少し前から、井村喜代子さんの『「資本論」の理論的展開』(有斐閣、1987年)を読んでいます。
井村氏は一つ一つ厳密に考察をすすめているので、とても勉強になります。『資本論』でマルクスが問題をどう解明、展開しているか、ということと、マルクスが解明・展開しなかった問題をどう考えたらよいかということとを厳密に区別し、本書ではマルクスが『資本論』で分析・解明の対象とした問題はなになのかを明確にするとともに、それをふまえて後者の問題にも取り組んでいます。
井村氏は、『資本論』は、いろいろありつつも、基本的には「資本一般」という分析の枠組みに規定されているとしているところがポイント。
第1章「『資本論』の対象領域と残された課題」
『資本論』第3部でも、「競争の現実の運動」はそれ自体としては分析対象とはならない。(6ページ)