民主党の小沢代表が辞意を表明。
小沢代表が居座り続ければ続けるほど、麻生内閣の支持率が回復してゆくのだから、辞めざるを得なくなったところだろう。しかし、西松建設違法献金問題については何の釈明もなく、時事通信の記事が指摘するとおり、民主党にとっては「辞めて片がついた」といえるような状況ではないだろう。
むしろ、明後日13日に今国会初の党首討論が予定されていたのに、その直前での辞任表明で自民党から「逃げ出した」と攻撃されても抗弁不能。“貧すれば鈍する”とはこのことで、辞めるならもっと早く、とっとと辞めておけばよかったものを…。「国策捜査だ」といって問題をすり替えられると思ったあたりから、すでに判断ミスだったのだが。
それにしても、後継代表は鳩山氏か岡田氏を軸にとは…。どちらも、小沢執行部の一員。鳩山幹事長にいたっては、小沢擁護の先頭に立ってきた人物。これではとても、「政治とカネ」で自浄能力を働かせることはできない。
小沢氏、説明責任果たさず退場へ=民主、立て直し険しく(時事通信)
【小沢辞任】後継代表選びは鳩山、岡田両氏を軸に展開か(MSN産経ニュース)
小沢氏、説明責任果たさず退場へ=民主、立て直し険しく
[時事通信 2009/05/11-22:13]
公設秘書の逮捕・起訴後も党首の座にとどまり続けていた民主党の小沢一郎代表が、ようやく辞任を決断した。2カ月余りの間、続投に批判的な世論が多数だったにもかかわらず、真摯(しんし)に説明責任を果たそうとする姿勢は小沢氏には見られなかった。続投をいったん了承した民主党自体も今回、自浄能力の欠如を露呈。悲願の政権交代実現に向け、失墜した信頼を回復するのは容易ではない。
小沢氏は11日の記者会見で「代表にとどまることにより、挙党一致の態勢を強固にする上で少しでも差し障りがあれば、決して私の本意ではない」と述べ、次期衆院選への影響は大きいと判断したことが代表辞任の理由だと説明。一方で、秘書がかかわった政治資金規正法違反事件については「一点のやましいところもない」と、「潔白」を改めて主張した。
秘書が逮捕されて以降、各種世論調査で小沢氏に辞任を求める声が強まったのに対し、不人気にあえいでいた麻生内閣は「敵失」もあって支持率が徐々に回復。代表の進退問題を抱えた民主党は国会での政権追及の矛先が鈍り、党内は「1日1議席ずつ減っていく」(幹部)と、衆院選への危機感で急速に覆われていった。
小沢氏としては、2009年度補正予算案が審議されているこの段階での辞任表明ならば突発的な衆院解散は考えにくく、党勢立て直しに一定の時間を稼ぐことができると同時に、自らの影響力も残せると判断したとみられる。
しかし、事件をめぐる小沢氏の説明に国民の多くが納得できないのは、西松建設側から総額で億単位の献金をなぜ受ける必要があったのかという疑問に、一切答えようとしなかったからだ。その点を素通りしたまま「潔白」を訴えても、理解は得られようもない。小沢氏の自発的辞任に期待するあまり、正面切っての「行動」を控えてきた一人ひとりの民主党議員も批判は免れないだろう。
同党は12日から後任代表選びを本格化させる。次期首相候補として押し立てるリーダーを選出するこの過程が、衆院選に向け態勢を立て直す最後の機会となる。「寄り合い所帯」をまとめ上げてきた小沢氏が党運営から退くことで、結束が揺らぐとの見方も党内にはあるが、論争を恐れていては政権交代は到底おぼつかない。
【小沢辞任】後継代表選びは鳩山、岡田両氏を軸に展開か
[MSN産経ニュース 2009.5.11 21:39]
民主党の小沢一郎代表は11日夕、党本部で記者会見し、「衆院選の必勝と政権交代実現に向け、挙党一致の態勢をより強固にするため、あえてこの身をなげうち、党代表を辞することを決意した」と代表辞任を表明した。小沢氏は西松建設違法献金事件で公設秘書が逮捕・起訴されたことで、党内外から辞任論が出ていた。小沢氏は平成21年度補正予算案の衆院通過後に代表選を行う考えを示し、後継には鳩山由紀夫幹事長、岡田克也副代表を推す動きが出ている。
小沢氏は「連休中に熟慮を重ね決断した」と述べるとともに「国民、支持者の皆さまにご心配をおかけしてきたことをおわびしたい」と、西松事件による混乱を陳謝した。ただ、「政治資金の問題で一点のやましいところもない」と離党や議員辞職は否定。「新代表を支え、衆院選勝利のため最前線で戦い続けたい」として、衆院選対策に携わる考えを示した。
会見に先立ち、鳩山氏ら幹部は小沢氏を慰留したが「どうしても選挙に勝ちたい。代表をやめる」との小沢氏の意向を受け入れた。鳩山氏は同日夜、記者団に幹事長辞任を表明した。
代表選の時期については、小沢氏は補正予算案の衆院通過後との考えを示したが、鳩山氏は同日、記者団に「今週中に実施するのが理想だ。明日の役員会、常任理事会で決めたい。長い時間はかけられない」と述べ、週内にも実施すべきだとの考えを示した。
同党内では小沢氏の辞任表明を評価する声が相次ぐ一方、鳩山、岡田両氏に出馬を促す動きが出ている。鳩山氏は記者団に「先のことは全く考えていない」、岡田氏は「代表選はしっかりやった方がいい。(出馬は)熟慮中だ」と語った。
麻生太郎首相は同日夕、小沢氏の辞任表明を「国民としては、何について責任をとろうとしているのか理解できないのではないか」と批判し、衆院解散の判断に影響はないとの考えを示した。首相官邸で記者団に語った。小沢氏の辞意表明で13日の党首討論は中止される。与党は補正予算案の週内通過をはかる方針だ。