日立の冷蔵庫「エコ偽装」 なぜメディアの追及はこんなにゆるいのか?

日立グループ企業が、エコ冷蔵庫で偽装をおこなっていたことが発覚。

しかし、1日や2日では腐るはずもない餡子の賞味期限を1日書き替えただけで、和菓子屋にあれだけの新聞、テレビが連日殺到したのに、今回は、なぜかメディアは公取委の発表をそのまま流すだけ。日立に記者会見をひらかせる訳でもなく、なんでこんなミスが見逃されたのか追及する姿勢もない。

いくら大スポンサーだ言っても、これじゃあ、あまりに態度が違う。メディアのみなさん、ちょっと舐められすぎじゃありませんか?

日立の冷蔵庫で「エコ偽装」、排除命令(TBS News-i)
不当表示:「日立」エコ表示で 大型冷蔵庫、リサイクル材使わず――公取委が排除命令(毎日新聞)
省エネ賞の冷蔵庫、実は不当表示 日立子会社に排除命令(朝日新聞)

日立は「宣伝部門に伝わっていなかった」と説明しているそうだが、本当にそうなのかどうか。「伝えなかった」可能性はないのか? 仮に「伝わっていなかった」としても、公取委に指摘されるまで、社内で誰もカタログなどが間違ったままだと気づかなかったのか? 誰が考えても、すぐに思いつく疑問の数々。ぜひとも追及してもらいたい。

日立の冷蔵庫で「エコ偽装」、排除命令

[TBS News-i 最終更新:2009年4月21日(火) 1時46分]

 省エネ大賞を受賞した日立の冷蔵庫で、エコ偽装です。「リサイクルの材料を使って二酸化炭素を削減」と表示しながら、実際にはリサイクル材をほとんど使っていなかったことがわかり、公正取引委員会は排除命令を出しました。
 家電量販店にならぶ「省エネ」の文字。地球温暖化の影響が叫ばれるようになり、家電メーカーは競うように「環境への配慮」を全面に押し出しています。
 「こういう時代だから、“省エネ”のものがいい」
 「環境・エコ、その辺がポイント」(消費者は)
 こうした中で、消費者をあざむく新たな「エコ偽装」が明らかになりました。環境への配慮をうたった冷蔵庫のカタログ。日立製作所の100%子会社、「日立アプライアンス」のものです。
 【3年連続省エネ大賞受賞】
 【業界ではじめてリサイクル樹脂材を活用】(日立アプライアンスのカタログ)
 日立アプライアンスは、最新モデルの大型冷蔵庫9種類の断熱材にリサイクルの材料を使うことで、二酸化炭素の排出量を48%削減したとカタログなどで表示。経済産業省主催の省エネ大賞も受賞し、3月末までに15万台を販売、300億円を売り上げました。しかし・・・。
 「冷蔵庫ではトップシェアを有する会社。表示だけを先行させてしまう点は、どうみても問題は大きいんだと思う」(公正取引委員会 景品表示監視室 大元慎二室長)
 公正取引委員会によると、実際には一部の商品を除いてリサイクル材は使っておらず、削減した二酸化炭素の量も十数%だったといいます。そのためカタログなどの表示が景品表示法違反にあたるとして、日立アプライアンスに対し排除命令を出しました。
 「これだけ大きな会社が、我々が調べたかぎり、何ら確認が行われていない」(公正取引委員会 景品表示監視室 大元慎二室長)
 日立アプライアンスはJNNの取材に対し、「リサイクル材の利用は技術的に難しい部分があった。今後このようなことが起こらないようにしたい」とコメントしました。
 冷蔵庫の販売シェアナンバーワン企業による「エコ偽装」。環境大臣は憤りを隠しません。
 「今回の事案については激しい憤りを感じる。法律の厳正な適用で、リサイクルに出されたものがリサイクルされ、エネルギー効率の高い社会になるよう全力をあげたい」(斉藤鉄夫 環境相)
 今回の事態を受け、日立アプライアンスの「省エネ大賞」は取り消されました。(20日17:22)

不当表示:「日立」エコ表示で 大型冷蔵庫、リサイクル材使わず――公取委が排除命令

[毎日新聞 2009年4月21日 東京朝刊]

 公正取引委員会は20日、日立製作所の100%子会社で、日立ブランドの冷蔵庫を製造・販売している「日立アプライアンス」(東京都港区)が、大型冷蔵庫の断熱材にリサイクル材をほとんど使っていないのに使っているように表示したとして、景品表示法違反(優良誤認)で排除命令を出した。【苅田伸宏】

 同社は、大型冷蔵庫シェアのトップ。対象となったのは、昨年9?11月に発売した「栄養いきいき真空チルドV」「ビッグ&スリム60」の2シリーズ計9機種。これらは、08年度に経済産業省の省エネ大賞を受賞したが、同社は同日、取り下げを申し出て了承された。
 公取委によると、昨年11月以降のカタログやウェブサイト、今年2月の新聞広告などで「日立は業界ではじめて、リサイクル材を活用した真空断熱材の採用を始めました」「製造工程でのCO2排出量 約48%削減」などと表示した。しかし実際には、6機種でリサイクル材を一切使っておらず、残り3機種も天板に半分使っただけ。CO2排出量の削減率も数%程度だった。
 同社は、回収した廃家電のプラスチックを原材料とした断熱材を研究。一度は、製品化できると判断したが、後に難しいことが判明。しかし宣伝部門に伝わっていなかったという。公取委は、宣伝部門への情報伝達の不徹底が原因と指摘した。
 公取委幹部は「消費者のエコに対する関心が高まる中、大企業として極めて問題ある対応」と指摘している。
 9機種は今年3月末現在で計15万台約300億円を売り上げた。同社は、情報伝達の不備を認め「深くおわび申し上げる」とコメントした。消費者の問い合わせに応じるが、返品対応はしない方針で「冷蔵庫としての性能は表示の通り。よろしければそのままお使いいただきたい」としている。

省エネ賞の冷蔵庫、実は不当表示 日立子会社に排除命令

[asahi.com 2009年4月20日20時34分]

 リサイクル素材を使った「省エネ」製品として売っていた冷蔵庫9機種に、実際にはその素材をほとんど使っていなかったとして、公正取引委員会は20日、日立製作所の家電子会社「日立アプライアンス」(東京都港区)に景品表示法違反で排除命令を出した。消費者の誤解を招く不当表示にあたると認定した。
 命令の対象は、同社が昨年9月以降に発売した大型冷蔵庫「栄養いきいき 真空チルドV」6機種と「ビッグ&スリム60」の3機種。この9機種は1月、財団法人「省エネルギーセンター」の省エネ大賞で同センター会長賞を受賞していたが、同センターは同日付で授賞を取り消した。
 公取委によると、同社はカタログや新聞広告、ポスターで、廃家電からリサイクルした樹脂を断熱材に使い、使用しない機種と比べて製造工程での二酸化炭素の排出量を大幅に削減しているなどと宣伝していた。しかし、実際には一部にしか使っておらず、約48%削減とした表示もあったが、前年に発売した旧型機種の製造工程と比べ、削減量は多くても15%程度にとどまるという。
 同社によると、9種類は3月末までに、約15万台を販売し、約300億円の売り上げがあったという。昨夏ごろ、新型機種の断熱材にリサイクル素材を使うことが決まったが、発売直前に十分な断熱効果が得られないことが判明。いったんは、この素材の導入を取りやめたが、宣伝を担当する部署に情報が伝わらなかったと説明している。(小島寛明)

日立アプライアンスのホームページは、↓こちら。
日立アプライアンス株式会社

「誤解をあたえた」ことへの「お詫び」や「カタログ等の確認体制及びコンプライアンス体制を強化する」とは書かれているが、なぜ今回のような事態が生じたのかの説明はどこにもない。

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