NHKと毎日新聞の世論調査で、いずれも麻生内閣の支持率が上向いた。と言っても、「支持」対「不支持」の割合は、30対60(NHK)あるいは24対56(毎日)で、依然としてダブルスコアなのだが。その理由は2つ考えられる。
NHK世調 内閣支持率30%(NHKニュース)
NHK世論調査 各党の支持率(NHKニュース)
毎日新聞世論調査:「小沢氏辞任を」72% 内閣支持率は上昇24%(毎日新聞)
1つめは、西松建設違法献金問題。小沢一郎氏は民主党代表を辞めるべきだとする割合は、53%(NHK)、72%(毎日、「ただちに辞めるべき」と「衆院選前に辞めるべき」の合計)と依然として高い。
結果、「どちらが首相にふさわしいか」の質問に、「どちらもふさわしくない」がNHK調査でも60%、毎日調査62%と圧倒的多数を占めた。
もう1つは、北朝鮮のロケット発射問題で、麻生内閣の対応を評価する回答が多数にのぼったこと。これが内閣支持率を押し上げていることは間違いなく、実際、自民党の支持率はNHK調査では前月から1ポイント低下、毎日新聞調査でもほとんど回復していない。
おもしろいのは、ETC装備の乗用車などについて土日に限って高速道路料金を引き下げた措置について、毎日新聞の調査で、「評価する」51%にたいして「評価しない」44%で、かなり接近していること。マスメディアでは、「高速道路はどこも混雑」などというニュースばかりで大いに歓迎されているふうだったが、以外と国民は冷めているのかも知れない。
NHK世調 内閣支持率30%
[NHKニュース 4月13日 19時15分]
NHKの世論調査によりますと、麻生内閣を「支持する」と答えた人は、先月より12ポイント上がって30%だったのに対し、「支持しない」と答えた人は、11ポイント下がって60%でした。
NHKは、今月10日から3日間、全国の20歳以上の男女を対象に、コンピューターで無作為に発生させた番号に電話をかけるRDDという方法で世論調査を行いました。調査の対象となったのは1815人で、このうちの62%にあたる1119人から回答を得ました。
それによりますと、麻生内閣を「支持する」と答えた人は、先月より12ポイント上がって30%だったのに対し、「支持しない」と答えた人は、11ポイント下がって60%でした。麻生内閣を支持する理由では、「ほかの内閣よりよさそうだから」が44%、「支持する政党の内閣だから」が27%などとなった一方、支持しない理由では、「政策に期待が持てないから」が42%、「実行力がないから」が20%などとなりました。
そして、今回の北朝鮮のミサイル発射に対して、政府が「ミサイル防衛システム」で国内への落下物を打ち落とす態勢を取ったことについて、「大いに評価する」が23%、「ある程度評価する」が45%だったのに対し、「あまり評価できない」が20%、「まったく評価できない」が7%でした。また、政府が送金の規制を強化するなど北朝鮮への制裁措置を強めたことへの賛否を聞いたところ、「賛成」が67%、「反対」が7%、「どちらともいえない」が22%でした。一方、一連の対応のなかで、ミサイル発射の誤った情報を発表し、その後訂正した政府の危機管理について、「大いに不安だ」が47%、「ある程度不安だ」が32%だったのに対し、「あまり不安はない」が14%、「まったく不安はない」が3%でした。
また、西松建設の政治献金をめぐる事件で、公設秘書が逮捕・起訴された民主党の小沢代表が検察の対応を批判していることについて、「大いに納得できる」が5%、「ある程度納得できる」が22%だったのに対し、「あまり納得できない」が34%、「まったく納得できない」が34%でした。そのうえで、小沢代表の進退について尋ねたところ、「代表を続けるべきだ」が10%、「代表を辞任すべきだ」が53%、「どちらともいえない」が32%でした。
そして、望ましい衆議院の解散・総選挙の時期について尋ねたところ、「補正予算案が成立したあと、6月までには行うべきだ」が46%で最も多く、次いで「9月の任期満了まで行う必要はない」が27%、「直ちに行うべきだ」が19%でした。そのうえで、次の衆議院選挙後の望ましい政権の形を質問したところ、「自民党が中心となる連立政権」が27%で最も多く、次いで「自民党と民主党による大連立政権」が23%、「民主党が中心となる連立政権」が20%などとなりました。
さらに、次の衆議院選挙後の総理大臣に、麻生総理大臣と、民主党の小沢代表のどちらがふさわしいか尋ねたところ、「麻生総理大臣」が19%、「小沢代表」が14%、「どちらもふさわしくない」が60%でした。
NHK世論調査 各党の支持率
[NHKニュース 4月13日 19時15分]
NHKが行った世論調査によりますと、各党の支持率は、▽自民党が先月より1ポイント余り下がって28.0%、▽民主党は1ポイント近く下がって20.4%、▽公明党は横ばいで2.9%、▽共産党はやや上がって3.3%、▽社民党はやや上がって1.2%、▽国民新党は0.3%、▽新党日本は0.2%、▽「特に支持している政党はない」は38.0%でした。
毎日新聞世論調査:「小沢氏辞任を」72% 内閣支持率は上昇24%
[毎日新聞 2009年4月12日 東京朝刊]
毎日新聞は10、11日、電話による全国世論調査を実施した。政治資金規正法違反で公設第1秘書が起訴された民主党の小沢一郎代表の進退問題について、「辞めるべきだ」との回答が「直ちに」と「衆院選前に」を合わせて72%に達した。一方、麻生内閣の支持率は3月の前回調査から8ポイント上昇し24%に回復。「どちらが首相にふさわしいか」の回答では08年10月の調査以来6カ月ぶりに麻生太郎首相(21%)が小沢氏(12%)を上回った。内閣不支持率はなお56%と高いものの、麻生首相と小沢氏の攻守逆転を印象づけた。
小沢氏に対しては「直ちに辞めるべきだ」が39%、「衆院選前に」が33%に達し、「代表として衆院選に臨むべきだ」は23%にとどまった。時期を区切らず進退を尋ねた前回調査では「辞めるべきだ」が57%だった。
続投を了承した民主党の対応についても「納得できない」が66%で「納得できる」の30%を大きく上回った。
ただ「次の衆院選で自民党と民主党のどちらに勝ってほしいか」の質問では民主党を選んだ人が42%で、自民党の32%をリード。民主党による政権交代にはなお期待しつつ、代表にとどまる小沢氏に厳しい目を向ける傾向を示した。
麻生内閣発足以来、下がり続けていた内閣支持率は小沢氏の秘書逮捕直後だった前回調査から2回連続で上昇。
今回調査では首相を支持する理由として「政策に期待できるから」が前回比10ポイント増の32%となり、過去最大規模の追加経済対策や北朝鮮のミサイル発射への対応などが政権浮揚につながったことをうかがわせた。
前回は自民、民主が並んだ政党支持率は民主が24%で自民の23%を上回り、公明5%▽共産3%▽社民2%▽国民新1%▽支持政党なし40%だった。【坂口裕彦】◇北朝鮮ミサイル、「対応評価」76%
全国世論調査では、北朝鮮が「人工衛星の打ち上げ」と主張して長距離弾道ミサイルを発射したことに関しても質問。ミサイルは日本にとって「脅威だと思う」との回答が79%で「思わない」の19%を大きく上回った。発射を受け、新たな国連決議や追加の経済制裁を主張した日本の外交姿勢については「評価する」が76%に達し、「評価しない」は20%にとどまった。【田中成之】