月公表時の0.6%から大幅なマイナスへと下方修正。08年度も0.1%からマイナス1.8%へと引き下げられ、2年連続で過去最悪を更新する可能性が高まった。10年度については世界経済の回復などで1.5%のプラス成長に転じる見通し。
現状の景気判断については、輸出や生産の急激な落ち込みや雇用の悪化などを受け、昨年12月の「悪化している」から「大幅に悪化している」と下方修正。政策金利(無担保コール翌日物)の誘導目標は現行の年0.1%前後を維持した。
また、決定会合では企業の資金繰り支援策として、大企業などが短期の運転資金を調達するために発行するコマーシャルペーパー(CP)や、企業の売掛債権を担保に発行する手形(資産担保CP、ABCP)を総額3兆円買い取ることを決定。さらに、償還まで1年以内の社債を買い取る方針も決めた。
決定会合終了後に記者会見した白川方明総裁は「(昨年)秋以降の世界の同時かつ急速な景気後退は、経済・金融のグローバル化が進行する中で初めてのことだ」と危機感を示した。