井村喜代子『「資本論」の理論的展開』(5)

第5章 拡大再生産表式分析の意義と方法

初出:『三田学会雑誌』73-6、1980年

はじめに

・表式分析にもとづいて拡大再生産過程、拡大再生産経路を考察しようという試みの共通した問題点。マルクスの表式例の前提――貨幣の価値どおりの環流、固定資本の捨象――のもつ意味を看過したまま、その前提のもとでの表式例、数式の時系列的展開を試みていること。したがって、I(v+mv+mk)=II(c+mc)を満たす範囲であればI、II部門の拡大率をまったく自由に想定できるように考えて、展開を試みている。(137ページ)

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