読売新聞がどうしても報じたくない事実 憲法9条改正反対はやっぱり過半数

読売新聞が毎年行なっている憲法「改正」世論調査。

昨年の調査で、「憲法を改正する方がよい」42.5%にたいし「改正しない方がよい」43.1%と、改正反対が上回ったことに衝撃を受けた読売新聞ですが、今回の調査では、「改正する方がよい」が51.6%となり、「再び改正賛成の世論が多数を占めた」ことに安堵したのか、見出しでも「憲法改正『賛成』52%」の文字が躍っています。

しかし、調査結果を詳細に読むと、憲法9条については改正反対がやっぱり過半数を占めていることが明らかになっています。9条第1項と第2項に分けた質問で、それぞれ、「改正の必要がある」と答えたのは第1項17.7%、第2項42.0%なのにたいし、「改正する必要はない」は第1項77.5%、第2項50.9%となっています。 ((この結果に触れた読売新聞の解説は以下のとおり。1項、2項どちらについても「改正の必要はない」が過半数を超えているのだが、そのことへの具体的な言及はどこにもない。
 「9条では『戦争を放棄すること』を定めた1項を改正する必要があると思う人は18%(昨年13%)、『必要ない』は78%(同82%)となっている。
 一方、『戦力を持たないこと』などを定めた2項は、改正の必要が『ある』42%(同37%)、『ない』51%(同55%)だった。改正の必要があるとの答えは初めて4割を超え、自衛隊の憲法上の位置付けを明確にすべきだとの世論の広がりを反映したものとみられる。」))

憲法改正「賛成」51.6%、再び多数占める…読売世論調査(読売新聞)

憲法改正「賛成」51.6%、再び多数占める…読売世論調査

[2009年4月3日00時04分 読売新聞]

 読売新聞社の全国世論調査(面接方式、3月14?15日)によると、今の憲法を改正する方がよいと思う人は51.6%と過半数を占め、改正しない方がよいと思う人の36.1%を上回った。
 昨年3月調査では改正反対が43.1%で、改正賛成の42.5%よりわずかに多かったが、再び改正賛成の世論が多数を占めた。国際貢献のための自衛隊の海外派遣が増えたことや、ねじれ国会での政治の停滞などで、今の憲法と現実との隔たりを実感する国民が増えたためと見られる。
 1981年から実施している「憲法」世論調査では、93?2007年は改正賛成が多数派だった。ただ、04年の65.0%をピークに賛成派が減り始め、昨年は反対派を下回った。それが今回は増加に転じた。
 賛成派は自民支持層で54%(昨年比7ポイント増)に増え、民主支持層で53%(同12ポイント増)に急増した。
 改正賛成の人に理由(複数回答)を聞くと、「国際貢献など今の憲法では対応できない新たな問題が生じているから」49%(昨年45%)が最も多かった。インド洋での給油活動、ソマリア沖の海賊対策への海上自衛隊派遣を巡る議論などを通じて、憲法を見直そうという意識が高まったようだ。
 戦争を放棄し戦力を持たないとした憲法9条については、「解釈や運用で対応するのは限界なので改正する」38%が最も多く、昨年(31%)から増えた。「解釈や運用で対応する」33%(昨年36%)、「厳密に守り解釈や運用では対応しない」21%(同24%)は、ともに昨年より減少した。
 国会の二院制については、「二院制を維持し衆院と参院の役割や権限を見直す」39%と「一院制にする」28%を合わせ、何らかの見直しを求める人が約7割に達した。
 憲法で関心がある点(複数回答)は「戦争放棄、自衛隊」47%が8年連続でトップ。「生存権、社会福祉」は昨年比7ポイント増の25%に増えた。金融危機や年金不信で暮らしへの不安が増していることを反映したようだ。

質問と回答の詳細は以下のとおり。

「憲法」2009年3月面接全国世論調査

質問と回答(数字は%)

[読売新聞 2009年4月3日付朝刊]

◆あなたは、今の日本の憲法のどんな点に関心を持っていますか。次の問題は、すべて憲法に関係するものですが、あなたがとくに関心を持っているものを、いくつでもあげて下さい。
・天皇や皇室の問題                  14.9
・戦争放棄、自衛隊の問題              46.7
・平等と差別の問題                  19.2
・言論、出版、映像などの表現の自由の問題   10.5
・情報公開の問題                   10.5
・プライバシー保護の問題              14.3
・生存権、社会福祉の問題              25.4
・環境問題                        30.4
・集会やデモ、ストライキ権の問題           1.7
・選挙制度の問題                   15.8
・裁判の問題                      25.8
・靖国神社への公式参拝の問題          12.0
・憲法改正の問題                   14.2
・三権分立の問題                    4.6
・地方自治の問題                   15.0
・国会の二院制の問題                12.8
・憲法制定の過程や背景               4.6
・その他、とくにない、答えない           13.8

◆あなたは、今の憲法を、改正する方がよいと思いますか、改正しない方がよいと思いますか。
・改正する方がよい                   51.6
・改正しない方がよい                  36.1
・答えない                        12.4

▼【前問で「改正する方がよい」と答えた人だけ】あなたが改正する方がよいと思う理由は何ですか。次の中がら、いくつでもあげて下さい。
・アメリカに押しつけられた憲法だから             27.7
・国の自衛権を明記し、自衛隊の存在を明文化するため  27.0
・権利の主張が多ずぎ、義務がおろそかにされているから 24.1
・憲法の解釈や運用だけで対応すると混乱するから     34.6
・国際貢献など今の憲法では対応できない新たな問題が生じているから 49.0
・その他     2.8
・答えない    2.2

▼【前問で「改正しない方がよい」と答えた人だけ】あなたが改正しない方がよいと思う理由は何ですか。次の中から、いくつでもあげて下さい。
・すでに国民の中に定着しているから            47.6
・世界に誇る平和憲法だから                 49.3
・基本的人権、民主主義が保障されているから      25.6
・時代の変化に応じて、解釈、運用に幅を持たせればよいから   19.0
・改正すると軍事大国への道を開くおそれがあるから   24.8
・その他      1.1
・答えない     2.1

◆戦争を放棄し、戦力を持たないとした憲法第9条をめぐる問題について、政府はこれまで、その解釈や運用によって対応してきました。あなたは、憲法第9条について、今後、どうすればよいと思いますか。次の中から、1つだけあげて下さい。
・これまで通り、解釈や運用で対応する      33.3
・解釈や運用で対応するのは限界なので、憲法第9条を改正する    38.1
・憲法第9条を厳密に守り、解釈や運用では対応しない          20.7
・その他       0.5
・答えない      7.5

◆憲法第9条の条文には第1項と第2項があります。それぞれについて、あなたが改正する必要があると思うかどうかを、順にお答え下さい。
(a)「戦争を放棄すること」を定めた第1項については、改正する必要があると思いますか、ないと思いますか。
・ある       17.7
・ない       77.5
・答えない     4.8
(b)「戦力を持たないこと」などを定めた第2項についてはどうですか。
・ある       42.0
・ない       50.9
・答えない     7.1

◇日本と密接な関係にある国が武力攻撃を受けたとき、この攻撃を、日本の安全を脅かすものと見なして、攻撃した相手に反撃する権利を「集団的自衛権」と言います。政府の見解では、日本もこの権利を持っているが、憲法の解釈上、使うことはできないとしています。この集団的自衛権について、次の中から、あなたの考えに最も近いものを、1つだけあげて下さい。
・憲法を改正して、集団的自衛権を使えるようにする        24.3
・憲法の解釈を変更して、集団的自衛権を使えるようにする    24.5
・これまで通り、使えなくてよい       43.8
・その他              0.5
・答えない             7.0

◆政府は、国連のPKO、平和維持活動以外で、自衛隊を海外に長期間派遣するときには、その都度、特別な法裡を作って対応してきました。あなたは、これを改めるために、自衛隊の海外派遣のルールを総合的に定めた新しい法律、いわゆる「恒久法」が必要だと思いますか、そうは思いませんか。
・そう思う             53.0
・そうは思わない         37.0
・答えない            10.0

◆次にあげる2つの場合に、あなたが自衛隊の活動を認めるかどうかを、順にお答え下さい。
(a)「国連のPKO、平和維持活動で、一緒に参加している外国の部隊が攻撃を受けた場合、自衛隊が武器を使って助けること」については、認める方がよいと思いますか、認めない方がよいと思いますか。
・認める方がよい     51.2
・認めない方がよい    38.6
・答えない         10.2
(b)「日本の周辺の公海、公の海で、一緒に活動しているアメリカの艦船が攻撃を受けた場合、海上自衛隊が反撃すること」についてはどうですか。
・認める方がよい      48.3
・認めない方がよい    40.5
・答えない         11.2

◆憲法は、国会に衆議院と参議院を置くことを定めています。この二院制のあり方について、次の中から、あなたの考えに最も近いものを、1つだけあげて下さい。
・衆議院と参議院を合併して一院制にする             28.3
・二院制を維持し、衆議院と参議院の役割や権限を見直す   38.7
・今のままでよい       28.0
・その他             1.0
・答えない            4.0

◆憲法では、衆議院が可決した法案を、参議院が否決しても、再び衆議院が3分の2以上の多数で可決すれば、その法案は成立すると定めています。衆議院での再可決について、次の中から、あなたの考えに最も近いものを、1つだけあげて下さい。
・再可決は当然だ                  11.2
・再可決はやむを得ない              34.1
・再司決はできるだけ避ける方がよい      31.3
・再可決は避けるべきだ              17.2
・答えない                       6.2

◆衆議院では与党、参議院では野党が多数を占める「ねじれ国会」については、(A)「与野党が対立する法案が成立しなかったり、遅れたりする」という見方と、(B)「与野党で政策協議が行われ、国会が活性化する」という見方がありますが、あなたの考えは、どちらの方に近いですか。
・どちらかといえば(A)               43.8
・どちらかといえば(B)               43.0
・答えない                      13.2

◆地方制度の改革の一環として、現在の47都道府県を統合・再編して、全国をいくつかの道や州にまとめる「道州制」が議論されています。この道や州に、外交や防衛などを除いて、今の国の役割をできるだけ移すというものです。あなたは、この道州制の導入に、賛成ですか、反対ですか。
・賛成              21.1
・どちらかといえば賛成    18.9
・どちらかといえば反対    21.9
・反対              25.2
・答えない           12.8

◆あなたは、各政党が、憲法に関する論議をもっと活発に行うべきだと思いますか、そうは思いませんか。
・そう思う            77.4
・そうは思わない       17.4
・答えない            5.2

◆あなたは、今の政治状況は、憲法に関する論議を行うのにふさわしい状況だと思いますか、そうは思いませんか。
・そう思う            15.2
・そうは思わない       78.2
・答えない            6.6

◆日本の憲法について、あなたが、今の条文を改めたり、新たな条文を加えたりする方がよいと思うものがあれば、次の中から、いくつでもあげて下さい。
・天皇の地位やあり方             13.2
・自衛のための軍隊保持            30.3
・積極的な国際協力               23.3
・行政機関の情報を知る権利         19.5
・個人情報やプライバシーの保護       17.5
・家族の尊重                   11.5
・農好な環境で生活する権利          30.9
・緊急事態などへの首相の権限強化     10.7
・衆議院と参議院の役割            21.5
・国と地方の役割                30.3
・憲法裁判所の設置               6.0
・その他                      0.3
・とくにない                    19.6
・答えない                     3.4

【調査方法】
・調査日=3月14、15日
・対象者=全国の有権者3000人(250地点、層化2段無作為抽出法)
・実施方法=個別訪問面接聴取法
・有効回収数=1755人(回収率58.5%)
・回答者内訳=男48%、女52%▽20歳代8%、30歳代14%、40歳代17易、50歳代21%、60歳代25%、70歳以上16%▽大都市(東京23区と政令指定都市)22%、中核都市(人口30万人以上の市)17%、中都市(人口10万人以上の市)26%、小都市(人口10万人未満の市)24%、町村11%
※グラフや表の数値は四捨五入のため、合計が100%にならないことがある。

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